マガジン9
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2011-11-09up
「マガ9学校 第12回」
2011年10月29日(土)14:00~17:00
@カタログハウス本社地下2階セミナーホール
おしどり●マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。吉本クリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。 ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパ(オーストリア、イタリア、ハンガリー、ドイツ、スイス)の劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。
佐川晴香さん●福島県いわき市住民。東日本大震災の3日前、3月8日に初めての子どもを出産。現在も家族とともにいわき市に暮らす。
佐藤健太さん●福島県飯舘村住民。3.11の福島第一原発事故後、村の子どもや若者を早急に避難させるよう、ツイッターなどで訴え続けてきた。子どもたちの未来を考える村民組織「負げねど飯舘」常任理事。
まずスタートは、おしどりさんによる「音曲漫才」から。マコさんのアコーディオンの調べにのせて、軽快な話術と歌、そこに息もぴったりのケンさんの針金芸が華麗に繰り広げられます。いつもの「マガ9学校」のホールが、あっという間に華やかなステージになりました。会場には小さい子ども連れの参加者や少し緊張気味のお一人での参加者の方もちらほら見えましたが、笑いに包まれる中、すっかり和やかな雰囲気に。
おしどりさんの「芸」を楽しんだ後は、第一部は福島県いわき市にお住まいの佐川晴香さんのお話を、マコさんが聞き役になってじっくりと伺います。マコさんと佐川さんとの出会いは、連載コラムにも詳しく書かれています。3・11の直前に生まれた小さな女の赤ちゃんをオンブしているその若いお母さんが、今のこの日本でどんな状況に置かれているのか、何をのぞんでいるのか、なぜそれがかなわないのか・・・などを、当事者本人の口から、語ってもらいました。時に涙ぐみながら、声をつまらせながら。それでも「私はただ赤ちゃんの命を守りたいだけなんですよ」とまっすぐ前を向いて語る彼女の後ろに、同じような思いをし、困難な状況にある、たくさんのお母さんたちの姿を見た気がしました。
第二部は、福島県飯舘村の住民の佐藤健太さんのお話をじっくりと聞きました。佐藤さんは、村がどんな状況にあるのか、また村の子どもや若者を早急に避難させて欲しいという訴えを、twitterなどを使って、訴え続けてきた方です。おしどりさんと佐藤さんとの出会いもまた、連載コラムに書かれています。
まず3・11以前の、飯舘村の春夏秋冬の美しい情景がスクリーンに映し出されました。四季の変化がはっきりと見てとれる、まさに日本の里山の原風景です。しかし3・11後の村の風景は・・・。村民の方たちだけでなく、私たち日本人にとっても、本当にかけがえのないものを失ってしまったのだ、ということをこの瞬間に再確認させられたのでした。
このような美しい村を作り上げてきた村人たちは今、「除染して村にもどるのか」「除染はせずにそのままの姿で村は残し、村人たちは別の場所で生きていくのか」という、真っ向から異なる意見を議論しているところです。
この「除染して復興する」という動きは、「放射能汚染による健康被害を考えて避難・保養・移住したい」という住民の希望を半ば無視するような形で進められている様に感じました。新聞やテレビは「除染で復興へ」というムード一色ですが、福島の方々の気持ちは揺れに揺れています。そういう住民たちの細かな心の動きや葛藤については、直接丁寧にお話を伺うことで初めてわかりうること。だから「生」でお話を伺うことの大切さを改めて感じる時間となりました。
第三部は、おしどりさんと佐川さん、佐藤さんが、会場からの参加者の声を聞きながら、一緒に話し合うコーナーです。まず手をあげてくださったお母さんは、都内に住む方ですが「ホットスポット」とされた場所にあるため、お子さんの内部被爆のことを心配されています。ネットを使って懸命に情報収集しても、その心配を訴える場所がないことを話されました。行政も学校もそして同じお母さん同士でも、なかなか「子どもの被爆のことを心配している」という声が上げられない。上げると「神経質すぎる」と取り合ってくれない。「異端扱いされる」などと驚くべき話が次々と話されています。
「東京に住む私たちも、本当に子どもの被爆のことを心配しています。そして声を上げられないことに苦しんでいます。福島のお母さんたちのことは、人ごとだとは決して思っていません。つながっていると思いますし、こうして直にお話が聞けて、思いを共有できたことが、本当に良かった・・・」そんなお母さんからの発言が多くありました。
予定時間を30分オーバーしてしまいましたが、話はつきることはなく、佐川さん、佐藤さんも「話したいことはまだまだある」と名残惜しそう。いつまでも参加者の方々が彼らを取り囲み、おしゃべりの輪ができていました。
ところで今回、初の試みとしてユーストリーム配信も行いました。当日は会場の環境もあり、少し荒い画像をライブ配信しましたが、改めて11月14日(月)の21:00から、高画質のものを配信する予定です(配信は、一部、二部のみの予定)。またtwitterなどでお知らせしますので、どうぞご覧ください。
*
●アンケートに書いてくださった感想の一部を掲載いたします。(敬称略)
核をめぐる国際情勢のこと、勉強になりました。全ての人が潜在的当事者であるという意識に強く同意します。(鶴久竜太 23歳 学生)
ある程度、ネット情報やtwitterをフォローしているつもりだったが・・・やはり現実はさらに想像の上をいっていた。除染の話、避難の話、自由にものがいえない社会。どうなるんだ、この国は。(会社員)
佐川さん、佐藤さんら福島県民の声を直接聞けて良かった。 おしどりマコさん、期待通りでした。県(行政)の動き、すり替えなどの現状が良くわかりました。 (石掘健次)
情報が多く、福島の人の気持ちを聞くことができて良かったです。色々と気づくこと(水俣病との類似点など)多くありました。 (団体職員)
福島県の方々の生の声が聞けて、とても嬉しく思いました。お母さん達の苦しみが本当に切なくて、可能ならば疎開してもらいたいし、私にお金があったら援助したい・・・。嘆いてばかりいても仕方ないので、地元の議員に働きかけねば!と思いました。このような対話の機会を作ってくださった皆様に感謝しています。自分でもできることを探しつつ、一緒にこの苦しみを乗り越えていきたいです!(ツツミ ユカリ)
来て良かったです。生の声はやはり違います。(通訳)
おしどりさんのライブだけでなく、福島の方たちの生の声を聞けて良かった。(村田泰子)
ネットでもわからない事がまだまだあって(あたりまえですが)、勉強になりました。小さいですが進んでいきます。(主婦)
福島の方のお話が聞けて良かったです。ありがとうございました。何がおかしいのか、良くわかりました。除染したところで、また新しい放射性物質が降り注ぐのに、果たしてこの行為は正しいのか、本当に疑問です。子供たちだけでも避難させて欲しいです。おしどりさんの姿勢に励まされています。信頼できる団体やNPOを支えることをしていきたいと思っています。(匿名希望)
今までメディアを通じて聞いていた話、気持ちを直接聞けた事がとても有意義でした。知ること、考えること、動くこと全てが何かにつながっていくという、自分が感じていたことを明るく力強くおっしゃっていただけた事が印象的でした。(田崎彩)
タイムテーブルを見た時は、時間が長いと思いましたが、始まってみると内容が濃く、時間もあっという間でした。東京在住で最近、やや、「(原発事故)もう大丈夫かも」とマヒしている感じでした。が、目が覚めた思いです。(自営業)
何よりも生の声を聞くことができて良かったです。飯舘村の除染計画の話は、本当に驚きました。また、こんな状況であるのに、何よりも大金もうけだけで、世の中がまわっているのが、本当にやるせなく思います。なんだか自由にものが言えない戦時中のような状況です。(匿名希望)
美しい村の風景が、3.11以降に激変、かつて存在していたと過去形になった事に涙が出ました。住民の命を守るべき行政の対応にしてもひどいです。何のための役場なのか・・・真に守るべきものを考えて欲しいです。現地の人々の苦しみが直に伝わってきました。このような「生の声」を広く人々に伝えるべきだと思います。(荒井祐子)
ゲストの佐川晴香さんと佐藤健太さんの実体験に基づいたお話を聞くことができて、とても良かった。原発事故にまつわる不条理すぎる現実をリアルに知ることで「遠くの悲劇」が自分につながる「身近な出来事」になる。第三部で発言された首都圏のお母さんたちの切実な話も身につまされた。(匿名希望)
原発事故や放射能汚染など、これまでネットの動画や本などからしか得ていない情報ばかりだったので、こうして現地の方の生の声を聞くことが出来たのは、非常に有意義でした。自分の出来ることを自分のペースで進めて行きたいです。(野口義孝)
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