Kanata 大学を休学して2010年2月から1年の予定でコスタリカに滞在。日本の大学では国際学部に所属し、戦後日本の国際関係を中心に勉強をしている。大学の有志と憲法9条を考えるフリーペーパー「Piece of peace」を作成し3000部配布した。
1週間のお休みを利用して、グアテマラに行ってきました。わたしは学生ビザを取得していないので、3カ月に一度72時間以上出国することが義務付けられています。あと1カ月ほど余裕があったのですが、なかなかまとまったお休みはないのでこの機会にと思ったのと、一緒に行った台湾人の友人が古都アンティグアでのプロセシオン(聖行列)を観たいと言ったことがきっかけで、わたし自身もキリスト教の宗教行事に興味があったので、グアテマラに行くことになったのです。
セマナ・サンタの時に飾られる紫色の旗。
コスタリカや中南米の国々の多くはキリスト教(カトリック)が国教に定められています。ホームステイ先の家族や友人に教会に通っている人はいませんが、キリスト教の祝日には宗教行事を見に行くなど、信者というイメージよりは習慣として根付いているものなのかなと感じています。日常の会話の中でも、何かがうまくいかなくて強く願ったりする時に「¡Por Dios!」(お願いします)とよく使うのですが、Diosとは神様という意味で、日本人の感覚でいうと、「こんなところで神様が出てくるんだ!」と驚いてしまいます。
セマナ・サンタ中は教会の前に屋台が並ぶ。プロセシオンに参加したり、見学したりした人たちで遅くまで賑う。
そのキリスト教の大きなイベントの一つとしてあるのが、イエス・キリストが復活したイースター。その前の1週間はセマナ・サンタ(聖週間)と呼ばれ、中南米の国々では大きなお休みがあります。国によって日にちがずれていることもあるのですが、この休みを利用して旅行に出ることにしたのです。
費用を安くおさえるために、飛行機ではなくバスを利用。コスタリカ→ニカラグア→エルサルバドル(1泊)→ホンジュラス→グアテマラと4つ国境を越えて、約28時間(乗車時間)をかけて行ってきました。
ニカラグアの国境を前にして、税関の人が一人一人名前を呼んでパスポートを渡している様子。暑いのに外で待たされた。
セマナ・サンタということで、国境は多くの人であふれていました。それぞれの国境によって、手続きの仕方は違うのですが、まとめてスタンプを押すために、黒いビニール袋にバスの乗客全員のパスポートを集められた時はとても心配でした。そのあと、バスを降ろされて順番に名前を呼ばれ、パスポートを渡されて、再びバスに乗るという手順で越境手続きが完了します。余談ですが、中南米の国々やカナダ、アメリカなどのパスポートは青や緑がほとんどなので、日本の赤のパスポートはとても目立っていて、多くの乗客のパスポートがある中で自分のパスポートが一目で分かるので、とっても便利でした。
アンティグアの街の様子。向こうを走っているのはトゥクトゥクと呼ばれるバイクタクシーのようなもの。建物にはセマナ・サンタの紫と黒の旗が飾られている。
グアテマラで私が訪れたのは、古都アンティグアで、スペイン政府が統治していた際の主要都市だった街です。街は石畳で、1773年に地震があったために崩壊しかけている教会や修道院も含め、多くの教会があります。週末には、アンティグアの教会で結婚式を挙げるために、お金持ちのグアテマラ人がやってくるようです。また、セマナ・サンタにはプロセシオンというイエス・キリストや聖母マリアの神輿を担ぐ宗教行列があり、これを観るため、もしくは参加するために、世界中からカトリックの信者や観光客が集まってきます。
チキンバスの中の様子。通路がとても狭いことが分かる。
このアンティグアは、グアテマラの首都のグアテマラ・シティからチキンバスに乗って1時間ほどのところにあります。チキンバスとは市民が鶏など生活に必要なものを持って乗っていることからついた名前のようで、Q8(8ケツァル=約96円)と値段も安くて利用しやすいバスでした。
このバスもバス停というものはなく、入口で行き先を叫んでいるお兄さんに、乗るという意思を伝えると荷物を持ってくれて一緒に飛び乗るという感じでした。バスの中ではラテン音楽が流れ、お菓子や絵本の売り子が代わる代わる飛び乗ってきてはセールスをしている姿もとてもおもしろかったです。
また、進行方向に向かって、一列に二つ椅子が並んでいるのですが、この間隔がとても狭くて、通りにくいなぁと思っていたら、混んできたら椅子と椅子の間に一人座るというシステムのようで、なるほどなぁと感心してしまいました。
次回は、世界中から観光客がこれ目当てにやってくる「プロセシオン」(聖行列)について、写真と共に紹介します。
ごつい感じのチキンバス。この写真は停車しているが、動いてるときはとても写真なんて撮れないスピードで通り過ぎていく。
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いわば日本の「お盆」にあたるともいわれるセマナ・サンタ。
植民地時代、宗主国・スペインから持ち込まれた「プロセシオン」は、
いまのグアテマラにどんなふうに根付いているのでしょうか。
次回をお楽しみに。
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