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国会ツアー
6月1日
衆議院「憲法調査特別委員会」&
「本会議」の傍聴に行ってきました!
〈その2〉


衆議院TV・ビデオライブラリより

 前回に引き続き、6月1日の国会ツアーの後半です。 前回は午前中に行われた「日本国憲法調査特別委員会」をお伝えしましたが、今回のレポートは、午後からの「本会議」の模様をお送りします。


傍聴席は思いのほか狭かった

 午後1時から予定されていた衆議院本会議は、当初の予定どおりほぼ定刻どおり開会されることになりました。1時2分、河野洋平衆議院議長が開会の宣言をし、憲法改正に関する手続き法案(つまり国民投票制度)についてのバトルがまさに行われる…と思いきや、さにあらず、その前に「国連公海漁業協定」やら「公職選挙法改正法案」やら「遺失物法案」やら…etcについて提出者の報告があり、ちょっぴり肩すかしを喰らった格好…。それぞれの議題について採決を求められた議員の方々は、異議なしと声を上げるか、起立をして賛成の意思を示します。6つあった議題のうち「公職選挙法改定法案」のみ、民主党の議員から反対の表明があったけど、その他については全会一致で可決されていきます。このあたりの流れを見ていると、既に与野党間である程度の合意形成ができているんだろうなぁ、なんて思わせるほど、スムーズに展開していきました。

 ふと、目の前で行われているそんなやり取りから目を離して、自分が座っているあたりを見回すと、あちらこちらで船を漕いでいるような傍聴者を多数発見! 確かに昼食を終えたばかりだし、しかもちょっぴり退屈な展開のため、睡魔が忍び寄ってくるのは致し方ないのかも(笑)。

 ここで傍聴席の様子を簡単にご説明しましょう。国会議事堂は、戦前に建てられたもののため、衆議院本会議場も荘厳というか厳粛というか、いかめしい造りになっています。そして傍聴席は議場の2階にあって、1階を見下ろす形で設けられています。そしてこの傍聴席、かなり傾斜が急なことに加え、前後のスペースがひじょ〜に狭い! イマドキの映画館や交通機関の座席ではあり得ないほど、狭いのであります。

 過去お相撲さんが傍聴にきたという話は聞いたことがありませんが(笑)、彼らがその身体を席に収めるのはほぼ不可能でしょう。結局、この日、本会議が終わる午後5時までの4時間、トイレにも行かず、傍聴していたのでありますが、これではいわゆるエコノミー症候群になってもおかしくありません。ファーストクラス並にとは申しませんが、ぜひとも改善していただけるよう切にお願いしたいと思いました。

本会議場が騒然! その理由は?

 さて、午後1時24分。ようやく6つの議題が滞りなく終了し、いよいよ本日のメインテーマである憲法改正のための国民投票法案の審議に移りました。これは同じテーマで与党および民主党から提案されており、それぞれの案について説明および質疑が行われることになっていました。ちょっと長くなるけれど、それぞれの正式名称は、与党案が「日本国憲法の改正手続に関する法律案」、民主案が「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続き及び国民投票法案」という名称…うう、長い。法律の名前はえてして、わかりにくく、かつ長くなりがちですが、もう少しなんとかなりませんかねぇ、議員先生方!

 それでは午後の本会議場では何が起こっていたか? 簡単に流れに沿って説明しますが、ここでは本日の山場に絞ってお伝えしたいと思います。やはり詳しく知りたい方は、Webサイト「衆議院TV」のビデオライブラリーで見ていただくことをおすすめします。

 まずは自民党の保岡興治議員から与党案の説明がされ、続いて民主党の枝野幸男議員による民主案の説明に入ったところ、事件は起こりました。突然、枝野議員が自民党議員が居並ぶ方に向いて、「うるさい!」と一喝。議場は騒然となりました。傍聴席からははっきりとわかりませんでしたが、しきりにヤジを飛ばす自民党議員がいたようなのです。これで居眠りをしていた人が仮にいたとしても、目が覚めたことでしょう(笑)。その後、何度か、枝野議員VS自民党ヤジ議員のやり取りが行われ、いやが上でも対決ムードが高まり、この先どう展開していくのか、目が離せなくなりました。

 その後、自民、民主、公明など各会派から質問が順次出され、与党案、民主案の提出者がそれに答えていくという形で議事は進行していきましたが、波風も立たずいわゆる予定調和的な状況が続き、またも傍聴席には睡魔に襲われる人がチラホラと。


憲法のイロハを学んでいただきたい!

 しかし社民党の辻元清美議員が質問で、枝野議員が答弁に立ったとき、またも事件が勃発。自民党の新憲法草案についてどう思うかという質問に対し、枝野議員は与党案については、これまであえて深く言及してこなかったと断りつつ、憲法のイロハもわかっていない人たちが圧倒的だとわかったので遠慮なく申し上げさせていただく、(と言いながら、ヤジが飛んできた自民党議員席のあたりを指しつつ)と宣戦布告。

 枝野議員は、そもそも自民党の新憲法草案は憲法の定義をまったく理解していない論外のものであり、憲法が「主権者である国民から公権力に課した制約」であることを考えると、新憲法草案に国民に対する義務を課すことが含まれていることや、法律でこれを定めるということまでも盛り込むことこと自体、ナンセンスであるとバッサリ。最後に、このことは改憲論者として著名な慶應義塾大学の小林節教授も指摘していると言い放ち、自民党ヤジ議員たちは勉強不足も甚だしいと言わんばかりに締めくくりました。与党および民主党で、国民投票法案を共同で提出するという与党の目論見が潰えた瞬間でした。

 おお、枝野議員!よくやった!と思わず拍手をしたい衝動に駆られましたが、そんなことをすれば、目の前に居並ぶ衛視のおにいさんにつまみ出されるのは必至。心の中で快哉を叫ぶくらいに留めました。

 実は与党案と民主案の違いはほとんどなく、97%くらいはほぼ同じと言われていただけに、ともすると今国会での共同提案そして成立という最悪の事態も想定されたのですが、民主党もそこまでお人好しではなかったということなのでしょうか。ある意味、枝野議員に火を点けてくれたヤジ議員の先生方に感謝しなければなりませんね。

 今日の本会議はどこにオチ(!?)があるかまったく見えない筋書きのため、固唾を呑んで見守っていたのですが、さすがに4時間という長丁場が終わったとたんどっと疲れました。でもなかなか見応えのあるものでしたので、またの機会に国会ツアーを敢行したいものです。  (国会ウォッチャーズ・Jiro)

〈その1〉はこちらから



*「衆議院TV」
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm
ライブラリーから特別委員会のビデオを見ることができます。
是非、チェックしましょう。

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