080206up
この頃、あまりいいニュースはありませんねぇ。書いている私も近頃は、なんだか軽いウツ状態です。寒いってこともありますが、どうもそれだけではないようです。
心も、妙にうそ寒いのです。
グランドプリンスホテル新高輪が、日教組の教研集会全体会議での会議場の使用を拒否しました。
日教組とホテル側は、正式に使用の契約を結んでいたにもかかわらず、「右翼団体の街宣車の活動によって、付近住民に迷惑がかかる可能性がある」という理由で、突然の使用拒否。
日教組は、ほかに2000人もの人間が使用できる会場をすぐには手当てできず、やむを得ず開会を諦めました。こんなことは、教研集会が始まって57年の歴史の中で、初めてのケースだということです。
東京地裁も高裁も、「使用させないのは法律違反」との裁定を下したのですが、ホテル側は裁判所にも従わない。
当然、日教組側は「損害賠償訴訟」を起こす構えです。これは、どう考えても日教組側が勝つ。すでに裁判所の判断は下っているも同然なのですから、ホテル側が賠償金を支払わなければならないのは、目に見えている結末です。
ホテル側は、「お金で片がつくならそれでいい」という考えなのでしょう。表現の自由も集会の自由も、ひいては民主主義も、お金の前には無力だったということです。
しかし、こんなにあからさまに、お金でもって法律さえ無視した企業も珍しい。“恥”という文字を知らないらしい。
電車の窓から「グランドプリンスホテル(愚乱怒腐倫酢)新高輪」が見えます。私はこれから、そのそばを電車で通るたびに、今回のことを思い出すでしょう。もう絶対に、このホテルには(系列のホテルにも)足を踏み入れないつもりです。
これを読んでくれているみなさんにも呼びかけたい。もう二度と、このホテルを使わないで欲しい、と。
国歌斉唱時に起立しなかった、という理由での公立校の教職員の処分が横行しています。そんななか、次のようなことが起こっていました。
起立しなかった教職員の氏名を、神奈川県教育委員会が収拾していたことに対し、県個人情報保護審議会は、「その収拾は個人情報保護の立場から、不適当である」との答申を出していました(毎日新聞2月4日夕刊)。
ところが県教育委員会は「思想信条に従って不起立などの行動をされては、学校運営に大きな支障がある」として、継続の判断をした(朝日新聞・同)というのです。
公立校の教職員については、思想信条の自由など認めない。これは、東京都教育委員会が、誰になんと言われようが、固く守ってきた政策です。それと同じことが、この神奈川でも行われていたわけです。
しかし、それならばなぜ「個人情報保護審議会」なんてものを作ったのか? 答申を出すことによって、行政の行き過ぎなどをチェックするための審議会ではないのか?
答申を出しても無視されるようであれば、そんな審議会は不必要だということになります。これでは、きちんと審査する機関があるから安心しなさい、という対外的ポーズにすぎません。
建前ばかりの民主主義、前述のプリンスホテルと同じ論理が、ここにも使われています。
自分の考え方に適さなければ、公的機関が何を言おうと無視していいのだ。もはや、この国の民主主義なるものは、機能していません。
大騒ぎです。そして、またもや中国バッシングが始まっているようです。
ことは「食の問題」。ないがしろにできることではありません。それでも、このことに乗じて、またしてもナショナリズムのぶつかり合い。
日本ではむろん、「危険な食物を平気で輸出するような中国はけしからん。こんな国でのオリンピックなどボイコットするべきだ」という論調が出てきています。
対する中国。「日本は騒ぎすぎ。どこで混入したのか分からない農薬を、すべて中国側のせいにして、経済発展で取り残されつつある自国のウップン晴らしをしている」
どっちもどっちの言い分ですが、とにかく冷静に、何がどこでどのように起きたのかを、きちんとと調査し、責任の所在を明らかにするしかありません。でなければ、安心して食べ物を口にできません。
冷静に考えれば、日本の食料自給率は、たったの39%。61%は外国からの輸入に頼っているわけです。その輸入相手国としては、中国がダントツ。つまり、もはや中国なしでは日本の“食”は成り立たないのです。
そんな国にしてしまったのは、誰ですか?
いつも「やまねこムラ」の村長さんが、お書きになっているではありませんか。
「このままでは日本は危ない。軍事や政治での安全保障は大切だが、もっと大切なのは食糧安保じゃないか」
道路造りばかりに血道をあげて、「地方の疲弊は、道路造りによって立て直すべき」などと、いまだに大声張り上げている政治家たち。道路は、口には入らない!のですよ。
地方の復活は、農業政策を見直すことから始めるべきじゃないのでしょうか。そして、安全な食物を、身近なところから供給できるようなシステムを作るのが、本来の政治ではないのでしょうか。
もうひとつ、この“農薬餃子”で気になる点。
それは、日本語が印刷された包装紙によるパッケージまで、すべて中国現地で行っているということ。それはつまり、日本企業の注文に応じて中国で生産しているということです。最初から、日本向け製品です。中国国内では流通していない製品です。「手作り餃子」とは、中国国内での“手作り”の意味です。
発注元の日本企業の責任も、大きく問われなければならないということでしょう。同時に、あのアメリカ産牛肉のBSE問題のときも同じでしたが、日本のチェック体制ももう一度調べなおす必要があります。それらを抜きにして、中国が悪い、日本が酷い、と非難合戦していても仕方がない。
さっそく出ました。
橋下徹次期大阪府知事が、もう凄いことを言っています。岩国市長選挙についての発言です。
「国家の防衛政策に関する案件については、地方自治体が異議を唱えるべきではない。間接民主主義制の日本では、直接民主制の住民投票は制限されなければならない。したがって、岩国市長は、日本の安全保障体制のために、米軍再編に伴う米軍機移転を受け入れるべきだ。私はその受け入れを明言している自民党推薦候補を応援する」という趣旨の発言です。
まあ、露骨。
「ロコツ、ロコツは厭だねぇ」とおっしゃったのは、山口瞳さんではなかったでしょうか。
地方は国の言うことに異議を唱えてはいけない。黙って、政府の意見に従っていればいいのだ、という恐るべき意見です。どんなにひどい基地被害、騒音や衝撃波の被害、アメリカ兵の犯罪などがあっても、それは国家の安全のためだから、お前たちは我慢しなさい、ということと同じです。
「国家とは、そこに住む人々の総体のこと」と考える私などとは、根本的に違います。
大阪府民に「府はこういう施策を採る。これは、府のためだから、少しは不平不満もあるだろうが、府民は黙って従いなさい」ということに、いずれなりかねない。
それでいいのですか、大阪府民のみなさん。
見事なほどの腰砕けでした。
相も変らぬ、民主党のていたらく。あっさりと議長斡旋を受け入れ、今年度内(3月31日まで)の税制関連法案の成立に与党と“合意”したというのです。
あの“ガソリン値下げ隊”とやらの大騒ぎは、何のためだったのでしょう。さっぱりわけが分からない。
結局、現在のガソリンにかかっている税金は、そのまま維持される見通しになってしまったようです。リッターあたり25円の値下がりという期待は、夢幻。
なぜそこまでして、34年も続いた“暫定税率”を維持(延長)しなければならないのか。
<道路は続くーよ、どーこまでもー>です。
自民党の長老たちでさえ「あの“つなぎ法案”は、スジが悪い。あんなことは、国会の権威そのものを壊すことになる」と、懸念を表明していたヒドイ法案を、委員会で強行採決までしたことへの怒りなど、ケロリと忘れての妥協劇。
見ている観客のことなど、まるで頭にないようです。
ところで、この件に関して少し笑えたのは「産経新聞」です。
ほかのメディアがすべて“つなぎ法案”と呼んでいるのに対し、産経だけはなぜか、同じ法案を“ブリッジ法案”と書いているのです。
“つなぎ”は、どうも“まやかし”ぽくて感じが悪い。つなぐのは橋だから、ここは“ブリッジ”でいこう、というイメージ操作ではないか、と勘ぐる私は考えすぎ?
英語をわけの分からない日本語訳でゴマカして真相を隠してしまうのが、毎度の外務省の手ですが、今回は逆に、日本語を英語にして悪印象を拭っておこう、というわけでしょうか。
グフフフ…と、黒い笑いが漏れてしまいました。
ブッシュ・アメリカ大統領が、最後の「教書演説」をしました。任期もあと1年。もうほとんど誰にも関心を持ってもらえない人の、なんとも虚しい演説でした。
それでもなお、ブッシュ大統領は、イランへの敵意と憎悪をむき出しにしています。イランの核武装への恐怖を煽り立てます。しかし、アメリカの情報機関はすでに「イランは核開発を4年前から放棄している」との正式な報告書を公表しています。自国の正式な報告書すら、ブッシュ大統領は読んでいないのか。
かつて、大統領選の候補者討論会で、「イランはどこにあるのか?」と問われて答えられなかったブッシュさんです。実は今でも、イランのことなんか、あまり深くは理解していないのかもしれません。
そんな人に指導されて、イラクやアフガニスタンで戦死したアメリカ兵の数は、4千人をはるかに超えています。その家族にしてみれば、泣くに泣けない心境でしょう。
さらに、そんな誤った認識の下での攻撃や爆撃によって死亡したイラク住民は、国際NPO「イラク・ボディ・カウント」によれば、10万人を超えているのは間違いないとのことです。
ブッシュ大統領、今回の演説では、北朝鮮問題には一切触れませんでした。彼にとっての最後の歴史に残る大仕事、それは北朝鮮との国交回復です。
そのために、金総書記に対して「親愛なる総書記閣下」で始まる親書を送ったほど。
日本政府や拉致家族会などが要請している「拉致問題のための圧力路線」など、まるで考慮する姿勢はありません。すでに研究者の間では、アメリカは「日本切捨て中国重視」に舵を切ったとの見方も広まっています。
それでも日本政府は、そのアメリカへ擦り寄ります。その路線が、あの給油法でした。
切ない、です。
もう“独立”しても、いい頃じゃないですかね。
(小和田 志郎)
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