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あまみや・かりん北海道生まれ。愛国パンクバンド「維新赤誠塾」ボーカルなどを経て作家に。自伝『生き地獄天国』(太田出版)のほか、『悪の枢軸を訪ねて』(幻冬舎)、『EXIT』(新潮社)、『すごい生き方』(サンクチュアリ出版)、『バンギャル ア ゴーゴー』(講談社)、『生きさせろ!〜難民化する若者たち〜』(太田出版)など、著書多数。現在は新自由主義の中、生活も職も心も不安定さに晒される人々(プレカリアート)の問題に取り組み、取材、執筆、運動中。非正規雇用を考えるアソシエーション「PAFF」会員、フリーター全般労働組合賛助会員、フリーター問題を考えるNPO「POSSE」会員、心身障害者パフォーマンス集団「こわれ者の祭典」名誉会長、ニート・ひきこもり・不登校のための「小説アカデミー」顧問。「週刊金曜日」「BIG ISSUE」「群像」にてコラム連載。雨宮処凛公式サイトhttp://www3.tokai.or.jp/amamiya/
適当な写真がないので、うちのつくし(3歳)で我慢して下さい。
今月はモロモロ理由があり、月の原稿量がいつもより100枚くらい多いという恐ろしいことになっている・・・。普段の連載の枚数でもいっぱいいっぱいだというのに、普段より100枚増量。それ以外にも講演やイベント出演や取材も多く、なんだかまたしても「過労死」の3文字がちらついてくる毎日だ。皆さんの知らないっぽいところでは、「新潟日報」や「ゲームラボ」でも連載してるのでよろしく。
そんな状況の中、万難を排して駆け付けたのは「筋肉少女帯20周年記念in武道館」!!どーだ、見上げた元バンギャ魂!
ふふふ・・・。今、私はたぶん、武道館に行けなかった全国の筋少ファンから羨まれているはずだ。ふっふっふ・・・。それにしても20周年とはすごい。で、考えてみたら、そんな私自身も20年近くオーケンファンをやっているのだからある意味すごい。あー、嬉しかったな、一曲目の「サンフランシスコ」。途中でオーケンの血糖値が下がり(?)、チョコを求めて中断、という展開も素晴らしかった・・・。ふっふっふ、来てた人しかわかんないだろ。
と、過労が極まってくると、こうして原稿に「楽しい思い出」しか書かなくなってくる、という癖が私にはある。なぜなら、楽しい思い出は書くにあたっての負担が少ないからだ。いろいろデータ調べたりしなくていいし。他の手段として、「人の悪口(主に政治家)」という手もある。ムカつく政治家の悪口とかは、どんなに疲れていてもスラスラ書けるからだ。
と、ここまで書いて、麻生氏が自民党総裁になったことを思い出した。テレビでは彼の「華やか」な経歴が報じられている。というか、生まれながらに特権階級というだけの話だ。ああいうのを見ると、「格差社会」とか言っても最初から頂点にいる彼にはまったく意味不明な話だろうと思い、非常に反感を感じるので、是非もっと彼の「セレブっぷり」を流し、同じように反感を持つ人を増やしてほしいものである。
こんなふうに思うのは、数日前、人づてで私の手元に届いた一通の手紙の影響も大きい。
差し出し人は、10年ほど前によく一緒に遊んでいた友人。懐かしい思いで封を開けると、トンデモないことが書かれていた。その友人(女性)が、1年ほど前からホームレス生活をしているという内容だったからだ。
彼女と出会ったのは、もう12年くらい前。ロフトプラスワンのイベントでだった。確か、オウムとエヴァンゲリオンをテーマとしたイベントで(懐かしいな・・・)、出演したのは元オウム信者など。イベント後、元信者たちとイベントのお客さん数人で朝までファミレスで語り合い、その中に彼女もいたのだ。私たちは連絡先を交換し、以来、ロフトプラスワン界隈でよく一緒に遊ぶようになった。イベントがなくても会い、会えば必ず朝まで飲んだ。
しかし、ここ数年はすっかり疎遠になっていた。そうしているうちに、当時一緒に遊んでいた人たちの興味の対象もそれぞれバラバラになっていって、よくある話だけど、気がつけばそれぞれの連絡先もわからなくなっていた。
そんな彼女からの突然の消息を知らせる手紙。当時30代だった彼女は、バイトを転々として暮らしていた。精神的な病気も抱えていて、家族との関係も複雑なようだった。その境遇は、年齢以外、当時の私となんら変わらない。精神的に不安定で、バイトもなかなか続かなくて、続けられてもすぐクビになってしまって、親との関係も複雑で、そんな、当時の私とあまりにも似た境遇の彼女が本当にその10年後にホームレスになっていたという現実。私と彼女は同じ「階層」だと思う。そして当時の私の知り合いの多くがそうだった。フリーターなど非正規の職を転々とし、精神的な問題を抱え、親にも頼れず、地方出身。高校中退や中卒の人も多かった。将来の話なんか怖くてしたくないから、いつも私たちはサブカルネタばかり話していた。その多くが、やはり筋少ファンでもあった。時々少し先の未来の話になってしまうと、「うちらの将来、どうせホームレスだよね」ということになった。それが本当に現実のものとなってしまっている。
手紙には、彼女の携帯番号が書いてあった。慌ててかけたけど、出なかった。それからも何度もかけているが、電源が入っていなかったり出なかったりで繋がらない。携帯にかけるたびに、「止まっていませんように!」と祈るような気持ちで思う。この携帯が止まってしまったら、彼女の最後のライフラインは切れてしまう。あまりにも、あっけなく。
手持ちの「条件」が少しだけ悪かった人から、どんどん本気で生きられない社会になっている。
ああ、本当にこの国の底が抜けていることをこんなにヒリヒリ感じて泣きたい気持ちなのに、どうして麻生の勝ち誇った顔なんか見ないといけないんだろ。
ちょっとした「運の悪さ」や「手持ちの条件」が、少し悪かっただけで、
ホームレスに転落してしまうという現実が、またつきつけられました。
それでもまだ、あなたは「人ごと」だと無関心でいられますか?
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