癒しの島・沖縄の深層

　若松孝二監督の「実録・連合赤軍　あさま山荘への道程」の映画を沖縄で見たこともあり、大学時代には「４・２８沖縄デー」という闘争に毎年取り組んでいたことを思いだした。今は、どうなっているのかわからないが、けっこう沖縄返還を求める過激な反政府・反戦デモが展開されたことをよく覚えている。１９５２年のサンフランシスコ講和条約で、日本の独立が正式に承認されると同時に、沖縄が米国の統治下に置かれた記念すべき日だった。沖縄では復帰協議会の主催で県民大会が開かれ、米軍基地に支配され日本から分断された沖縄の悲劇に対する、本土からの連帯のデモンスとレーションであった。

　くしくも、この日に沖縄では、沖縄市の泡瀬干潟を埋め立てる０８年度の工事が開始された。この埋め立て計画に対しては、「泡瀬干潟を守る会」の強い反対運動が展開されているにもかかわらず、国と県がその工事を強行し、社民党系の東門美津子沖縄市長も条件はつけたものの、第一区域の埋め立てを容認するという姿勢を見せている。もはや時代にそぐわない無謀な埋め立て計画だし、企業誘致などのメドもたっていないのだ。経済効果すら疑問なのだ。何よりも、沖縄市じたいが、巨額の財政赤字を蓄積させる可能性が大きいバブル期に見積もった計画なのだ。反対派だったはずの東門市長がなぜ容認の姿勢を見せるようになったのか、その裏事情はよくわからないが、問題だらけの埋め立て計画であることに変わりはない。

　今年度の工事開始もこれまでは、「トカゲハゼの産卵・移動時期にあたる４月から７月の間は工事を進めない」との申し合わせがあったものの、それを無視しての強行突破だった。「主犯」は沖縄総合事務局である。沖縄総合事務局の言い分は「トカゲハゼには影響はない」と一方的に主張するだけで、専門家に耳をかたむけることすらしないのだ。嘘も確信犯として強弁するのだから、ふざけた連中なのだ。今や、制度改革を全面的に見直すべきとの世論が高まる中で、道路特定財源の権益を死守しようという国土交通省の出先機関であることを思えば、さもありなんということか。

　同じことがいえるのが、名護市辺野古に新基地をつくろうという防衛省もまったく同じ。埋め立てに関しての環境アセスでは、米軍の軍事機密をタテに基地計画の全容を隠すために、アセスの方法も不完全かつデタラメにならざるを得ないのだ。例え環境を破壊しても米軍のためにやると豪語して突っ走っているようなものである。少し笑えたのは、訓練中の米軍の水陸両用車が、環境調査のために防衛省が海底に設置したパッシブソナーと見られる機器の一台を踏み倒し破損したという地元新聞の記事。この訓練じたいは米軍から「好意的通報」（というらしい！）で知らされていたというが、破損された機器の原状回復措置すら絶対に要求できないのだろうね。まったく、米軍サマサマなのだ。だからサマワか（苦笑）。

　天木直人氏らの提訴によってイラクへの自衛隊の派遣が憲法違反という判決が出た時、自衛隊のトップが、「そんなの関係ない」とうそぶいたことが象徴的なように、まったく救いがたい連中である。自衛隊基地内のゴルフ場において、格安料金で遊んでもまったく疑問すら感じなかった連中だから、国民の意識との乖離は２００海里以上なのだろう（苦笑）。