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雨宮処凛がゆく!

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あまみや・かりん北海道生まれ。愛国パンクバンド「維新赤誠塾」ボーカルなどを経て作家に。自伝『生き地獄天国』(太田出版)のほか、『悪の枢軸を訪ねて』(幻冬舎)、『EXIT』(新潮社)、『すごい生き方』(サンクチュアリ出版)、『バンギャル ア ゴーゴー』(講談社)、『生きさせろ!〜難民化する若者たち〜』(太田出版)など、著書多数。現在は新自由主義の中、生活も職も心も不安定さに晒される人々(プレカリアート)の問題に取り組み、取材、執筆、運動中。非正規雇用を考えるアソシエーション「PAFF」会員、フリーター全般労働組合賛助会員、フリーター問題を考えるNPO「POSSE」会員、心身障害者パフォーマンス集団「こわれ者の祭典」名誉会長、ニート・ひきこもり・不登校のための「小説アカデミー」顧問。雨宮処凛公式サイト

雨宮処凛の闘争ダイアリー
雨宮処凛の「生存革命」日記

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もうすぐ選挙。の巻

「サヨナラ麻生」の「よせがき」。「麻生もハケン切りだ!」「豪邸を派遣村に」「地デジチューナーくれ」など様々な声が。

 いよいよ選挙が近付いてきた。私のもとにも日本だけでなく、韓国、台湾、シンガポールなどから取材依頼がある。海外メディアがもっとも関心を寄せているのはやはり「政権交代」だ。また、海外から見た日本のここ数年のイメージの変化ということも話題となる。ちょっと前までなら「アニメ」とか「豊かな国」「技術力」というイメージで語られた日本が、この数年で一気に「貧困」「格差」という側面から注目されるようになったという変化だ。この変化は、そのままこの4年間の政治の反映だろう。

 そんなふうに取材を受ける中で、シンガポールの記者の方と話をしていて驚いた。様々な国の人に「なぜ日本では失業したらすぐにホームレスになってしまうのか」と疑問を呈されてきたのだが、シンガポールでもそんなことはほぼ「あり得ない」という。なぜなら、シンガポールでは住宅の8割が安く手に入る公団。なので、日本のように失業したからといって家賃滞納で追い出されてホームレス、なんてことは滅多に考えられないそうだ。とりあえず失業しようが働けなかろうが「屋根がある」ことが保証される国と、そうでない国。今、いろんな政党が「貧困」「格差」に対して手を替え品を替えマニフェストに盛り込んでいるわけだが、今現在困っている人にもっとも有効なのは「住宅政策」だろう。そうやって様々な国の人と話をすればするほど、日本が「ちょっと躓いてしまった人」「困っている人」「路上生活を強いられている人」などのいわゆる「弱者」とされる人々に、恐ろしく冷たい国なのだということを改めて突き付けられる。

 さて、23日、選挙を直前にして開催された「サヨナラ麻生〜8・30選挙で何が問われているのか〜」に参加した。主催は「麻生を倒せ! ないかくだとう」実行委員会。勝手に倒れそうな麻生を自らの手で「倒させろ!」と立ち上がった「ないかくだとう」の人々は、これまでデモや街宣活動を繰り返し、また各政党に「ないかくだとう」を言いに行ったり、「太郎の晩ごはん」をチェックしたりしてきた。麻生への不支持率が高まっていく中で、街頭などで何の行動もないことに疑問を持った人々がそうしてアピールしてきたのだ。選挙直前で言うのもなんだが、やっぱり私は「選挙」よりも、こういった街頭での直接行動の方がずっと好きだ。だとうメルマガ「だとうのための500字」にも、「指をくわえて選挙を待ち、そのあげく『二大政党制』に仕込まれていた政権交代に幻惑されるのではなく、ただ淡々と牙を研ぐ」とある。本当はいつだってどんなやり方でだって政治に対して意思表示はできるはずなのに、「選挙」の時しかできない、と思い込まされていること自体が窮屈だ。それに、またまたこんな時期に言うのもなんだけど、「選挙」って、キモいことが多すぎる。自民党のアニメのネットCMなんて、本当にこの国に生まれたこと自体を恥じたくなるような情けなさだし、この前たまたま目にした政見放送もヤバかった。某政党の人たちが次々と出てきて「やります!」とか「変えます!」とか力説しまくるのだが、何かもう完全に目がブッ飛んでいて、「この人にだけは任せられない」というような、一発キメてるみたいなヤバさを全身から発しているのだ。そうしてどうしようもなく「引いて」しまう自分がいる。もちろん、「キモい」と思いつつも投票には行くが、投票率がどうのこうのという前に、選挙のやり方自体、どうにかならないものだろうか・・・。名前連呼したりとかひたすら手振ったりとか演説もワンフレーズを大絶叫とか、思わず「馬鹿にしてんのか?」と詰め寄りたくなってしまうことが多すぎる。

 さて、「ないかくだとう」イベントでは、「平和」「貧困」「民主主義」というテーマで様々なことが語られた。特に「民主党マニフェストを『平和』の視点から読む」というテーマで語られた志葉玲氏の話はとても興味深かった。軍事面で見ると、自公政権と変わらないのでは、いや、場合によってはより軍事大国化するのでは、という指摘だ。

 「貧困」ネタでは、年金もテーマとなった。65歳から貰える年金だが、そもそも「貧乏人は65歳まで生き延びることができないのではないか」という恐るべき、だけど冷静に考えたらひどく「正しい」指摘もあった。「民主主義」というテーマでは、やはり「世襲」にメスが入る。

 この夏、北海道に帰省したのだが、その時知人と話したことを思い出した。知人の友人の話で、その人は30代男性。が、正社員なのに月収12万円で働いているという。何年も働いているのだが、昇給は一切なし。同僚には中国人も少なくなく、更に安いお金で働いているのだそうだ。

 地方ではそんな現実がありふれている一方で、麻生は「金がないのに結婚しない方がいい」と言っちゃったり、舛添厚生労働大臣は「派遣村に4000人分の求人票を持っていったが一人も手を上げなかった」という大嘘情報に基づいて「怠け者に税金を使うつもりはない」などと発言したりしている(実際は村民はもちろん応募。が、「もう決まった」「ホントは募集してない」などと断られたのだという)。まあこんな自民党批判自体が今さら時間の無駄という気もするのだが、とにかく、もうすぐ選挙がやってくる。「派遣切り」などによって住居を失い、それに伴って選挙権を失っている人も多い中、選挙権はもう「当たり前に保障されている権利」ですらなくなってしまっている。だからこそ、この権利を行使したい。

選挙で一票を投じることも、
それ以外の場でそれぞれが「意思表示」をすることも、
どちらもきっと、同じくらい大切なこと。
まずは日曜日、選挙へ!

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