1. 青森県のタウンミーティングにおける やらせ疑惑の「うそ」
この報道には呆れ返った。でも、呆れ返りながら、「そういうことがあってもおかしくはないよな」と納得してしまう自分にも呆れる。もうそんなことが当たり前に行われているとしか思えないこの国の状況が悲しい。
文部科学省の「教育基本法改定」に関する内閣府主催のタウンミーティングで、出席の発言者に最初から教育基本法改定に賛成するような発言内容を頼み込んでいた。しかも、ご丁寧に「セリフの棒読みにならないように」との注意書きまであった。
本当に呆れるではないか、「意見」ではなく「セリフ」なのだ。つまり、このタウンミーティングとやらを主催した政府・官僚たちは、最初から意見など求めてはおらず、教え込んだセリフで形さえ整えればいい、と考えていたということになる。
税金を使っての茶番劇。
タウンミーティングなるものが、あたかも国民の声を広く聞くためのもの、という体裁をとりながら、その実、国民を自らの都合のいいほうへ誘導するための姑息な手段であることが、これではっきりしたわけだ。
しかしここでも腹立たしいのは、このイベントの責任者である官僚が「国民の皆様の活発な意見表明の援けになるように、多少のサジェスチョンをしただけ」と開き直ったことだ。
「活発な意見表明をさせないため」の言い間違いではないか。
これが「うそ」でなくて何だろう。
しかもこの「やらせ」には、さらに「うそ」があった。当初、文科省は「当方が依頼した方は駐車場がいっぱいで入場できず、結局発言はしていなかった」と言っていたのだが、これも真っ赤な「うそ」。はっきりと挙手をして発言していたことがバレてしまった。恥の上塗り。
都合の悪いことは、どこまでも「うそ」で逃げようとする。これが「日本の教育を司る文部科学省の実体」だ。教育が荒廃しないわけがない。
荒廃の原因を、彼らはすぐに日教組のせいにするけれど、他人のせいにするんじゃない、と言いたくもなる。
初めから、「やらせ」を仕掛けておいて、バレると「うそ」で誤魔化す。
「やらせ疑惑」と報道されているが、疑惑などではない。やらせそのものだ。こんな「うそ」を仕掛けて恥じない。それが「教育基本法改定」を叫ぶ政治家たちと高級官僚たちなのだ。
そんな連中に「教育基本法」をいじくらせてもろくなことはない。そんなことよりもまずやらなければならないのは「政治家倫理法」や「官僚道徳法」の制定ではないか。
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