‘07年5月27日、若者の街、下北沢で
「Talk☆Peace☆Cafe´ vol.3
憲法第X条 〜若者のリアルのかたち〜」という
ディスカッションイベントがおこなわれました。
主催したのは、学生を中心とするSAY-Peace PROJECTというグループ。
2003年のイラク戦争をきっかけに、平和や戦争に関わるいろいろな問題について同世代でのコミュニケーションを通じて考え、行動していける「場」作りをおこなっているといいます。
会場に足を踏み入れると、50人を越す人であふれかえっているのにまずびっくり。みんな「優等生」然とした感じはまったくなく、ごくふつうのカジュアルな若者たちです。
HIP HOPやロックなどの音楽が流れる中、はじめにSAY-Peace PROJECTが渋谷で同世代を対象におこなった街頭インタビューの映像が流れました。
街頭インタビューでは、まず「憲法のイメージ」について質問。返ってくる答えは「堅い」「難しい」といったものばかりで、「憲法と日常の暮らしとのかかわりを感じたことは?」という問いにも、ほとんどが「ない」。また、改憲についてもあまり知られておらず、憲法が若者にとって非常に遠い存在であることが伺えました。
しかし、「憲法に新しい条文を入れるとしたら?」という問いには
「マイノリティの差別を禁止して」「給料を上げてほしい」「男女差別をなくしてほしい」といったいきいきとした答えが多数返ってきていました。このインタビュー映像に加えて、現在までの改憲論議のながれなどがプロジェクタに映し出されてプレゼンテーションされ、続いて10人ぐらいずつに分かれてのグループディスカッションとなりました。
ディスカッションではまず自己紹介と参加動機を話すことからはじまりました。参加者は高校生から大学生、大学院生、社会人とさまざまでしたが、その多くが「憲法について、みんなともっと話したい」「自分が知ったことを友だちに伝えたい」と言っていたのがとても印象的でした。
「ところで9条ってどう思う?」「改憲ってどう思う?」といった話は、おとな同士でもなかなか話せないもの。“「むずかしい」「カタイ」と引かれてしまうのがこわい”と思いつつも、本当はもっと話したい、と考えている若い子がこれだけいるんですね。なんだかとてもうれしくなってしまいました。
自己紹介のあとは、毎日の暮らしで抱いている不満や社会に対して求めていることを、かたっぱしから付箋に書き出すという作業をおこないました。
すると出るわ出るわ、ありとあらゆる怒りの声!
「電車が混んで嫌!!」「時間がない」「大学の授業がつまらない」「バイト先でセクハラされる」「バイトの給料が安い」「資源が無駄使いされている」「性的マイノリティが差別されている」「地方に病院が足りない」「メディアが真実を伝えていない」…。
でもこんな個人的な不満の数々が、いったい憲法と何の関係が??
そんな疑問を持ちながらも、これらの不満をおおよそのカテゴリに分類して貼り出していき、不満が出てくるのはなぜなのかを話しました。
そこでキーワードとして出てきたのが「憲法」。
すべての国民が平等であること、健康で文化的な最低限の生活をする権利が保障されていること、などと、憲法の条文と照らし合わせていきます。すると、一見憲法とはなんの関係もないと思っていた不満が、実は実生活と結びついていることが実感できました。
私たちが毎日感じていることと深くかかわっているはずの憲法。なのにどうして遠い存在だと感じてしまうのでしょうか。
グループディスカッションの最後では、憲法についてよく知らなかったり、遠い存在だと感じてしまう現状をどうしたらいいのかについて考えました。
すると「そもそも憲法全文をちゃんと読んだことがない。1条ずつ有名人に交代で読んでもらったDVDとかがあったらいいんじゃないか」「ことばがわかりづらいので、高校生言葉にしてみては」「演劇や音楽で表現してみたら」といったアイディアが出されました。
2時間半のイベントはあっという間に終了し、続いて居酒屋に流れての交流会でもおおいに盛り上がりました。
参加していた若者たちはみな非常に関心が高く、また知識も豊富で、本当に驚きの連続でした。議論を聞くにつけ、“国民の義務ばかりを並べたてる新憲法草案などを作っている国会議員などよりも、彼らのほうがよっぽどちゃんと憲法を理解しているよなあ”と思わず呟いてしまう私でした。
中でも、グループディスカッションで「そもそも率先して憲法を守らなければいけない国会議員が憲法を粗末にしている」という話をしていたときに、隣に座っていた高校3年生の女の子がすかさず「99条ですね」と発言したのには驚愕! 恐るべし女子高生。
参加者の多くはmixiで偶然イベントの開催を知ったり、友だちに誘われて初めて来た、という人たち。「こういうイベントを求めてた!」「話せてよかった!」とみんな満足げで、これからももっと話したい、行動していきたいという熱気に満ちあふれていました。
もちろん知識のあるなしに関係なく、こんなふうに憲法についてカジュアルに話せる場を若者自身が模索しながら作り出しているということに、とても勇気づけられました。「やってくれるなあ!」と大いに刺激を受けて会場を後にした私でした。
SAY-Peace PROJECTでは、2週間に1回、誰でも参加出来る全体ミーティングをおこなっているほか、今後もさまざまな企画を計画中とのこと憲法のことはなんとなく話しづらい、と感じていたアナタ! 彼らと共に、肩肘張らず楽しく話して、考えてみませんか。
(よしだっち)