そんな政治家たちが目立つ中、やはりこの人が躍り出てきた。
中川昭一自民党政調会長である。
安倍首相の盟友であり、二人してNHKの番組に圧力をかけたことでも有名な仲良し小鳩組(?)。
その右寄りぶりとお酒好きは党内でも際立っている方だが、ついに「日本も核保有の議論は必要である」と、吠えたのだ。
「日本も核保有すべき」というのは、中川氏のかねてからの持論だ。しかし、同様の持論をいままで振りかざしていた仲良しの安倍首相が、さすがに「首相の立場ではヤバイ」と思ったのだろう、「かねてからの政府の立場を踏襲し、非核三原則は堅持する」と、あっさりと(小さな核を持つのは憲法上も許される、というこれまでの)持論を引っ込めてしまった。
(靖国参拝、歴史認識、従軍慰安婦、村山談話と、安倍首相は前言訂正のオンパレード。まさに、このコラムでかつて命名したとおり「前言撤回首相」「訂正首相」の面目躍如の「闘う政治家」ではあるが、それはさておき)
安倍首相の変節で、持論を主張しづらい立場になっていた中川政調会長だが、さすがに機を見るに敏なのが持ち味、いまなら北朝鮮憎しでナショナリズム高揚中、何をいっても許されると思ったのか、こんな発言をした。
「核を持っていれば、攻められる可能性が低くなる、という論理はあるのだから、核保有についての議論はあっていい」(10月15日)
持って回った言い方だが、要するに核武装していれば攻められない。だから核を持とうよ、ということでしかない。
日本が痛苦な記憶と共に遠の昔に捨て去ったはず「核抑止力論」が、埃を振り払ってまたぞろその醜い顔をのぞかせたのだ。 |