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あまみや・かりん北海道生まれ。愛国パンクバンド「維新赤誠塾」ボーカルなどを経て作家に。自伝『生き地獄天国』(太田出版)のほか、『悪の枢軸を訪ねて』(幻冬舎)、『EXIT』(新潮社)、『すごい生き方』(サンクチュアリ出版)、『バンギャル ア ゴーゴー』(講談社)、『生きさせろ!〜難民化する若者たち〜』(太田出版)など、著書多数。現在は新自由主義の中、生活も職も心も不安定さに晒される人々(プレカリアート)の問題に取り組み、取材、執筆、運動中。非正規雇用を考えるアソシエーション「PAFF」会員、フリーター全般労働組合賛助会員、フリーター問題を考えるNPO「POSSE」会員、心身障害者パフォーマンス集団「こわれ者の祭典」名誉会長、ニート・ひきこもり・不登校のための「小説アカデミー」顧問。「週刊金曜日」「BIG ISSUE」「群像」にてコラム連載。雨宮処凛公式サイトhttp://www3.tokai.or.jp/amamiya/
フリーター労組の忘年会にて。手作り料理が振る舞われる。
見た目はこう見るとアレですが、いつも素晴らしく美味しい。
12月31日から1月5日にかけて、東京都内に「派遣村」が出現するらしい。
場所は霞ヶ関、日比谷周辺で、「派遣切り」を受けて住む場所をなくした人たちに対しての緊急食事対策、住居対策が行われるという。
「派遣村」実行委員回の告知文にはこうある。
「『派遣切り』により数十万人規模の派遣労働者が仕事と住まいを奪われ、帰る家のない大半の派遣労働者がホームレス状態に追い込まれようとしています。
雇用促進住宅等への入居が進められていますが、住まいを奪われる数十万人の受け皿としては圧倒的に不足しています。
また、『派遣切り』による解雇が集中する12月31日及び直後の退寮日(1月1日〜1月4日頃)は、相談窓口になるハローワークは開いていません(後略)」
ということで、「派遣村」実行委員会は、年末年始にかけて家を失った人々の住居対策、食事対策に乗り出すのだ。今現在、家がない人、また年末に契約を切られてしまい行き場がない人などは、ぜひ「派遣村」を訪れてほしいと思う。詳細についてはこれから発表されるが、事務局は全国ユニオン。電話番号は03一5371一5202だ。
またフリーター全般労働組合は12月24、25日にかけて「越冬・ホットライン」を開催。時間は10時から20時まで。「契約期間が残っているのに仕事を切られた」「契約更新を拒否された」「寮(アパート)を追い出されそう。または追い出されて行くところがない」などの相談に応じる。主催は「不安定な仲間の生活を支える越冬実行委員会」。電話番号は03一3373一0180だ。
私の周りの労働/生存組合の人々は、現在、本当に見ているだけで頭が下がるほどフル稼動し、ほとんどがボランティアにもかかわらず、睡眠時間や身銭を削って派遣切りなどの目に遭った人々がホームレス化しないよう、活動している。本当に、過労で倒れてしまうのではないかと思うほどに。そんな人たちの姿を目の当たりにしていると、何もしてない自分が恥ずかしくなって、自分も何かしなくちゃ、という気持ちになる。できることはタカが知れているけれど、だから私も派遣村に手伝いに行こうと思っている。
しかし、状況はやはり相当に厳しい。いたたまれない事件も起き始めている。例えば12月16日には派遣の仕事がなくなった35歳の男性がコンビニで現金を奪おうとして強盗未遂で逮捕。4万円の家賃を3ヵ月前から滞納し、所持金は9円。11月に派遣社員として働いていた運送業の仕事がなくなり、仕事を探すもののどうにも見つからず、水だけ飲んで暮らしていたという。(asahi.com 08/12/16 共同通信08/12/16)
また、12月22日には36歳の男性が「悪さをすれば逮捕され、食事にありつけると思った」という動機で三重県伊勢市の公用車を傷つけ、逮捕される。男性はネットカフェや公園などを転々とし、所持金は183円。「逮捕されれば食事も布団も手に入り、正月を過ごせると思った」と話しているという。(asahi.com 08/12/22 共同通信08/12/22)
京品ホテルに行ってきました。
一体どこの国の話なのかと耳を疑いたくなってしまう。「刑務所の福祉施設化」が指摘されて久しいが、それはこれまで、高齢者や障害を持つ人々の話だった。しかし今、寒さと空腹に耐え兼ね、ロスジェネと呼ばれる同世代の人々が「食事と布団」にありつくために犯罪を冒している。しかも公用車を傷つけた男性に至っては、「一般の車を傷つけると迷惑がかかると思い」、公用車を狙ったのだ。なぜ、彼らがこれほどまでに酷い目に遭わなくてはいけないのか、まったく納得がいかない。そして派遣切りを受けた人の中からは、既に自殺者が出ているということも聞いている。
福井県の東尋坊では「派遣切り」での自殺志願者が相次いで保護されていることも報道されている。11月には派遣切りの4人が保護され、その中には所持金が50円、100円の若者もいたという(毎日jp 08/12/13 読売新聞08/12/16)。
と、ここまで書いて、気付いた。今年最後の原稿なので、「2009年はどんな世界になるのか?どんな世界を望むのか?」というテーマで書かなくてはいけなかったのだ。が、最悪の事態を前にして、「希望」をなかなか描けないでいる。ただひとつ希望があるのは、今、自分の目の前に広がっている光景だ。それは「貧乏人がお互いを助け合っている世界」だ。金もコネも時間もない中、本当に私の周りのプレカリアートな人たちは、「なぜここまで?」というほどに「助け合い」をしている。ボランティアで相談を受け、ホットラインを開催し、派遣村を作ろうとして、様々な闘いを繰り広げている。
そんな「助け合い」の世界が、どんどん広がっていけばいい。貧乏人だけじゃなく、今そこそこ安定してる人たちや、いわゆる「金持ち」も、当たり前に助け合う世界。「見て見ぬふり」をして「自分には関係ない」と切り捨てない世界。なんでそんなささやかなことが実現されていないのだろう。
09年に望むこと。その前に、「年を越せない」人たちが、無事1人も凍死せずに年を越せるように。それが私の精いっぱいの願いだ。
こんな状況下にあって今希望と言えるのは、
雨宮さんの目の前にある「困っている人同士が助け合っている姿」。
「そこそこ大丈夫で、今は貧乏でない人」も一緒に「助け合う」輪が、広がっていく。
そんな当たり前のことについて、人々がアクションを
起こせるようになれば・・・日本は変わっていくかもしれない。
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