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森永卓郎の戦争と平和講座:バックナンバーへ

森永卓郎の戦争と平和講座

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安倍改造内閣発足を受けて、「朝生」に出演した森永さん。
そこで明らかにされた、ある「驚愕の事実」とは?

第21回:これでいいのかテロ特措法

 9月1日に放送されたテレビ朝日系の「朝まで生テレビ」に出演した。テーマは、安倍改造内閣だった。9月10に開幕する臨時国会で、最初の与野党対決となるのが、テロ特措法の延長問題だから、番組でも当然、テロ特措法が最初の話題になった。

 出演した自民党議員と民主党議員のこの問題での認識は明確に対立していて、民主党に歩み寄りの気配がなかったので、おそらく特措法の期限が切れる11月1日には、インド洋に展開する自衛隊艦船は、日本に引き揚げることになる可能性が大きい。

 しかし、スタジオが騒然となったのは、自民と民主の戦いではなく、無所属の江田けんじ議員が、スタジオで、あるホームページのコピーを示したときだった。

 “United States Naval Forces Central Command and 5th Fleet” と題された米海軍中央指令と第5艦隊の公式ホームページが、イラクの自由作戦を特集しているのだが、そのなかに驚愕の事実が書かれているというのだ。

 その内容というのは、①自衛隊の補給艦は、空母のキティーホークにも給油している、②自衛隊の補給艦は米英軍の補給艦に燃料を補給している、③自衛隊の補給した燃料の85%はアフガニスタンではなく、イラクに向かっている、というものだった。

 出演していた森本敏拓殖大教授は、そのことを知っていたという。しかし、森本教授は、軍事の専門家からみれば、不思議なことではないというのだ。軍艦はインド洋全体をみわたすために配置されているのであって、自衛隊が燃料補給をするときに、それがアフガニスタンのための艦船なのか、イラクのための艦船なのか区別することなどできないというのだ。

 しかし、我々はテロ特措法で、これまで200億円以上の給油をしてきたのは、各国がアフガニスタンで行うテロリストを封じ込めるための活動を後方支援するためのものだと聞かされてきた。しかし、自衛隊が補給した燃料の大部分が、アメリカが勝手に始めたイラク戦争のために使われていたというのは、どう考えても納得できない。しかも、空母にまで給油していたというのは言語道断だ。

 江田議員が示したホームページは、現在すでに削除されていて、みることはできないという。しかし、この事実は、政府が嘘つきなのかどうかを判定するための重要な材料となる。ホームページの真偽も含めて、政府は本当にこうしたことがあったのか、事実を明らかにすべきだろう。もし、政府が説明を拒絶するなら、参議院はその時こそ、国政調査権を行使する最大のチャンスだと思う。

「アフガニスタンでのテロ対策の一環」と主張されてきた自衛隊の燃料補給が、
アメリカのイラク戦争をも支えていた。
それが本当なのだとしたら・・・
事実がうやむやにされることのないよう、私たちもしっかりと注目しておく必要があります。
森永さん、ありがとうございました!

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