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おかどめ やすのり 1972年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」
オカドメノート No.044
米国・クリントン国務長官の来日で、「在沖海兵隊のグアム移転に係わる協定」が17日に結ばれたが、野党や沖縄側の反応があまりに鈍いので、個人的に苛立っていたら、ようやく沖縄の学者、文化人、市民運動家、議会関係者などが抗議の声を上げ始めた。地元紙も遅まきながらキャンペーンを張り始めた。自慢じゃないが、筆者はいち早くこの問題点を指摘し、沖縄はそれでいいのかと警告を発してきた。むろん、直前まで条約締結の話を内密にして抜き打ちで発表するという政府(外務省・防衛省)の姑息なヤリクチも汚すぎるが、沖縄の反応もイマイチ遅すぎて、焦ったぞ!
この協定は、簡単に言えば、沖縄海兵隊のグアム移転の大半の費用を日本側が持つこと、普天間基地の代替施設を辺野古基地に作ること、その代わり米国は沖縄本島中南部の米軍施設を日本に返還するという三点がパッケージ化された条約だ。たまたま、オバマ新大統領やクリントン国務長官という新体制に移行してからこの条約を交わすと言う段取りになったわけだが、こうした在日米軍再編計画をこれまで進めてきたのは、ブッシュ大統領、米国の国務省、国防省、日本の防衛省、外務省の連中である。本来ならば、オバマ大統領、民主党・小沢総理という日米首脳の新しい政権同士の誕生となれば、在日米軍再編もいったん白紙にして戻してから沖縄基地問題なども根本的に見直すべき軍事プレゼンスではないのか。
この条約で一番最初に反応したのは、意外なことに沖縄の県知事や保守系の政治家だった。辺野古の新基地をもっと海側に移せと言う意味不明の主張を繰り返している名護市などの要求がこの条約によって米国側に無視されるのではないかという危惧からだった。さすが、利権には目ざとい連中の感覚ということかもしれない。しかし、これは気の毒だが、諦めたほうがいい。というのも、沖縄に対しては、強硬姿勢で一貫するケビン・メア沖縄総領事が、次の米国務省日本部長に決まったことで、辺野古新基地の沖合移動の線は限りなく遠のいたからだ。この辺でそろそろ沖縄のアイデンティティ、原点に立ち返り、利権がらみの思惑と決別して、普天間基地の県外・国外移転に路線を改めたほうがいいのではないか。もう沖縄の保守系の政治家や経済人たちも、基地をダシにして日本政府から金を引き出すという、あさましい了見は捨てたほうが、沖縄の将来のためだと認識すべきである。そういう転向なら筆者も沖縄県民も大歓迎である(苦笑)。
そうはいっても、保守系にも意地があるだろう。ならば、日本も一刻も早く政権交代を実現して、小沢代表がクリントン国務長官に語ったように「対等な日米関係」をつくるほうが先決ではないのか。筆者も少し関与したのでわかるが、民主党が掲げる「沖縄ビジョン」には、普天間基地は県外への移設が明記してある。辺野古新基地建設反対が明文化されていないところは気になるが、今回のグアム協定は民主党に対する外務省や防衛省の不安感の表れとも言えるだろう。さらに、沖縄の米軍海兵隊の移転先であるグアムでも米軍基地をどう受け入れるべきか、議会での情報公開と討論を求める動きが表面化した。これまた、米軍基地の島にさせられるグアム側にすれば当然である。沖縄だって、本来は、トコトン県議会で論争すべき事案である。霞ヶ関に勝手にやらせておいて、これまで沖縄にとっていいことなし、ではないか。オバマ新政権になった今こそ、チャンスにするべきである。むろん、小沢民主党への政権交代も、しかりである。
日本テレビが9・7、毎日新聞が11パーセントというのが、麻生内閣の最新支持率。この麻生はいつまで総理をつづけるつもりなのか。一人でハシャぎ、ロシア・サハリンや米国・ホワイトハウスに続き、来月7日には沖縄にも日帰りでやってくる予定だと言う。いいよ、来なくても!県庁と自民党県連、建設業者、米軍ぐらいしか歓迎しないから意味ないよ,まず票にはならないし(苦笑)。
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