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レポートno26

日本国憲法施行60周年の5月3日、若者たちが企画・運営するイベント「9 art festival」(ナイン・アート・フェスティバル)が東京・新宿のクラブで開催され、音楽、踊り、写真、映像などのアートが繰り広げられました。

主催した「今人project」(いまじんプロジェクト)代表の藤井芳広さん(28歳)は、「九条そのものがアート。多くの人びとの知恵と力があれば、平和を作っていける」と来場者に語りかけました。

ステージでは、「九条を守ろう!」と声高に主張するわけでもなく、「改憲反対!」と訴えているわけでもありません。では何を表現していたのでしょう。それは、歌っていること、聴いていること、参加していること、今そうしていられる幸せを再確認するようなイベントだったと感じました。

ライブを行ったのは、「今人」と「感謝」、そしてムラヤマテルさん。「今人」は、自分たちが想像する住みたい世界をアートで表現する社会創造型パフォーマンスグループ。「感謝」は、アフリカやビルマ、沖縄などの民族楽器を調和させて繰りなす「安心ミュージック」がコンセプト。ムラヤマテルさんは音の持つ「グッドバイブレーション」で心地よいひとときを演出。楽しそうに歌う出演者につられて、来場者も次第に笑顔になっていきます。

アリランとよさこい節を融合させた「よさこいアリラン」を舞う「はなこりあ」は迫力満点。GPPAC(武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ)が提供した映像では、九条が国際平和にとっていかに重要か、世界中からのメッセージが上映されました。

その他、ライブペインティングやポエトリーリーディングが行われたほか、「9」の文字をあしらった「9Tシャツ」の販売、4月29日に行われた「渋谷ジャッ9」(みんなのレポートNO.025参照)の写真展示など、鮮やかな色彩とアートにあふれたお祭り空間が演出されました。

イベント終了後、来場者に感想を聞いてみました。出演者がパフォーマンスに込めたメッセージは、しっかりと届いているようです。

九条関連のイベントだとは知らなかったという江田さん(男性23歳)。 「(デモ行進など)昔ながらの手法には抵抗感がありますが、アートで表現するのは入り込みやすい」

友人に誘われて来た金子さん(女性31歳)。 「はじめてでも馴染めるような雰囲気でした。九条は言葉による表現が多いのですが、一人ひとりが得意な分野で表現することが必要」

ポエトリーリーディングに飛び入り参加した勝部さん(男性24歳)。
「九条を守るだけではなく、自衛隊をどう扱うか結論を出さなければいけない。犠牲者を出さずに一人ひとりが笑顔になる方法を考えています」

ピースボートに乗ったことがあるという来場者(女性23歳)。
「九条が改正されたらどうなるか。日本だけでなく世界にも影響があると思う」

最後に、藤井さんは筆者に次のように話してくれました。
「九条を変えようというのは、ミサイルが飛んできたらどうするのかといった恐怖の連鎖によるものだと思います。僕たちは、『安心の連鎖』をアートで体現することを目指しています。今年は(国民投票法案などが)現実問題としてあるので、(九条の重要性を)伝えたいと思っています。九条は、僕たちが想像する、住みたい世界を作るために必要な手段なのです」

出演者には学生よりも社会人が多いようでした。「本業はこっちで仕事が遊びだよ」と笑う人も。そんな彼らは、何が大切か分かっており、そこに社会的立場や地位は必要ない、そう思えたイベントでした。自分は仕事をしているから、今どこにいるから、何々をしているから−−そんな言い訳もなく、九条を生活の一部としてとらえることが当たり前のような気さえしてくる空間が、憲法記念日の5月3日、新宿の一角に出現しました。

hirapress+(ヒラプレス・プラス):いながきみほこ、望月六

※hirapress+:2006年に開催された月刊誌『DAYS JAPAN』の「フォトジャーナリスト講座」受講者で構成するHIRAPRESSの有志と、活動の趣旨に賛同する者で組織するフォトジャーナリスト集団です。「9 art festival」では、本文でも紹介した「渋谷ジャッ9」の写真展示で参加しました。
ホームページ http://www.hirapressplus.net/
ブログ http://d.hatena.ne.jp/hirapress-plus/

thanks1

新宿の一角で、こんなカラフルなイベントが開催されていたのですね!
これからさまざまなスタイルで憲法論議を盛り上がっていく予感がします。
いながきみほこさん、望月六さん、ありがとうございました!

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