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癒しの島・沖縄の深層

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おかどめ やすのり 1972年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」

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オカドメノート No.046

沖縄の問題を見ようとしない麻生首相

 総理に就任して初めて沖縄にやってきた麻生総理。日帰りだったこともあり、地元紙にはサンザンで、「沖縄問題 真剣味薄く 基地視察せず」「基地見ない首相 何しに来たの 市民、冷ややかな反応」といった活字が躍っていた。これも当然だろう。当初は、一泊して普天間基地とその移転先とされる辺野古沖の視察を予定していたが、結局見送りになったからだ。その理由がふるっている。沖縄タイムスの記事によると、「辺野古の海を見て、首相が思わず『きれいな海だから残した方がいい』とポロッと言ったら大変なことになる」と政府首脳が周囲に漏らしたのだという。笑っちゃいけないが、麻生総理の失言癖を思えば、この政府首脳の気持は分からなくもないが(苦笑)。

 結局、麻生総理が沖縄に来てやった事は糸満市の国立戦没者墓苑での献花と、なぜか非公開での不発弾爆発で重傷を負った古波蔵純氏の実家へのお見舞い。パフォーマンス好きの総理にしては異例の行動だ。これも余計な失言を恐れてマスコミを入れずにやったのだろうと見る他はない(苦笑)。その後は空港近くのホテルに詰めて、仲井真知事、建設業協会、医師会関係者などを呼びつけての会談。結局のところ、次期衆議院選挙に向けての自民党関係者との地方遊説にすぎず、沖縄県民のためですらなかったのだ。しかも、仲井真知事との会談でも何ひとつ実のある話は出なかったことで、何のためにわざわざ沖縄に来たのか、という疑問が噴出したのも当然だろう。

 沖縄にはこの不発弾処理問題、嘉手納基地騒音訴訟、泡瀬干潟埋め立て工事、市街地にあり世界一危険な米軍基地といわれる普天間飛行場移設など、問題は山積み状態。懸案の日米地位協定もほったらかされたままで、解決のメドどころか、政府にはやる気すらまったく見えない。それでいて、沖縄の自民党支持率が上がるわけがない。民主党小沢代表の第一秘書逮捕と言うウルトラCともいうべき国策捜査の恩恵も、今のところ麻生政権の支持率アップには繋がりそうにない。逆に、二階経済産業大臣の西松建設からの献金疑惑に飛び火し、こちらはあっせん収賄罪で本人が逮捕される局面もありそうな雰囲気になってきた。パーティ券838万円だけではなく、闇献金6000万円説まで流れているからだ。にもかかわらず、元警察庁長官で官房副長官の漆間厳の「西松建設の捜査は自民党にはいかない」との発言が国策捜査を印象付ける役割を果たし、小沢バッシングへの効力も半減する結果となった。

 しかし、それにしても東京地検特捜部もやることが露骨である。小沢代表が記者会見で疑惑を否定し、検察批判をやったことで、検察は全メディアをフルに活用して小沢潰しのリーク情報を書かせた。この世論操作の効果は絶大で、小沢辞任すべしの声が大きくなったことを各社の世論調査が伝えている。まだ秘書の証拠固めも進まず、起訴も確定しない段階で、完全な犯罪者扱いである。検察当局と司法記者クラブの癒着・馴れ合いは今に始まったことではないが、記者がやるべきは、二階だけではなく、森喜朗、尾身幸次など、献金を返してことたれりとしている疑惑の政治家の周辺を徹底的に調査報道することだ。さらに検察に対しても、国策捜査の謗りを受けないように、職務権限のある自民党政治家たちへの捜査の手を伸ばすべきと主張すべきではないのか。ま、こんな正論すらも通じないのが、司法記者クラブの面々の間に蔓延する「精神の退廃」であることも、事実だが。

米軍基地の現場や建設予定地を見もせず、
反対の声をあげる人たちに会うこともしない、
そんな「首相の沖縄訪問」って…。
まさに「何しに行ったの?」としか言葉が見つかりません。
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