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今週のキイ

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 自民党はもうめっちゃくちゃの様相だ。すべてが選挙のため、意地も理想もかなぐり捨てての復党劇。
 それにしても、あまりに国民をバカにしている。このしっぺ返しは必ずやってくるはず。
そう思っていたら、早速、しっぺ返し第一弾がやってきた。
 安倍内閣、発足後たった2ヶ月で、なんだか政権末期の症状を呈しているような感じすら漂っている。

安倍内閣


 11月27日付けの毎日新聞が、世論調査の結果を報じている。

そこには

安倍内閣支持14ポイント減

 という大きな見出しが躍っていた。
 前回調査(9月26日、27日)からちょうど2ヵ月後の今回の調査では、安倍内閣の支持率が67%から53%へ、14ポイントも急落したという。それに伴い、自民党の支持率も42%から33%へ9ポイントも下落。
 内閣発足直後は「ご祝儀相場」ということで、支持率はかなり高めに出るというのは、政治の世界では常識なのだが、たった2ヶ月でこれほどの下落振りはあまり例がない。

 これは毎日新聞だけの結果ではない。各メディアの調査でも、ほとんど同様の結果が出ている。テレビ各局の調査でも、軒並み10〜15%ほどの下落傾向を示している。
 今回の「郵政民営化造反議員復帰問題」がここまでこじれる以前になされた世論調査の結果がこれなのだから、今、新たに世論調査を行えば、もっと衝撃的な結果が出るのは確実だろう。

 友人の新聞記者の話によれば、自民党執行部はこれらの情勢を悲観的にとらえ、すでに来年夏の参議院選挙の敗北を念頭において、政策の手直しに入ろうか、という段階なのだという。真っ暗な予測が出ているらしい。それも当然のことだろう。

 どう考えても、今回の郵政造反議員の復党劇は理屈に合わない。

 
「郵政民営化是か非か」のみをスローガンにして、ほとんど理由のない解散総選挙という大博打に打って出た「小泉選挙」だったが、それがまんまと功を奏し、あの自民党大勝利、という結果を生んだ。
 郵政民営化がいいか悪いか、との議論にはここでは触れないが、とにかく郵政民営化賛成の選挙結果が出たはずだ。ところが今回、それに反対して当選した造反議員(平沼議員を除く11人)の自民党復党を認めるという。
 つまり、民営化を認めた票も、それに反対した票もすべて自民党が総取りしてしまうというわけだ。
 これをズルと言わずして何と言うべきか。

 それならば、あの選挙は何だったのか。すべて誤魔化しではないか。
 賛成はこちらへ、反対は刺客で斬り殺す。それが小泉戦略、すなわち当時の自民党の戦略だったはずだ。ところが生き残った連中には、もはやその是非は問わない。次の参議院選挙のために、なりふり構わず復党を認める。
 これでは、票の2重取り、まさに詐欺だ。

 さすがにこんなことで、高支持率を保ち続けることはできない。
 自民党内でも、賛成反対入り乱れての罵倒合戦。
 政権党にしがみついて存在感のすっかり薄れつつある公明党でさえ、
「我々は、民営化賛成派の刺客候補を全力で応援したのだ。ここで我々と戦った議員たちの復党を認めるのは、我々の戦いを全否定することになるのではないか」と、党内から不満の声が噴出しつつある。
 さあ、どうする? 安倍首相。


 しかし安倍さん、例によってむぐむぐと歯切れの悪いことおびただしい。
 あの小泉選挙を、小泉首相と一緒になって推し進めた当のご本人こそ、安倍晋三官房長官その人だったはず。
 自分が推し進めた政策を、何の説明もなしに撤回する。

 「撤回首相」「訂正宰相」の面目、まさに躍如なのである。

 もしも安倍首相に、確固とした信念があるのならば、なぜ彼らを復党させたのか、自分のこれまでとってきた政策と矛盾しないのか、あの声高に叫ばれた「小泉改革」との整合性はどこにあるのか、それらをきちんと国民の前で説明する責任がある。
 ところがすべてを中川幹事長に丸投げして、自分は口を閉ざす。これが首相という政治の最高責任者のやることだろうか。これで国民の支持を得ようというのは、あまりに手前勝手というものだろう。


 とばっちりを受けたのは、いわゆる刺客たち。
 ここから、いわゆる「骨肉の争い」が始まる。
 同じ選挙区に、かつて真正面から闘った議員が同じ自民党員として並立する。これで泥仕合にならないわけがない。
 すでに岐阜では、くノ一刺客の佐藤ゆかり氏と造反復党組の野田聖子氏の、まさにくんずほぐれつの闘いが開始されている。
 「読むに耐えないような怪文書がばら撒かれている」
 「動物の死骸まで、自宅に投げ込まれた」
 などと、一昔前の田舎選挙でも見られなかったような醜悪な罵倒合戦が繰り広げられているのである。
 これが、私たちの国の未来をリードするはずの議員たちの実態なのだ。信念も思想もない、政治家にとってもっとも大切なはずの政策さえ、都合によってはかなぐり捨てる、知らん顔で変えてしまう、口をぬぐう、罵り合う。
信用などできるわけがない。

 同じような手口の叩き合いが、11人の復党組がいる全国の選挙区で勃発している。まさに「仁義なき闘い・死闘編」だ。
映画だってこうはいかないだろう。

 こんな有様の中で、教育基本法改定やら憲法改定のための国民投票法、防衛庁の省昇格案、共謀罪、さらには国民を締め付ける税制改革案などなど、重要法案が目白押しなのだ。


 しかし、特に安倍首相が狙うのは、愛国心強制の教育基本法改定。憲法改定への足慣らしとして、是が非でも通したいらしい。
 ところが教育問題についてのタウンミーティングでは、続々と「やらせ」や「動員」が判明。世論を自分の都合のいいように操作しようとして、かえって馬脚を現している。
「教育問題」を議論すべき場で、嘘とやらせを連発して、どうして教育が語れるのだろうか。そんな嘘とやらせを仕掛けるような連中に、教育基本法を云々する資格などあるはずもない。
 即刻、この教育基本法改定案は取り下げるべきだろう。タウンミーティングや公聴会をやり直し、国会での議論もやり直した上でなければ、どうにも納得できないのだ。

 こんなデタラメな内閣に、国の基本ともいうべき教育や憲法をいじくりまわしてほしくない、と痛切に思う。


 それにしても、四男を1ヶ月間だけ都の委員に任命して、ヨーロッパに出張させたり、自身の莫大な費用をかけた海外視察旅行などが批判されている石原慎太郎東京都知事といい、この安倍晋三首相といい、なんだかスキャンダラスな話が続々出てきている。それに対してこのお二人、開き直りとしか取れないような言い訳を連発する。
 石原知事の「四男は立派な芸術家、余人を持って代えがたい」などという発言には呆れてしまう。自分の息子を臆面もなく「立派な芸術家」と持ち上げ、「余人を持って代えがたい」と言うなど、本当にあなたは文学者なのか、と問いただしたくなる。
 普通の神経の持ち主なら、こんな恥ずかしい発言はできないはずだ。
 ほかにも、次々に逮捕される知事たち、談合疑惑で浮かび上がる官民癒着の構図。中央も地方も、もうガタガタではないか。
 安倍内閣と、新興宗教「慧光塾」との危うい関係なども、週刊誌で指摘され始めているが、この話、どこまで発展するのか見ものではある。

 私たちの生活と、自由や平和を託すに足る内閣や知事ではないということが、次第に暴露されつつある。

 
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