おしどりマコ&ケンの「脱ってみる?」

 今週は短めで! お盆休みに入る前にダイジェストを!

 鮫川村の件、引き続き継続取材しております。まずは、マガジン9のインタビューでも武藤類子さんがおっしゃっていたこの件。

 住民には何の説明もないまま、水面下で計画が進められていて。住民が計画を知ったときには、もう建物の基礎も打たれているような状態だったといいます。しかも、1時間に200キロ以上の焼却処理をする焼却炉を建設する場合には環境アセスメントが必要になるのですが、環境省は「1時間あたり199キロ」という形で申請をして、アセスも行わなかった。通常、悪徳業者が「アセス逃れ」のためにやるような手口です。

 ほんとでしょうか… 調べてみました!

***

 と、本当はここで詳細な環境省とのやりとりを書くはずだったのだけれど、それはまたどこかで続きの話を書くことにします(ちょっとミヒャエル・エンデの「はてしない物語」風!? ていうか、まんま、原発事故は「はてしない物語」なので、脱力した…)。

 まぁ、端的に言うと、ん? ちょっと福島県知事がバンバン認可を下したから、鮫川村の焼却炉の工事は強引に進められたのね? という印象でした。

 なぜ、省いたか、というと、編集部さまがお盆休みに入るし、書かなければいけないことはたっくさんありますからね! 現在わたくし焦りながら地下鉄で書いておりますことよ!

 これだけはみなさんにお伝えしたかったので。

 前回の記事に書いた堀川宗則さん。
 共有地の地権者のお一人でありながら、同意書に署名も捺印もしていないのに、「全員の同意書がある」ことになり、焼却施設の建設が進められました。

 堀川さんは同意書の開示を鮫川村の役場に求めていたのだけれど「2週間後に開示するかどうか通知」という回答。その期間内には、焼却炉で高濃度廃棄物を焼却する確認運転があり、すでに焼却施設を動かしてから、役場から宗則さんの同意書が返ってきました。

 で、8月8日。

 宗則さんは、返ってきた同意書は宗則さんの筆跡、押印ではない、ということで、棚倉警察署に告訴状を提出しました。相手は、環境省、鮫川村、同意書を取りまとめた当時の区長だそうです。警察が告訴状を受理するかどうかはまだわかんないんですけど。

 村の方同士で争うなんて、本当に切ないことです。以前お会いした宗則さんは「若いもの(土手内くん)だけに闘わせて申し訳ない、あの子はもう村に住めなくなってしまって…」と何度も何度もおっしゃってたので、今回のことは、とうとう覚悟を決められたんだと思います。実は、7月18日にお会いしたときに、

――同意書が村から返ってきて、それが宗則さんのものでなかったらどうします?

と聞いたら

「それは…訴えようと思うけど…そのときに考えます。多分、告訴すると思うけど…。うん、こんなこと、本当におかしいもんね」

 と、酷い事柄なんだけれど、やっぱり村の、近所の方を訴える、ということはとても覚悟のいることだ、と話しておられて。しかし、土手内くんが、焼却施設に反対をして、村に住めなくなった、ということに心を痛めておられて、自分も動かなくては、と心に決めておられたようでした。

 でも、やっぱり、宗則さんだけでなくて、ご兄弟、ご親戚の方々も村にいらっしゃるから、大変なことだと思います。

 原発事故のあと、村の方同士で、憎しみ合うことは本当に悔しいです。同じ、被害者同士なのに。飯舘村の方で、行政に反対する方が嫌がらせを受け、除草剤入りの焼酎を仮設住宅のポストに入れられたことがありました。幸い、封が空いているのに気づき、すぐに検査にまわし、被害は無かったのだけれど。でも、そのときも、被害が無いから、と警察もメディアもあまり動きませんでした。私は、大変なことだと思ったんですけどね。

 そんなようなことが、あちこちで起きるなんて、私は悔しいです。原因は原発事故だよ! みなさん、何と闘うか、間違えないで!

***

 あと、やっと、汚染水の問題が少しずつメディアで大きく取り上げられるようになって良かったです。超高濃度汚染水がダダ漏れなんだってばよーう、と言い続けて、1か月半くらいで、深刻な感じでメディアに出るようになりましたかね。メディアのみなさん、もっと早く分かってたんじゃんよーう!

 規制委員会では緊急で汚染水対策検討ワーキンググループが立ち上がりました。ここでは一番突っ込んだ議論でしたが、更田委員ら専門家、規制委側が東京電力の対応に呆れて絶句、沈黙の場面が多々ありました。

 「遮水壁を乗り越え、海洋に汚染水が漏洩している、という推測を否定する情報が出てこないので、もう、漏洩しているという前提での対策を」

 「東京電力に手が余るようなら、声をあげてください。国でも何でも使ってください。東京電力の手に余り、やはりできませんでした、では済まない問題ですから!」

 という、かなり厳しいやりとりでした。

 8月2日にあった第一回汚染水対策ワーキンググループの詳細、最近長時間にわたるけど、いっさい回答が出てこない、東京電力の会見(あ、これはケンパルが私の質疑は「脱ってみる? デイリー」のほうに書き起こしています。頑張って書き起こしているから、ぜひお読みになってあげて! 誤字脱字多いみたいだけど!)、今年度黒字化できそうにないのは柏崎刈羽を動かさせてくれないから、と言い続ける東京電力廣瀬社長の決算会見、山本太郎くんの質問主意書にちょっぴり協力したこと、などなどは、またいつかどこかで続きの話を書きます! (「はてしない物語」は使えるね!)

 12日に第2回の汚染水対策ワーキンググループもあったり、20日は福島県の県民健康管理調査検討委員会もありますね。あまりにも情報が出てこないので、太郎くんにちょいと国家権力を使って頂いて、情報漏洩議員、メルトダウン議員になってもらおうと画策もしておりますよ!

 マガジン9がお休み中や、あと、「筆者は…」とおっさん口調で堅苦しくかいている記事、速報的なワンイシューの記事はこちらにも書いておりますのでシクヨロで! →Daily NOBORDER

 では、みなさん、熱い夏も、より熱く、楽しく社会のことを全力で考えていきましょうぜ! 見て見ぬふりはナッシングで! 千里の道も1アクセスから☆

【今週の針金】
黙祷したら、涙がにじんで力が湧いてきましてん!

 

  

※コメントは承認制です。
第62回 汚染水も鮫川村も健康調査も何もかも、
原発事故は「はてしない物語」な件。
」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    冒頭にお名前の出てきた武藤類子さんが団長を務める、
    「福島原発告訴団」が、原発事故の法的責任追及を求めて、
    東電幹部や政府関係者らを告訴・告発していた件で、
    今月中にも不起訴処分の決定が出る見込みとの報道がありました。
    これだけの事故がありながら、誰も責任を追及されないままで、
    被害に遭った人たち同士が対立させられ、ときに争い合うことになる。
    あまりにも理不尽なことが、平然と進められているのを感じます。
    マガ9の次回更新は8/21(水)ですが、
    「脱ってみる? デイリー」は随時更新ですので、ぜひチェックを。
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おしどり

おしどり:マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。ブログ:http://oshidori.laff.jp/ twitter:マコ:@makomelo ケン:@oshidori_ken その他、news logでもコラムを連載中。

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