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癒しの島・沖縄の深層

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おかどめ やすのり 1972年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」

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オカドメノート No.027

驚愕!もう一つの沖縄の真実

 10月10日は「沖縄大空襲の日」だった。終戦の一年前の1944年のこの日、早朝から午後4時過ぎまで、5回にわたり米軍機・グラマンの爆撃によって那覇市街地の9割が焼失したといわれている。日本国内で唯一地上戦を経験した沖縄では軍民あわせて約20万人の死者が出たといわれているが、この空襲による第一弾攻撃での死者は約600人といわれている。まさに、沖縄戦における悲劇の始まりとなった空襲記念日だ。

 この日、那覇市内にある奥武山公園にある沖宮で行われた「うるま平和祈念」の儀式に出かける。参議院議員・喜納昌吉氏がまだミュージシャンだった80年から続けている式典に呼ばれたためだ。古神道の神主と妙法寺のお坊さんなどの神仏合体による慰霊祭だった。参加者は内輪の人たちだけだったが、喜納氏が「花」を歌い、エイサー踊りの「奉納」もある、いかにも沖縄的というか、喜納氏的平和祈念と慰霊の儀式だった。

 それはともかく、ある意味では数奇な運命をたどってきた沖縄の歴史と深層を描いたノンフィクション本が相次いで二冊出版されたので、ぜひ当欄でも紹介しておきたい。一冊目は、大宅賞作家の佐野眞一氏が月刊「PLAYBOY」で33回連載した「沖縄コンフィデンシャルロビー」を一冊にまとめた「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史」(集英社)だ。雑誌連載中から注目していたが、沖縄に来て4年がたつ筆者が初めて読むタグイの沖縄のタブーにチャレンジした衝撃本だ。近々地元の沖縄タイムスで書評を書く予定だが、メチャクチャ面白い、と推薦しておきたい。一例だけ書けば、仲井真県知事の奥さんのトンデモ奇行などは抜群に面白い。全国どこでもそうだろうが、新聞では絶対書けないエピソード満載なので、沖縄県民ですらまったく知らない新事実に驚愕させられるに違いない。

 もう一冊は、地元紙・沖縄タイムスで51回連載されたものをまとめた「『アメとムチ』の構図」(沖縄タイムス刊)である。普天間基地を移設して辺野古へ新基地をつくる計画の舞台裏を生々しく描いた本だ。逮捕された守屋武昌防衛事務次官に辞令を受けて那覇防衛施設局長(現・沖縄防衛局)に送り込まれた佐藤勉氏の「備忘録」を元にした沖縄タイムス・渡辺豪記者の調査報道だ。佐藤勉氏に関しては、前述した佐野眞一氏の本の中でも、連日のように那覇市内にある高級クラブで業者の接待を受けた話からホステスにタクシー・チケットをばら撒いていた利権官僚としての実態も書かれている。守屋防衛事務次官逮捕の収賄事件絡みで、東京地検特捜部の事情聴取を何回となく受けた、毀誉褒貶のある人物だ。しかし、この人物の人品骨柄は別にして、備忘録を入手しそれを元に追跡取材した渡辺記者の功績は多大である。この備忘録や佐藤自身の話が取れなかったら、沖縄における政・官・業の癒着の構図は日の目を見ることなく永遠の闇に葬られていたかもしれないからだ。

 登場人物も、この防衛省幹部以外に、政治家、県知事、名護市長、辺野古周辺の自治体や区長、名護市の建設業会のボス、米国関係者などが実名で登場し、密室でのやりとりまでがリアルに再現されており、新基地建設に関するそれぞれの思惑や利権を巡る動きが生々しく描かれている。在日米軍再編、辺野古基地建設計画進行の裏で何が行われているのかという舞台裏の事情を初めて時系列的に明らかにした、新聞協会賞をもらってもいいくらいの力作である。これまた、筆者が沖縄に来て4年が過ぎたが、地元の二つの新聞を読んでいて、これが一番面白い連載だった。

 この二冊を読めば、筆者のこのコラムよりもはるかに沖縄の偽らざる深層がうかがい知れるのではないかと思う。自信を持ってオススメの二冊の新刊である。

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史
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さらに深く、沖縄の「深層」を知りたいあなたに。
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