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これまで「高円寺一揆」や、「クリスマス粉砕デモ」など、
数々の脱力系にして最強の「運動」を繰り広げてきたカリスマ店主、松本哉のコラム連載です。
高円寺から世界へ「のびのび大作戦」、日本のみならず世界各地でも増殖中!
翻訳ツールもつけました。
まつもと・はじめ 「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ
前回紹介した、長野のとんでもないお祭り騒ぎ「なんとかフェス09」の1週間後、8月29日、今度はお隣の富山で騒ぎが起こった! 長野のイベントにも出演した富山のバンド“▲hadou△”のメンバーから「富山でも一発食らわすから遊びに来てよ」との情報が舞い込んできて、フライヤーも高円寺に届けられた。
このフライヤーを見てみると、やたらとテンションが高い。
「エコポイントとかいって新しい電化製品を売りつけようとしたり、勝手にアナログ放送終了とかいって無理矢理TVを買い換えさせようとしたり、そんで、それも何年かしたらゴミになってたり…(中略) こんな何をするにも金がかかる、与えられた楽しみより、自分達で好き勝手にやったほうが金もかからないし楽しいにキマってる! もう目が覚めた!! 観客やギャラリーでいるのなんて退屈だ!」
などと、このひたすら金を巻き上げて奴隷化しようとする消費社会に対する文句を言いまくったフライヤー。いいねー、これ。で、富山市の中心地でライブイベントやフリーマーケットをやるという。しかも、「世の中窮屈すぎるからもっと表現させろ」と訴えるサウンドデモまでやるそうだ。う~ん、なんだかこれはすごいことになりそうだ。行くしかない! ということで、早速、1000円高速道路を使って高円寺のヒマ人たちと共に富山に行ってきた。
ばら撒かれたフライヤー。よく見ると『抑圧された民衆のエネルギーが大爆発!』などの物騒なフレーズが!
さて、騒動の前日の夜、富山に着いてみると、早くもワラワラと富山をウロついている連中が集まって準備をしていた。「アンプは誰々が持ってきて、テントは○○さんが持ってくる…」って感じで、富山の有象無象たちがよってたかって準備するという感じ。おお、なんか心強いな! あらかた準備が進むと、今度はとりあえず飲みながら明日の作戦を練ろうということになり、近くのBARへ。で、ここがまたアジトのようなところで、よくわからない人たちがウロウロしていて、ここのBARのマスターもイベントでDJをやるという。
また、近くのクラブではすでに前夜祭的なパーティが行われているというのでちょっと顔をだしてみると、こっちはこっちで派手に盛り上がっていた!! いや~、なんだなんだ、富山もわけのわからない反乱勢力が盛り上がってるな~。すごいすごい!!
さて、当日。会場はなんと、富山城址公園。おい、まさに市の真ん中じゃねえか!! バチ当たりすぎる!! ざまあみろ! …で、まずはデモから! その辺に転がってるガラクタで作品を作ってしまうアーティストが装飾した謎の2tトラックがすでに用意されており、これにサウンドシステムを積み、荷台にはDJブース。おお、とりあえず、市の中心部にそんなイカレた車があるだけでテンションが上がるね~。
準備もできてデモも出発! 主催がバンド系の人だから、音楽系の連中だけでやるのかと思っていたら、これがまた幅広く、飲み屋つながりの人だったり、スケーターの兄ちゃんたちがゾロゾロ来てたり、はたまた活動家風の人々が「デモがあるって聞いたんで」と旗持ってきたり、「福井から来ました~」と、とぼけた女の子がいたり、子連れの人がいたり、なんだか収拾つかない感じでとてもよかった! まさに有象無象とはこのことか!!
さて、そんな謎の集団が、気の聞いた爆音を流すDJを先頭にして騒ぎつつ、市内へ突入! で、すっかり忘れていたのだが、その日はあろうことか衆院選の前日!! 候補者は最終日だから必死に街中でキャンペーンを張っていた。大きい交差点なんかに行くと「長○ナントカ、長○ナントカ、よろしくお願いしま~す!!」と、まんまと自○党に遭遇!! 最初は、若者たちに点数を稼ごうとでも思ったのか運動員が満面の笑みで手を振ってきたが、すかさずスケーター兄ちゃんがトラメガで「ハゲ!」と野次!(えらい!タイミングがいい!セリフもいい!) また、別の奴が「落ちろ!」。
しょんぼりした自民党を尻目に、トドメに登場したのがニセ候補者! うちのリサイクルショップのスタッフの村上くんも実家が富山だというので連れて行ったんだが、なんと、こいつがバカだから、勝手にスーツを着てきて登場! いつの間に作ったのか「村上豪」という自分の名前のタスキをかけて、白い手袋までつけてトラックの上に登り「ムラカミゴウ、ムラカミゴウをよろしくお願いいたします!」とマイクで演説し始めた! しかも第一声に「景気はどうですか~?」などと大声で叫び出した。地方都市なんか景気いい訳ねえじゃねえか!おこられるぞ! さらには、「税金の全廃!労働の廃止!全員に生活保護を!この3つのお約束を皆様にしたいと思います。ただ、立候補しておりません!」などと、まったく意味不明なことを演説しながら、勝手にその辺の人と握手しまくっていた。おい、なんだなんだ!?
村上ニセ候補者。他の候補者と比べて一番勢いがあった!
そして、地元の名アジテーターも登壇! 詩の朗読家の兄ちゃんなんだが、相当いい味を出していた! 発言内容はほとんど放送禁止のため引用できないのが残念だが、要するに窮屈な世の中は御免だということを言っていた。これはすごい。様子を知りたい人は富山に行ってみてくれ。
ま、とりあえず、そんな感じでまたDJが登場しつつデモは市内をぐるっと回り、また城址公園へ戻ってきた。で、そのまま大パーティが開始!!
ライブも富山のバンドが中心だったが、関西や高円寺からも出演していたりと、派手にやっていた。会場でもフリマや出張カフェがあったり、だいぶ賑わっていて、夜まで大騒動だった!
サウンドカーの上には次々と人が上って騒ぎ出す!
さて、長野でやったイベントは、東京の連中が長野のジローさん(前回を参照)と相談しつつ計画し、関西やら富山やらから人が集まってきたが、富山のイベントは完全に富山人イベント。参加者もほぼ富山人。アジト的な飲み屋だったり人脈だったり、機材や準備なんかも富山で全部自前で揃っていて、富山も人材も物資も場所も豊富だった! さらに、地方に行っていつも思うことだが、東京よりすごいのは、いろんな奴らが繋がってること。東京だったら都市の規模が大きいせいか、アート系だったり音楽系だったりと、ジャンルごとの人脈はあるけど、あんまりゴチャマゼにはなってない。でも、富山はいろんな人がいた。これはうらやましい。
しかし、当たり前の話なんだが、本当にどんなところにでも妙な連中はいるもんだ。しかも、最近はそんな各地のとんでもない連中が続々と勝手なことをやり始めているというのが、相当いい感じだ。これはまさに景気がいいとしか言いようがないね!!!!
夜は延々とライブが続く。富山城址公園が大パニックに!
これを読んでいる人で「なに言ってんの。そうは言うけど、うちの近所には何もないよ」などと思っているキミ! いるいる! こんなクソッタレな世の中に飽き飽きして騒ぎ出そうとしている大バカ者がいないほうがおかしい! よし、こうなったら、まだ見ぬマヌケな隣人を探し出すしかないぞ!!
やいやい! 次の作戦の準備に取り掛かろう!!!!
【おまけ】
地方で騒ぎをもくろんでる人、誘ってください。遊びに行くので。
【お知らせ】
★素人の乱ワールドツアー09
・ドイツ:10月14〜27日
・韓国:10月29〜31日
・中国(北京・武漢):11月上旬
・香港:11月7〜8日
*その後、また中国へもどる?
◎詳細未定。続報を待て!!!
長野に続き、今度は富山。
好き勝手にいろんなことをやりながら、
確実にそれぞれがつながりつつあるのが不思議。
さて、「次の作戦」はどこで展開されるのか!?
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