産経新聞も、6月21日付けで次のように書いている。
陸自撤収
経済協力にシフト
空自は活動範囲拡大
政府は、イラクからの陸上自衛隊撤収後も、航空自衛隊C130輸送機の活動範囲をバグダッドやイラク北部アルビルに拡大し、米国や国連、駐留多国籍軍の人員、物資を輸送する。また、政府開発援助(ODA)など経済協力に軸足を移し、復興支援活動を継続する。
日米の軍事協力やイラク戦争などについては、徹底的にタカ派的論調を貫いてきたあの産経新聞、今回の「撤退」が実質的には「派遣拡大」であることを、キチンと見抜いている。(論調の示すとおりの結果になったのだから、産経新聞としては満足なはず)。
小泉首相は、本当の撤退など少しも考えてはいなかった。撤退はポーズのみ。そのポーズの陰での実質は、あくまでブッシュ大統領の意に添うこと。国民を欺くことなど、ブッシュ大統領への忠誠に比べれば、大したことじゃない、と思っているのだろう。
「大したことじゃない」ってフレーズ、どっかで聞いた?
このような小泉首相のやり方には、当然、批判も出てくる。普通に考えれば、どうもおかしい。当たり前の感性を持っている人なら、誰でもそう思うはずなのだ。
東京新聞6月21日付
派遣「常態化」させた首相
憲法論議 覆した「常識論」
<リード>
小泉首相が20日、記者会見し、イラクからの陸上自衛隊撤収を発表した。約二年半前、首相は国内の反対論を「常識論」で押し切り、自衛隊派遣に踏み切った。それが安全保障論議の積み重ねを根底から覆し、国会論議の形骸化を招いた弊害は否定できない。
<本文略>
ここでは本文は省略したけれど、要するに、小泉首相がなんでも「常識論」で押し通すことで、これまで積み重ねられてきた憲法論議、法律解釈、などがすべてどこかへ吹っ飛んでいったしまったという批判である。
国を治めていくということは、一つひとつの事象を検証して、それがいかに「常識」から外れていようが、法体系の中でキチンと整理され収められることを確認しながら進むということでしかない。それが法治国家の最低限の在り方。 |