赤紙の表紙手擦れし 国禁の 書(ふみ)を行李の底にさがす日
このふたつの歌の間にある切なさと辛さ。多分、ここにこそ啄木の真髄があるように、私には思われます。
マッチ擦るつかの間海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや
『戦争の克服』 (阿部浩巳、鵜飼哲、森巣博/集英社新書)