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癒しの島・沖縄の深層

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おかどめ やすのり 1972年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」

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オカドメノート No.017

沖縄自治体は、米軍再編とどう向き合うのか

 沖縄の地元紙は大きく一面で扱っていたが、全国紙では取り上げていないと思うので、北谷町で開かれたシンポジウムについて書いておきたい。全体のテーマは「米軍再編とどう向き合うか」というもので、「基地返還に向けた出口戦略を構想する」という基調講演をやったのは軍事評論家の前田哲男氏。その他、基地を抱える中部地区の自治体の首長5人も参加して、これまでの返還事例を提示しながら、跡地利用における政府の財政支援などを主張。さらに沖縄国際大学の照屋寛之教授が司会をつとめるシンポジウムでは沖縄大学の桜井国俊学長らが跡地利用を妨げる環境汚染や補償問題などについて討議したという。

 「という」との言い方をしているのは、このロングランのシンポジウムに筆者は出席できなかったが、基調講演をやった前田氏と一緒に飲む機会があり、本人から直接話を聞いたことと、地元紙の記事も読んだ上で紹介したい。前田氏と基地問題でじっくり語る機会があったのも、沖縄移住のおかげということかもしれない。このシンポジウムは沖縄市や嘉手納町の首長らが参加していることでも分かるように、普天間基地の辺野古への移設と引き換えに中南部の米軍基地や施設が返還されるというプログラムに対して、行政として具体的にどう向き合うべきか、というところまで踏み込んでの討論。昨年12月の嘉手納での開催に続いて、第二弾のシンポジウムだったという。

 このシンポジウムでは、返還前の土壌汚染調査や原状回復期間中の地権者給付などを定める軍転特措法(県米軍用地返還特別措置法)の新たな制定や日米地位協定改定を盛り込んだ参加者決議も採択されたという。前田氏の主張にまったく同感なのは、「政権を変えれば、そしてその政権が明確な出口戦略を持っていれば変えられる。そういう時期にある」という状況認識。振興金とか補助金で頬をひっぱたくような防衛省のヤリクチや、米国べったりの外務省まかせの外交では、基地のない平和な島・沖縄の将来像は絶対に見えてこない。宜野湾市長の伊波洋一氏がハワイの米軍や連邦議員に、普天間基地の危険な現状を直接訴えに行くという直接行動も、もはや自民党政府には任せておけないという切羽詰った判断だろう。

 しかし、議会ではこの渡米費用はいっさい認められず、自腹で行くのだという。例え、訪米で成果はなくとも、基地を抱える自治体の首長としての行動としては、大いに評価されるべきではないか。

 伊波氏によると、普天間飛行場の米軍のマスタープランには本来は住宅などを建ててはならない「クリアゾーン」(利用禁止区域)が設定されているにもかかわらず、その事実が隠されていたのだという。そのクリアゾーンには、小学校もあり、住民3千6百人が住んでいるのだ。普天間基地の視察を実際にやったことのあるラムズフェルド元米国防長官の言う「世界一危険な市街地にある基地」であることは紛れもない事実だし、またいつ米軍のヘリが市街地に墜落するかわからないし、本来は一刻の猶予も許されないはずだ。

 しかし、それにしても、佐世保への原子力空母の寄港や沖縄のホワイトビーチへの米海軍の原子力潜水艦の頻繁な寄港は、一体何なんだ。こうした既成事実を積み重ねることで、日本人の反発や核アレルギーを除去しようという作戦もあるのだろう。毎回決まったように、「放射能調査結果は異常がなかった」と報告されるのが常だが、その数値は本当なのだろうか。

沖縄の地方行政は、米軍再編とどう向き合っていくのか。
伊波市長の決断からは、中央政府だけにはもう任せておけないという、
ひりひりとした叫びが聞こえてくるようでもあります。
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