04年3月、東京都中央区のマンションで共産党機関紙を配っていた公務員が逮捕。また、05年3月には東京都町田市の都立野津田高校の門前で「日の丸君が代強制反対のビラ」を配った男性2人が逮捕、同年同月に同じようなビラの配布をして都立農産高校(東京都葛飾区)で男性1人が逮捕されている。
さらに、05年9月には東京都世田谷区の警視庁職員宿舎で共産党のビラを配布した男性1人が逮捕。
このような「逮捕」が、なぜか東京に集中していることにも注意が必要だろう。それが、治安維持にやたらと熱心で、大の共産党嫌い、日の丸君が代を強制し続ける東京都教育委員会を率いる石原慎太郎都知事のお膝元で繰り返されている逮捕劇だからだ。
この逮捕の裏に、とにかく自分の言うこと信じること以外には聞く耳持たず、批判者を口汚く罵ることで有名な石原知事の意向が見え隠れしていると考えるのは行き過ぎだろうか。
逮捕が、共産党の機関紙や宣伝ビラ、または日の丸君が代強制反対ビラなどに集中していることを考えれば、それほど的外れとも思えない。いままで、「共産党以外の政党」のビラや機関紙などの配布を理由に逮捕された事例はないのだから。
その知事の威光をかさに着てのあまりの強圧的な振舞いに、ついに都議会与党の自民党からさえ批判を受けて失脚したのが石原知事子飼いの浜渦前副知事だった。ところが、その浜渦氏が、なぜかまたもや都参与として復権した。もちろん石原知事の意向による。
なにせ、週に2〜3日しか登庁せず、それも午後の数時間でどこかへ消えてしまうという石原知事のもと、この腹心中の腹心・浜渦副知事がいなければ行政は何も動かなかったという。
かつて都職員たちは、すべてこの浜渦氏の許可を受けなければ、知事への意見具申ひとつできなかった。その体制に対する職員や都議会議員たちの不満が昂じて批判が渦巻きついに浜渦氏失脚に至ったのだが、ここに来てその浜渦氏が石原都知事の強い要求で都参与として復権したのだ。
浜渦参与は、石原知事以上の君が代日の丸強制論者だという。
さらに、東京都教育委員会の教育長として凄まじいばかりの君が代日の丸強制路線を貫き、大量の教職員の処分を行った最強硬派の横山洋吉氏が副知事に昇格している。強烈な布陣だ。
だから、君が代日の丸強制に反対するという思想表現の自由は、特に東京都では、まさに風前の灯なのだ。
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