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昨年12月8日、政府は臨時閣議でイラクへの自衛隊派遣を1年間再延長する基本計画の変更を決定しました。そこでこれまでのイラク派遣とは自衛隊にとって何であったのかを総括し、今後の自衛隊の行方を見るため、「今とこれからを考える一滴の会」が主催した、『戦えない軍隊』(講談社+α新書)などの著書がある半田滋さん(東京新聞記者・防衛庁担当)のお話を聞きに行ってきました。 |
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まずイラクへの自衛隊派遣の成果として半田さんがあげたのは、「自衛隊にさらなる力を与えたこと」「日米一体化への呼び水になったこと」「憲法改定への道筋ができたこと」の三つ。「これらの変化のスピードはジャーナリストの想像を超えている」と言います。
そもそも自衛隊がイラクで行なったのは、イラク特措法に規定された「人道復興支援」ですが、具体的には、川の水などを浄化して飲料水をつくること、戦争で破壊された道路や橋などの修理、近代的な医療指導の三つです(現在は後者二つのみ)。
ただし、カンボジアから始まり、東チモール、ルワンダ、ゴラン高原と続いた自衛隊のPKO活動において、今回のイラクではいままでと違う点があります。それは自衛隊自らが什器を使って作業をするのではなく、地元の人間を雇用して作業をさせたことです。つまり、地元のニーズに対して優先順位をつける選定作業。これについて、半田さんは「かつて日本が満州などでやったような、植民地経営と似ている」と指摘します。
そのなかで、「戦争で生じた破壊の普及」という名目にもかかわらず、実際にはこの趣旨とは無関係の施設の修理も、地元のニーズによって行なわれていることを半田さんは現地取材によって確かめています。
これらの費用はODAから捻出されますが、実質的には外務省ではなく、自衛隊が用途を決めています。宿営地には5人の外務省職員がいますが、彼らはほとんど外に出ることがなく適否の判断ができないため、自衛隊が決めたものを了承する立場にいます。つまり、外務省をダミーにして自衛隊自身の判断でODAという国費を使っているのです。
自衛隊派遣の2年間にかかった費用は、600億円。現地にいるのは上限600人ですから、隊員一人あたり1億円もの税金が使われています。600人といっても、冒頭に掲げたような復興支援の任務にかかわるのは、なんと100人程度。残りは何をしているのか。それはこの部隊を維持し、警備するための人員なのです。これを「自家撞着型の派遣部隊」(編集部注:自家撞着とは同じ人の言動が前後で矛盾すること)と半田さんは表現しました。このように、防衛庁、自衛隊の内部に通じた半田さんならではの貴重な多くの情報には驚かせられました。
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最後に、「自衛隊がイラクから帰ってきて、それで終わりではない。日米関係の強化と憲法改定の呼び水になったイラク派遣は、もう“戻れないところ”まで来てしまった。それが、私たちに突きつけられた課題」と半田さんは結びました。 |
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このレポートでは、ほんの一部しか紹介できませんでしたが、 半田さんの近刊『戦えない軍隊』(講談社+α新書)には、 このような自衛隊の実際の姿についての 刺激的な情報(昨年7月末段階)が多数掲載されています。 興味ある方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
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