080130up
このところ、毎回、同じようなフレーズみたいな気がするけれど、それにしても寒い。
今年は暖冬、と予想した気象予報士のみなさん、どうしてくれるんだあ、と喚いたところで仕方ない。というより、地球温暖化が叫ばれる中で、こんなに頑張って寒気を作り出している地球のけなげさに、なんだか感動してしまいそうになる。
そんな我が惑星の懸命の営みにもかかわらず、なぜか“心がザラつくニュース”が多いこのごろである。
ところで、優勢な民主党にも、あまり芳しくない情勢が生まれてきている。
現在まで2勝2敗のオバマ候補とヒラリー・クリントン候補が、互いに非難合戦の、泥仕合を始めてしまったように見えることだ。政策の争いならまだしも、人種的な問題も絡んだ批判の投げ合い。それに乗じて、「だから、女や黒人に政治は任せられない」という保守層の意見も目につくようになったという。
そこでなにやら不気味なのは、いわゆる“極右”の動き。「女や黒人にこの国を支配されてたまるか」との超右寄りの人たちの主張が、危ない事態を引き起こすことはないのだろうか。
なにしろ、ケネディ大統領や弟のロバート・ケネディ、キング牧師などの暗殺の歴史のある国のこと。“不測の事態”が起こらないとは限らない。
オバマ、ヒラリー両陣営とも、非難合戦がエスカレートし、とても相手をパートナーである副大統領に指名するような状況ではなくなってきている。
どちらがアメリカ大統領としてふさわしいのか、アメリカ国民も決めかねているのが現状らしい。しかし、どちらがなったとしても、それはアメリカの現在の世界戦略や政策に大きな転回をもたらすことは間違いない。ともかくも、ブッシュ現大統領の恐る べき好戦的姿勢が消え去ることだけは確実である。そして、それは歓迎できる“CHANGE”だ。
だから、痛ましい事件などが起きないように、心から願わずにはいられない。
「女性大統領」と「黒人大統領」。どちらであったとしても「白人男性大統領」よりは、襲われる可能性は高いだろう。「白人男性大統領」だったレーガン元大統領でさえ、暗殺未遂に晒されたことがあるくらいなのだから。
今国会の最大の焦点は、あのガソリン税だ。
メディアは「ガソリン国会」と命名した。現在、ガソリン価格に上乗せされている暫定税率の有効期限は3月31日である。それが過ぎれば、暫定税率は自動的に廃止され、ガソリンはリッター約25円値下がりすることになる。現在課税されている分がなくなり、その分いまより安くなるというわけだ。
もっとも、現在の値段が高すぎるのであり、やっと半年前の水準に戻るだけのこと。決して“値下げ”などではないのだが。
自民党は、ガソリンの暫定税率維持を図るため、なんと“つなぎ法案”なる奇策を持ち出した。
この揮発油税などの暫定税率を2ヵ月程度延長するというのが、この“つなぎ法案”である。つまり、「“暫定”をさらに“暫定的に”60日ほど延長しよう」ということ。
その延長期間のうちに、なんとかこの租税特別法案(揮発油税等の暫定税率維持法案を含む)を衆院通過させて即座に参院へ送り、たとえ参院で揉めたとしても、60日規定(参院へ送られた法案が60日以内に採決されない場合は、否決されたとみなす、という規定)を使ってでも、先の給油法案のように、衆院で再議決しよう、というまったくデタラメな“奇策”。
そうすれば、なんとか期限切れの3月31日までに決着がつけられる。もしもつれて、3月末の期限切れを迎えてしまい、一旦ガソリンが値下がりしてしまったら、その後に再値上げをするのは、世論の猛反発を食らいかねない。それでは、選挙の大敗は目に見えている。
とにかくさっさと決着をつけて、値下げの味を国民に味わわせないうちに、うやむやに終わらせたい。ミエミエの策略である。何が奇策なものか。デタラメ策でしかない。
ほんとうに、よく次々と考え出すものだ。
でもこうなると、何がなんだかわけが分からない。もう、なんでもあり、デタラメでもなんでも、通しちまえば勝ち。審議以前に結論が出てしまっているのだから、審議などする必要もない。これでは国会なんか必要ない。
「審議しないんなら、議員歳費を返せーっ、この給料泥棒めーッ!」と、口汚く叫びたくもなる。
こんなことが許されるなら、どんな法律でも「とりあえず延長」でどうにでもできるということになる。もはや、民主主義などという言葉を使うのも恥ずかしい。
恥ずかしくはないのか、与党の議員たちは。
見せてやろう。
こんなことを先頭に立って言いまわっているのが、町村信孝官房長官や伊吹文明自民党幹事長などだ。
政府最高幹部や与党最高責任者が、平気でこんなデタラメ発言を繰り返すのだから、国民のひとりとして、心がザラついてしまうのである。
地方の鉄道(ローカル線)を、次々に廃止したのは、小さい政府を標榜する自民党政府だった。
代替交通手段のバスも、僅かに数時間に一本。それすら資金難を理由に廃止する傾向にある。車に頼るしか方法がないではないか。
かつては賑わった駅前から続く商店街は、いまやほとんどシャッター通り。カラカラと風に虚しくシャッターは揺れ、鳴くのは閑古鳥ばかり。
郊外の大型店舗の進出によって、つぶれてしまった個人商店。買い物さえも、車に頼って郊外まで行くしかない。もう近所では、何も買えない。
25円のガソリンの値下げが、地方住民にどれほど喜ばれるか。車の走らない道路を造るより、よっぽどありがたい話なのだ。
北国では、暖房用の石油代の高騰が、過疎の地域を直撃している。ここでも弱者切捨てだ。石油ストーブを焚かず、服を重ね着してしのいでいるお年寄りたちの実態を、赤坂の豪華議員宿舎に暮らす議員たちは、知っていながら知らんぷり…。
農業や漁業にも、このガソリンの価格高騰は深刻な打撃を与えている。ビニールハウスでの野菜作りにも、漁船用エンジンにも、油は絶対に必要なのだ。その高騰が、いまや野菜や魚介類の値段に跳ね返っている現状を、政府与党は知らぬとでも言うのか。
自民公明の議員たちは、完全に間違えている。
なるほど、利権と結びついた地方議員や首長たちは、暫定税率維持を叫ぶだろう。しかし、ほんとうの地方生活者たちは、必ずや反撃に打って出るだろう。生活に結びつかない道路など、何の恩恵もないからだ。
与党が選挙を恐れる理由である。
自分たちが行ったことは、もうお忘れのよう。
自分のことは棚に上げて、他人のやり方を謗る。それこそ、政治家として情けない態度だと思うのだが、いかが?
しかし、このような矛盾を、なぜかメディアはあまり突っ込もうとはしないのだ。
この国に“CHANGE”の兆しは、ない。
肌を紙やすりで擦るようなニュースは、もう聞きたくない。
(津込 仁)
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