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今週のキイ

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 正月休みが明け、2007年が動き出した。
 会社も仕事も政治もスキャンダルも事件も、まるで年が改まるのを待っていたかのように、一斉に蠢き出した観がある。

 暗いニュースが続く。
 この調子だと、今年も、かなりヤバイことが頻発するのだろうなあ、というイヤな予感はするのだけれど、ともあれ、2007年を考えてみる。

2007年のスケジュール


 自民党大会(1月17日)
 この原稿を書いているのは16日なので、まだ中身は良く分からないが、ここで安倍晋三総裁が「憲法改正」をぶち上げることは確実。
 その前哨戦となる「憲法改正のための手続法・国民投票法案」を早期に成立させることも議決されるはず。中川秀直自民党幹事長も「憲法記念日(5月3日)までには、国民投票法を成立させたい」と表明しているのだ。私たち「マガジン9条」にとっても、本気の闘いの始まり。

 なお、民主党大会も1月15日、16日の両日に行われた。
 参院選をにらんで、安倍内閣との対決姿勢を鮮明にする、との決意を表明したが、憲法問題などでは自民党よりもむしろ右寄り、といわれる議員をかなり抱えているだけに、どこまで本当に対決できるのか、との疑問の声も挙がっている。

 山梨、愛媛、宮崎の各県知事選挙投開票(1月21日)
 「対決姿勢を示して存在感をアピール」したい民主党だが、独自候補も立てられないありさま。これでどうやって「2大政党」だの「政権奪取」などが可能になるというのだろう。
 宮崎では、あのそのまんま東氏がかなり有力との情報も。ああ、と、私はこれを書きながら、深いため息。こんなことで、地方崩壊を食い止めることはできるのか。

 教育再生会議が第一次報告書を提出予定(1月中)
 なんだかとてもヤバイ報告らしい。報告の目玉が「高校生の社会奉仕活動を義務化」だということになりそうなのだ。
 知人の教育ジャーナリストの取材結果は、次のようなものだという。
 「これまでも森首相などが同じ提唱をしたことがあったが、さすがに反対論が多く、見送られてきた経緯がある。今回の再生会議の議論でもこれが大きなテーマではなかったのだが、安倍首相が『強制してでも公の概念を若者に教え込むべき。そのためには大学入試の条件にボランティア活動を義務付ける』などと発言。安倍べったりの再生会議担当の山谷えり子首相補佐官が、そっくりそれを飲んでしまった。
 ところが、この『奉仕活動』の内容はまるで考えられてはいない。会議では、トイレ掃除だの公園の清掃だのという程度の意見がちらほら出ただけ。
 しかしやがて、自衛隊への協力や体験入隊、地域自警団への参加など、治安維持や密告などの奨励などにつなげるためなのだから、当面の活動内容など適当でいい、というのが安倍首相やその意を受けた山谷補佐官らの本音らしい。
 いずれ、自衛隊で2週間の訓練を受ければ大学入試に有利になる、などという事態になることも、決してありえない話ではない」
 このジャーナリストの観測、当たらないことを祈る。けれど----。


 通常国会召集(1月25日〜)
 この国会での最大の焦点となりそうなのが、「憲法改正のための手続法・国民投票法案」である。
 すでに民主党もこの法案の早期成立には賛成の意向を示しており、あとは報道の自由や広告の制限などの、個別の内容の詰めが残されているだけのようだ。
 なお、この法案の問題点については、「マガジン9条」での、今井一氏(ジャーナリスト) vs 井口秀作氏(大東文化大学助教授)の論争や、伊藤真氏の論考に詳しい。ぜひ、参考にしていただきたい。
 また、今週の日曜日(1月21日)午後1時から、東京・新宿のカタログハウスのホールで行われる「国民投票法・公開討論会」も、かなり参考になると思う。時間のある方は、ぜひご参加を。

 主要7カ国財務相、中央銀行総裁会議(ドイツ・2月9日〜)
 日銀は、追加利上げに踏み切ろうとしているが、政府自民党はそれに大反対。「日本経済はまだデフレ脱却ができていないから、いま日銀が政策変更する理由は見当たらない」と強く批判。とにかく、参院選を前に「上げ潮路線」に合致しない政策はすべて潰そう、ということらしい。
 この政策が、財務相・総裁の国際会議でどう評価されるだろうか?
 NHKへの命令放送といい、この日銀への圧力といい、このところの自民党の数をかさに着た居丈高な権力行使は、本当に目に余る。

 金正日北朝鮮総書記、65歳の誕生日(2月16日)
 さて、今度はどんなサプライズが待っているのか。
 山崎拓代議士の訪朝も、あまり大きな成果はなかったようだし、北朝鮮の強硬姿勢は相変わらず。それを考えればこの日あたり、またもやドスンッと何かが起こりそうな気もして。

 春闘(1月〜3月)
 いざなぎ景気を超えた、などと言われるが、サラリーマンの年収は下がる一方。さて、そんな中で今春闘はどうなるのか。組織率も下がるばかりで、すっかり闘う労働組合のイメージから遠ざかってしまった連合だが、さすがに今回の「ホワイトカラー・エグゼンプション」には猛反発。久しぶりに、御手洗経団連との対決ムードが高まっている。
 しかし、正社員だけの労組組織では、ジリ貧もいいところ。パートやアルバイト、派遣労働者たちの組織化や、連帯・共闘がなければ、とても資本家サイドには太刀打ちできまい。
 真の労働組合の再生こそが、広がり続ける格差社会の歯止めの第一歩になるのかもしれない。労組の奮起を促したい。

年金制度変更スタート(4月1日)
 さあ、始まりだ。さまざまな改革(?)がスタートする。詳しくはとてもこんな小さなスペースでは書ききれないが、国民が納める年金保険料が引き上げられ、それとは逆に給付される年金は引き下げられる。
 健康保険料はアップし、個人負担もすでに3割に上がっている。
 これが、国民に優しい「美しい国」「小さな政府」だと安倍晋三首相は言うのだが。


 統一地方選前半(4月8日)、後半(4月22日)
 またザワザワとうるさい季節がやってくる。参院選の前哨戦ということで、各党とも力が入っているようだが、さてどうなることやら。
 地方議員なんて本当に必要なのだろうか。なんだか訳のわからない政務調査費とやらを、まるで自分の私費のように飲み食いに使って恥じない連中。そんな奴らに、金や情実にまみれて一票を投じる選挙民たち。
 この季節になると、日本列島に腐臭が漂うような気がするのは、私だけだろうか?

 なお、この22日には、衆参統一補欠選挙も行われる。夏に予定されている参議院議員選挙の前哨戦。ここでひとつの流れが分かるだろう。

フランス大統領選挙(4月22日)
 与党国民運動連合(UMP)からはサルコジ内相、野党社会党からはロワイヤル元環境相が立候補。フランス初の女性大統領としてロワイヤル候補が当選するかどうかに注目が集まる。ここで社会党が大統領選に勝利すれば、アメリカのイラク政策へのフランスの反発はこれまで以上に強まることになる。それは、ヨーロッパ全体へも影響を及ぼすだろう。
 また、極右・国民戦線ルペン党首も立候補を表明。極右がどれだけの票を集めるかも、注目される。
 アメリカでも次期大統領候補に民主党ヒラリー・クリントン議員が有力視されているが、さて、我が日本で女性首相が実現するのは一体いつのことだろうか? ねえ、福島瑞穂さん。


 日本国憲法施行60年(5月3日)
 来年も再来年も、それからずーっと、この日を日本国憲法の記念日として祝い続けていたいものだ。

 イギリス・ブレア首相、労働党党首辞任(5月)
 ブッシュ大統領とともにイラク戦争を主導し、10万人を超すイラク国民を死に追いやった張本人。この月、ついに党首辞任。そして、当然のことながら、首相も辞任することになる。
 盟友を失うブッシュ大統領。頼るはもはや、なんでも言うことを聞いてくれる安倍首相のみか。

 主要国首脳会議(G8サミット) (6月6日〜8日)
  ドイツのハイリゲンダムで開かれるサミット。今回は、アメリカのイラク政策をめぐって、かなりの議論が交わされるのではないかという観測がある。しかし、世界で唯一つの超大国になってしまったアメリカに、鈴をつけられる国があるのかどうか。
そしてもう一つ、ロシアのエネルギー政策なども論議の的になるだろう。
 いずれにしろ、拉致問題を振りかざし北朝鮮制裁一辺倒で、ほかに何の提案もできない日本は、かなり影がかすんでしまうのではないかといわれている。

参議院議員選挙(7月中旬)
 そして、正念場の夏の陣。スキャンダル続きで支持率下がりっぱなしの安倍内閣だし、自民党はかなり劣勢だといわれている。しかし、対する民主党の人気もさっぱり盛り上がらない。
 なにしろ、肝心の「改憲問題」についての意見が、自民・民主両党ではその違いがどうもよく分からないのだ。
 選挙結果次第では、改憲派と護憲派に分かれて政界再編が起こる可能性も大いに考えられる。自民党内部のハト派とタカ派の亀裂がかなり強まってきているし、もし、自民党が大敗すれば、自民党タカ派は民主党内右派に手を突っ込んで誘い込み、巨大改憲政党を目指す事態もありうる。そうなれば、改憲に反対するハト派は否応なくまとまらざるをえなくなるだろう。
 むしろそのほうが、私たち有権者にとっては選択肢がはっきりして分かりやすくなる。
 しかし、そのような事態が進行したとき、いつまでも「ヌエ」のように煮え切らない公明党は、果たしてどちらを選択するのだろうか?


 とりあえず、夏の参院選までの状況を読んでみた。

 一体何が起こるのか、世の中、まるで一寸先は闇だ。それは私たちの国のことだけに限らない。
 紛争の続く中東諸国やアフリカの国々、そして、アメリカの横暴に対して「反米左派政権」が続々と誕生している中南米諸国。先進国と称される国々でも、貧富の差の拡大などは深刻な問題となっている。
 そんな中で、私たちの国の「憲法九条」が持つ意義は、ますます大きくなっているといえる。

 武器を持って他国に出かけるような軍隊を持たない。
 そのような武器は輸出しない。
 核兵器を絶対的に否定する。

 これほど他国から信頼される政策があろうか。
 九条の精神は、この政策を裏付けるものなのだ。


(今週のキイ選定委員会)
 
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