ガブリエル |
ドイツでは歴史は8年間勉強するけど、 その半分はナチスドイツの時代がテーマなんだ。 |
マルクス |
それはいまの話だろ。 戦後はぜんぜんなかった。 |
――あのころはまだタブーだったのかな。 |
マルクス |
敗戦直後だから、「あの歴史が何だったのか」なんて 振り返る余裕もなかったんだろうし。 |
ガブリエル |
いまの(ドイツの学校での)歴史の授業は熱いよ。
思い出すのは、各自が戦争の写真をもちよって、
1年間議論を続けたこと。
なかには目を覆いたくなるような写真もあった。
ところが、
2〜3年前に交換留学で日本の学校の授業を受けたとき、
日本人の先生に(日本の) 戦争について質問されたんだ。
「こういう事実は知ってるかい?」って。
だから「知ってます」って答えた。
そうしたら、「何で知ってるんだい?」
「いや、(このくらい知っているのは)普通です」
「どうして普通なんだい?」
「どうしてって言われても……」(笑)。
日本の若い世代は自分の国が戦争をやったことは知っていても、どんなことをやったかは知らないんじゃないかな。
ぼくは子どものころ、おじいちゃんから戦争のことを
よく聞かされたもの。
本人にはつらい話だったみたいだけど。 |
――日本では、つらいから話したくない
という人の方が多いのかもしれない。 |
ガブリエル |
日本人は天皇のために戦った。
ドイツ人はヒトラーのために戦った。
でも、ヒトラーは外国人(オーストリア人)だった。
だから、日本人の方があの戦争をポジティブにとらえる人が
多いのかな。 |
ダニエル&
マルクス |
うーん……。 |
――今日はいろいろ話してくれてありがとう。
それにしても、君たちぐらいの年齢でそうした議論をするのは
ドイツでは普通なの?さっきの日本人の先生の質問みたいだけど。 |
ダニエル |
ぼくたちが特別なわけじゃない。
フツーだよ。
ただ、ドイツ人のキャラクターでいえば、
日本人よりやかましいね。
でも、イタリア人やスペイン人はぼくらの上を行く(笑)。 |
ガブリエル |
(ドイツの学校の)授業では、右のやつも、左のやつも
がんがん発言する。 |
――「政治の話はしないでおこう」っていう雰囲気はない?
「こんなこと言ったら変に思われるから
(言うのを)やめておこう」とか。 |
ダニエル |
考えていることを言わないというのは、あまりないなあ。 |
マルクス |
日本人に政治の話題は避けようっていう傾向があるんなら、
その逆を『マガジン9条』でやればいいじゃない。
たとえば、学校で週1回は議論の授業やろうと提言するとか、
兵役じゃなくて、議論を義務づけるとか。 |
――あっ、それいいなあ(笑)。
『マガジン9条』には若い世代の人たちに登場してもらいたいんだよね。
たとえばミュージシャンや俳優……。 |
ガブリエル |
B'zとか? |
――B'z知ってるの? |
ガブリエル |
いいよお、B'zは。 |
マルクス |
浜崎あゆみ(に登場してもらうっていうの)はどう? |
――へえ、「あゆ」が好きなんだ。意外だなあ。 |
マルクス |
いや、これは書かないでくれても……。 |
ダニエル&
ガブリエル |
何言ってんだよ。
「考えていることは言わなきゃいけない」って話を
したばかりじゃないか(笑)。 |
実は“あゆ”が好きな
マルクス(左) |