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松本哉ののびのび大作戦:バックナンバーへ

松本哉ののびのび大作戦

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これまで「高円寺一揆」や、「クリスマス粉砕デモ」など、
数々の脱力系にして最強の「運動」を繰り広げてきたカリスマ店主、
松本哉による待望のコラム連載です。
来るべき世界恐慌には、この作戦で立ち向かえば、怖くない?。

まつもと・はじめ 「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)

※アマゾンにリンクしてます。

第13回 マヌケな奴らのフリーペーパー『TOKYOなんとか』

 いやはや、どうやら選挙がやってくるらしいけど、自民党でも民主党でも結局は金もうけ連中がいい目を見るっていう世の中は変わらないんでしょ? ま、せいぜい、政界が混乱するだけ政権交代したほうが面白いかなって程度かな…。あー、バカバカしい!!
 せっかくのタイミングなので選挙の話でもしようかと思ったけど、アホらしくなってきたから、やっぱりやめた!

 ってことで、今回は政界とは対極に位置する、そのへんをウロウロしてる奴らのことについて。
 ま、結局、誰が政権を取ろうと、我々がなんかやってなきゃ何も意味がない。政治だけじゃなく、普通に街中の話も同じで、世の中、メジャーな奴らとか大手企業の奴らとか、そんな連中が幅を利かせていて、ちょっと油断すると、我々貧乏人はそんな金もうけの連中の世話になってしまいがちだ。買い物をしたり、遊びに行ったり、なんでも消費が絡んでくる。こりゃ、やってられない。
 くだらないチェーン店や、ろくでもない大企業に金を流したって、その金が有効に使われるかは、かなり怪しい…。どうせなら知り合いや個人商店に金を回したほうがよっぽどいい。

 以前、ドイツに行ったことがあるんだが、このときに驚いたのが、やたらとその“界隈”の連中のネットワークがあること。ドイツも日本と同じように、仕事がない貧乏な若い奴らがたくさんいるんだが、そいつらがやたらと街をウロウロしていたのだ! ベルリンには『ストレスファクター』というフリーペーパーがあり、その雑誌の中には何百という、その界隈のショップの紹介が出ている。イベント情報も異常なほどに充実していて、連日、ライブやクラブイベントからデモやトークイベントまで、いろんな情報が載っている。おまけに、最後のページには、メシにありつける場所の一覧表まで載っている。これはすごい! 貧乏なヒマ人でも、いくらでも遊べるじゃないか!
 で、このフリーペーパーが、街中のその界隈の店においてあるので、ベルリンの奴らはとりあえずこの雑誌を手にして街をウロウロしていた。ってことで、金持ち連中を経由した情報の世話にはならなくても余裕で情報も入ってくるし、生活もできる。 う~ん、こいつはいい!

 で、実は! これと同じように東京でも、そういう金儲けと競争にまみれた生き方とは違うセンスでやっている店なんかが集まって、『TOKYOなんとか』というフリーペーパーが出されている。これは今年の1月に創刊された月刊誌だが、なんだかしらないが、妙に盛り上がりを見せつつある。
 いま中心となっているのは、高円寺、下北沢、新宿などのいくつかの飲食店や物販店。要は、競争だの格差だのが蔓延している、このくだらない世の中に巻き込まれないような居場所のネットワークだ。
 東京という街は、とりあえず、いろんなものが満ち溢れていて、客観的に見たらどうも窮屈でせせこましい街に見える。たとえば、田舎から東京見物に出てきても、何の情報もなかったら、東京の街に圧倒されて疲れてしまい、うかつにスターバックスあたりでコーヒーを飲んでしまって、こき使われる貧乏なコーヒー農家を苦しめるのに一役買ってしまったりする…。これはいかん!

 っていうことで、『TOKYOなんとか』を東京中にばら撒いて、東京の居場所情報を伝えるようにしている。さらには、その月のスケジュール表も載せていて、どこでどんなイベントが行われているかがひと目でわかっているようになっている。これで、東京に住んでいる人も東京に遊びに来た人も、これを手にすれば、すぐに居場所も見つかる(居心地がいいかどうかは保障しないが…)し、友達も見つかりやすい。これは便利だ。
 で、もしこんなフリーペーパーが日本各地にあったら、相当便利だ。知らない街に行っても、それを手にしたら、その街でどんな奴が何をやっているかがわかったら、相当居心地がいいはずだ。う~ん、これはやるしかないね!!

 そう、ちなみにいま着々と進行中の長野作戦も、実はこの『TOKYOなんとか』周辺の人脈で作戦がもくろまれている! のびのびやってる奴らばかりだから、どんどん話もとんでもない方向に行くから、とてもいい。
 いまのこの世知辛い世の中で一人で生きていたら、たいていろくな事にはならない。死んじゃったり、借金苦に強盗して外国に逃げたり、イカサマな宗教に入っちゃったり、餓死したり、腹いせに外国人や弱者を排斥したり、むやみに人を刺しまくったり…、まあロクでもない。
 どんなところにも、意外に勝手なことをやってる奴らはゴロゴロしている。たいていはお互いが会ってないだけ。これはもったいない! とりあえず、むやみに連合したら、何とかなってしまうものだ!
 『TOKYOなんとか』にかかわらず、とりあえず、我々貧乏人階級の情報網をさっさと作ってしまおう!!! 

『TOKYOなんとか』と『ストレスファクター』

●お知らせ
『TOKYOなんとか』集会!
長野作戦プレイベント。
長野の現地の下見の映像報告などもあり! 
東京をウロついている人々の交流会。もちろん、誰が来てもOK! これは駆けつけるしかない!
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7月31日・午後7時から
場所:Cafe★Lavanderia
新宿区新宿2−12−9 広洋舎ビル1階/
03−3341−4845

なんとかフェスティバル 〜長野騒乱〜
場所:長野県長野市・ジローズビッグマウンテン(アメージングプレイス)
8月21日(金)前夜祭 18:00ごろスタート!
8月22日(土)昼ごろから深夜まで
8月23日(日)後夜祭
8月24日(月)シークレットイベント

 

世界を覆う「グローバル経済」とやらの波には、
「貧乏人階級のネットワーク」で対抗!
「東京ナントカ」に続くフリーペーパー、
次はあなたの街でどうですか?

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