「野党共闘をどうすべきなのか」「民主党をどう考えたらいいのか」、正直言いますと「答え」を持ち合わせていませんし、もしかしたら答えなんてないのかもしれません。しかし、このテーマをクリアしない限り、自公連立政権を倒すことも、そして政治日程に上りつつある改憲の流れを止めることもできません。
『マガジン9条』では今後、この二つのテーマについて、さまざまな角度から検証していきたいと思っています。
さて、都知事選の場合はどうでしょうか。石原都政に終止符を打ちたいという思いは、『マガジン9条』読者の多くに共通するものではないでしょうか。
現在、石原氏のほかに黒川紀章氏(建築家)、共産党推薦の吉田万三氏(元足立区長)が立候補を表明しています。そして、市民団体に押される形で、浅野史郎氏(前宮城県知事・現慶応大学教授)が正式に出馬表明しました。
ここで前回文章からあえて引用しますが、共産党は「独自候補を立てても当選圏外であることは、初めからわかっていることではないでしょうか」。そして、自民・公明党と事実上組んで選挙戦に臨む石原陣営に対して、反石原側から3候補も立てば、言うまでもなく反石原票が分散して相手を利することになります。それでも共産党は独自候補を立てなくてはならないのでしょうか。
吉田万三氏は、サイトなどで見る限りとても立派な方のようです。彼を批判するつもりなど毛頭ありません。しかし、吉田氏が都知事選で勝てるかどうかはまったく別の問題でしょう。
東京都政は瀕死の状態にあると言えます。
例えば、都教育委員会の暴走振りはとどまるところを知りません。日の丸君が代の強制は、学校現場に恐るべき荒廃をもたらしています。「内心の自由」を踏みにじる都の教育行政に批判的な教職員たちは、すべて処分の対象です。職員会議での自由な意見の表明さえ、教育委員会は否定しています。職員会議は校長の職務命令を伝えるだけの場になっているのです。もはや、学校現場に民主主義などありません。
民主主義のないところで、どうやって教師たちは生徒に民主主義を教えればいいのでしょうか。それとも東京都教育委員会は「民主主義など生徒に教える必要などない」と考えているということなのでしょうか。
教職員処分の数は、東京都が全国でも突出しています。教員たちは、物言わぬマシーンとなりつつあります。ただ黙って、校長の命令を聞くしかないという状況です。もちろん、それを陣頭指揮しているのが、週に2〜3度しか登庁しない石原慎太郎知事です。 |