ビックリ唖然の理由その3
さて、その政策案の中身も、きちんと見てみるとビックリするほど矛盾だらけだ。
例えば《具体的な政策》と題された中には次のように記されている。
[2]自由と規律でオープンな経済社会
(1)官と民との新たなパートナーシップの確立
○小さく効率的な政府の推進。民間活力フル活用。
しかし、《政権の基本的な方向性》と名づけられた基本姿勢では堂々とこう謳っているのだ。
自由と規律の国
●民間の自律と、過度の公的援助依存体質からの脱却
どうですか、これは。
つまり、「小さな政府」が公的援助削減につながるということは、さすがの安倍氏も分かっている。つまり、「自律」とは「自分のことは自分で面倒みろ」ということ。「援助なんかあてにするな」なのだ。
生活保護所帯や学童援助制度に頼らざるを得ない家庭の激増ぶりは、このところメディアでもひっきりなしに取り上げられている。それほど貧富の差、格差社会が広がりつつあるのを、政府の代表者になるべき人間が、きちんと見ていないし、むしろ見捨てる方向へ舵を切ろうというのだ。
あのトヨタでさえ、(その下請企業が)偽装請負や外国人低賃金不正雇用などで批判されている世の中で、「民間活力」が野放しにされたときに何が起こるか、安倍氏、知った上での政策提言なのか。
さすがにまずいと思った知恵者が裏にいたのかどうか、しきりに「再チャレンジ可能な社会」を言い立てる。
だが、そこに書かれているのは以下の文面。
○働き方、学び方などの複線化で、多様な生き方とチャンスにあふれる日本の実現
これほど無内容かつ冷酷な言い方もない。
「働き方の複線化」とは、何を意味するのか。
正規社員と非正規社員の格差がこれほど社会問題化している中で、「働き方の複線化」とは、すなわちフリーターやアルバイト、パート労働者の固定化を意味する以外の何物でもない。喜ぶのは誰か。
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