おしどりマコ&ケンの「脱ってみる?」

 もうすぐ参院選の投票日ですね!
 選挙中も、いろいろなことがありすぎますよね☆
 福島第一原発の地下水や海水のデータが汚染の過去最高値を更新していったり、原子力規制委員会の田中俊一委員長が「海洋の汚染は大なり小なり続いていると思う。事故時に一番汚染したが、その後もずっと、この2年間も続いていると思う」という、いや〜ん発言をされたり。
 「大なり小なり」って何よーう!

 昨日7月18日は福島県鮫川村の焼却炉の実証事業の取材に行ってきました。これも、追加取材を今、バンバンしているので、まとめてまた書きますぜ!

***

 さて、選挙の世論調査ってどうなの? と思ったおしどりは、街頭インタビューをしてみました。

 まずは7月14日の選挙フェス(については前回コラムを参照!)をやっていた渋谷の近辺で。
 選挙フェスを明らかに楽しんでいる方は避けて、信号待ちの方々、遠巻きで見ている待ち合わせをしているような方々にお聞きしてみました。

 質問内容は

 ・渋谷へは何をしに来られたの?
 ・次の参院選は投票に行かれる?
 ・行くならば、どの政党、どの候補者に投票する?
 ・今まで、どのくらいの頻度で選挙に行かれてた?
 ・周り(職場・学校・家族・友達)で参院選の話題は出る?

 などなど。あとは臨機応変。

 遠巻きで、待ち合わせをしておられるのかしらね…と思ってインタビューしても、「選挙フェスを見にきました」という方々が予想以上に多くて驚きました。

 5か月の赤ちゃんを抱いて、木陰で涼んでおられた28歳の若いママ。

 「渋谷へは選挙フェスを見にきました。選挙演説を見に足を運んだことは初めて。たまたま、駅とかで選挙演説をやっていれば、足を止めて見るようなことはありましたけど。
 選挙には、毎回投票に行っています。参院選について、フェイスブックでは発言したり、友達も発信したりしていますけど(この選挙フェスも友達の情報で知りました)、家族やダンナとは、参院選については喋りませんね。
 ダンナは仕事がとても忙しくて、本当に毎日時間が無くて。時間が無くてなかなか投票に行けないんです。ダンナは投票日の21日も無理ですので、行けるとしたら19日に投票に行こうと思っています。期日前投票の時間帯でもなかなか行けないんですよね。こういう人がいることも、わかってほしいです

 道と植え込みを挟んで、遠くから見ていた33歳と28歳のカップル。通りすがりの方かしら? とインタビューしたら違いました。

 「三宅洋平と山本太郎を見にきました。
 選挙は、毎回行ってるよ、でも白票で出すことが多いかな。あとは、親戚から頼まれた候補者の名前を書いたり。
 参院選のことは周りでやっぱり話すよ。1歳半の子どもがいるから(あらカップルかと思ったらご夫婦!)、なかなかこういう選挙フェスは来れなかったんだけど、やっぱり一度はちゃんと見ようと、子供を預けて今日は来たよ」

 お子さんがおられる若い方々が、選挙フェスに積極的に参加しているというわけじゃないけど、通りすがりで、用事のついでに足を延ばして、山本太郎さんと三宅洋平くんを、選挙フェスを見にきた! という方々が他にも多くおられました。

 「今日は山本太郎と三宅洋平を見にきました。選挙フェスに来たのは初めて。今まではずっと投票に行っています」とおっしゃる40代の男性。
 ご家族や周りの方々と参院選のお話をされます? と質問したとき、とたんに、「聞いてくれる?」とニッコリして話してくださいました。

 「今回の参院選に限っての話なんだけどね、絶縁していた兄弟と三宅洋平、山本太郎応援ということで仲直りすることができました!

――わーそれはいい話ですね!

 「でしょ、すごい話でしょ。でね、お袋ともケンカばっかしてたんだけど、今回、三宅洋平くんの演説をお袋が見てくれて、シンパシーを感じることができました、親子で。あと、もちろん友達同士でも、飲み会に行ったときとか、お前も三宅洋平好きだろ? 俺もファンなんだよ、とか親睦が深まったのは確か!」

 選挙フェスから離れたところにいらっしゃる方々も、本当に、案外選挙フェス目的の方々で驚きました。例えば、選挙フェスに背を向けて、待ち合わせスポットで座ってらした年配のご夫婦(61歳の男性と57歳の女性でした)。

 「選挙フェスを見にきました…」

――えっ、ほんとですか!

 「山本太郎さんも三宅洋平さんも存じておりますよ。選挙には毎回必ず2人とも行っております。たいてい、共産党に入れてまいりましたが、今回は、ふふふ…。
 参院選の話は周りでもよくしますね。この選挙フェスは、なんていうか、熱気があります。とても熱いです」

 もの静かに奥さまが語ってくださいました。

 あらー、選挙フェスを見に来た以外の方のインタビューも取りたいものだ! 
 と思っていてもなかなか難しい!

選挙フェスのステージから撮影。山本太郎くん。

 「山本太郎むかつく!」と通りすがりに言う若者の声に向かって走っていって、すこし選挙のインタビューさせて頂いていいですか? とニッコリ行っても「あー俺時間無いんで」となっちゃいますし。
 面白かったのが、信号待ちや通りすがりのカップルは、女子が興味深そうに選挙フェスを見ていて、男子はイヤそうに顔をそむける感じ。
 女子が見ていかなーい、と言っても、男子がいや、行こうぜ、と話すカップルを何組も見ました。
 年配の男性が拍手しながら歩いていたので、早速インタビュー申し込んでも手をふって断られたり。

 でも、選挙フェス目的以外の方々のインタビューも、もちろんとりましたよ☆
 20歳のカワイイ女子☆

 「待ち合わせで来ました。留学していて(どちらに? フランスです)、帰ってきたばかりなんで、あまりわからないんですよね…。
 選挙権を持って、初めての選挙になります。いろいろ情報とって考えなきゃな、とこういうの(選挙フェス)を見て思いました。周りで参院選の話はしませんね。今日、渋谷にきて、参院選が近いこと、こういう選挙フェスがあることを知りました

 買い物で渋谷に来た、という49歳男性。

 「買い物で渋谷に来て、選挙フェス? こういうのを初めて見ました。選挙はね、うーん、衆参の国選は欠かさず行くけど、小さいのはあまり行かないな。友人とは参院選の話は少しはしますね。
 でも、自民が99%勝つとか言ってるでしょ、報道とか。もう、あえて自民党には入れないね、どうしようもないじゃない! ねじれが解消されて、自民党の天下になって、ヤバい感じがしますよね」

――いつも自民党に入れられていたんですか?

 「いや、いろいろ。以前は民主党だったけど、今回はどこかな…。山本太郎にでも入れてみようかな?」

 しばらく黙っておられて、一気におっしゃいました。

 「もうさ、原発はイヤだよ。だって地獄じゃない。もう地獄は見たくないし。自民党は原発をやりたくてやりたくてしょうがないんだから。利害関係があるから原発推進にまわるでしょ、やっぱり。日本は地震があるんだもん、安全だっていってもさ、地震大国なんだもん。核にも地震にも、人間は負けるよ。もう、地獄は見たくないよ、避けられる地獄なのに、選ぶんだよ

 ものっすごい厳しい顔をしておられる、信号待ちの男性(43歳)にも聞いてみました。

 「渋谷へは子供と食事をするために来ました。選挙は毎回行っていますが、周りと話をするようなことはありません。
 この選挙フェスですか? ま、面白いんではないですか。このような現象は初めて見ました、興味深いです」

 ある47歳男性は、

 「渋谷で音楽を演奏したり、宣伝カーにコギャルが乗っていたり、眉をひそめる人もいるかもしれませんが、すごくいいことではないですか? 正直、この集まっている人たちが、どこまでみんな聞いているかわかりませんが、見ざる聞かざる言わざるの何も考えない状態より、何かしらきっかけを与えるいいイベントだと思います

 他にも、九州から東京に遊びにきて、たまたま選挙フェスがやってたから見にきた☆ という20代女子や、選挙行ったことないけど今回は行きます! という20代男子など、思ったより、選挙フェスの支持が高くて驚きました。

 25組声をかけて、インタビューを断られたのは5組でした。
 実は、この日「おしどりさんですか?」といろいろ話しかけられて、インタビューがあまりはかどらなかったのでーす。
 あと、わたくし意外と聞き上手なので、インタビューしながらいろいろ話を引き出しちゃって、止まらないの! なぜかシャンソンの話題に転がったり、ネコの写真を見せて頂いたり!

 街宣カーの上のコギャルの写真を撮る外国の方にもインタビューしちゃいましたよ!(カタコトの英語でね☆)

 「日本の選挙もこういうミュージシャンのフェスがあるのね! アルバムは出ているの?」

 アルバム? どういう意味? と伺いました。
 その方は観光で来られたアメリカの方で、アメリカの大統領選ではよくミュージシャンが歌っているんですって(ミュージシャンはどの党を支持するか、普段から表明していて、ええと、マドンナが民主党だったりエアロスミスが共和党とかはたぶん聞き取れました…)。そして、オバマ大統領の選挙のとき、彼を支持するミュージシャンたちが集まって、「YES WE CAN」というコンピレーションアルバムを出したそうです、面白いね!

 日本の選挙のこういう選挙フェスはスタンダードではなくて、とても珍しいこと、そして日本のミュージシャン(に限らず、アクターやコメディアンなども)はどの政党を支持するか、あまり表明しませんね、と伝えると、「じゃ私たち珍しいものを見ているのね、ラッキー!」といっぱい写真を撮ってらっしゃいました。

同じく、三宅洋平くんのステージ。

***

 浅草の東洋館の舞台のあと(漫才協会の師匠がたはとても面白うござんすよ!)、浅草寺でも街頭インタビューしてみました。

 渋谷とはまた違うご回答、そして回答率は悪うござんした★ 興味深いのでどうぞ。
 質問は多少変わり、

 ・どこから来られましたか?(観光の方が多いので)
 ・参院選に投票に行かれます? 
 ・毎回どの程度選挙に行かれます?
 ・あなたの参院選の争点は何ですか?
 ・もしよければ、どの党、どの候補者を支持されてるか教えてください☆
 ・周りで参院選の話はされます?
 ・ネット選挙解禁についてなど

 こんな感じの内容です。

 「観光で名古屋から来ました。投票は、21日当日に行きます。選挙は毎回行ってますよ。
 たぶん、自民に入れると思うけど、う〜ん、わからないですね。政治には安定してほしい、と思うくらいで、周りで参院選の話はしません」

 雷門のところでお話ししてくださった47歳男性。

 神奈川県の33歳男性のご回答は興味深かったです。

 「参院選の投票? うーん、行かないんじゃないかな…。一時期は選挙に行ってたんですが、今はあまり行ってません」

――いつ頃によく選挙に行かれてたんですか?

 「自民から民主に政権が変わったときです。あのときは選挙演説を聞く機会も多く、投票に行かなくては、と思いましたね。
 ネット選挙解禁、という言葉を知っているだけで、具体的にはわかりません。ネットで選挙関連の情報を見ることもないし。
 今回の選挙は…何党に入れたらいいか、わからないので、どうしようかと…見送るんじゃないですかね、やっぱり。うーん、自民? 民主? 維新? どれもピンと来なくなったから、入れるとしたら、渡辺さんとこどこでしたっけ?」

――みんなの党ですか?

 「そこ、消去法でみんなに入れるかもしれません。
 周りで選挙の話題ですか…。周りに創価学会の人が多いので、選挙の話題は、避けているのが実情です」

 普段、あまり選挙に行かれない方が、自民→民主の政権交代のときは期待して選挙に行かれた、というのが興味深かったです。

 選挙に興味無さそうな若者には「参院選についてのインタビューを…」と言いかけただけで「いいです」「時間が無い」「興味ないんで」と断られることが多いのですが、福岡からいらした20代のカップルはご回答くださいました。

 「投票には、多分行きません。今までもほぼ行ったことが無いです。でも、ネット選挙になったんですよね、ネットで投票できるなら、しようかな」

――ネット選挙解禁というのは、選挙運動だけで、投票はネットではできないんです

 「そうなんですか? じゃ、やっぱり投票しないと思います。周りでも選挙の話題は全く無いですし、党とか候補者とか全くわからないですし

 すがすがしい感じのお答えでした!

 荻窪の60代男性は

選挙には行かないね、自民党で決まってるからね、行ってもしょうがないじゃない

 こういう声は老いも若きも本当に多かったです!
 前回の衆院選のときも思ったけど、報道が政策に関する情報ではなく、世論調査でどこが勝つか、ばかりの情報を出すことが投票率を下げているんじゃないかしら?

 江東区の75歳の男性は

「参院選には半分関心ないけれど、期日前投票はもう済ませました。商売やってますからね、保守です。客商売なんでね、話題は保守系が多いです。
 ネット選挙は興味無いですねぇ…。毎回、地元の有志が推薦する保守に入れます。棄権だけはしません。今の商売、後何年続けられるかわかりませんからね。庶民なんです、難しいことわからないですから、地元と、商売と…そうなると、保守なんですよ

 浅草の街頭インタビューは、選挙に行かない(興味ない、もしくはどうせ自民が勝つから行ってもムダ)、自民党に入れる(惰性で…)という方々が多かったです。
 あと、アジアの方々が多くて、インタビューが難しかったでーす。

***

 街頭インタビュー100人聞けば大体傾向がつかめる、と伺いました。
 私のペースは1時間で10人くらい。なぜならけっこう話しこんじゃうから! 話しかけての打率は悪くないんだけど、時間がかかるんですよね!

 他の地域でも少し続けようかと思います。興味深いからみなさんもやってみて☆
 選挙に全く興味無い方でも、インタビューすると「やっぱり今回の選挙行ったほうがいいんすかね…」とインタビュー終わりにおっしゃったり。

 私のコツは、最初にきちんと名乗ること、インタビューの目的を言うこと、事前に質問項目を立てておくこと、少しでもフックになりそうな会話があったらそこから広げること☆ あとはわたくし、意外とリアクション芸人になっております(^^)
 受け答えを共感の方向のオーバーアクションでね☆

 まだ街頭インタビューは100人は届かないけど、

 浅草の傾向は

・自民が勝つだろうと思っている人がたくさん
・選挙に行かない方もチラホラ(理由は「どうせ自民が勝つから」「選挙に興味無い」)

 渋谷(選挙フェスの周り&通りすがり)の傾向は

・自民が勝つだろうけど勝たせたくない
 ・選挙に今まであまり行ったことないけど、今回は行く

といったところでしょうか。

 「普段は選挙に行かないけど、自民から民主に政権が変わったときは投票した」という声が、けっこう鍵ではないかと思いました。

 あと、あまり批判は書きたくないから詳細は省くけど、自民に入れる、とおっしゃった方々でも「長いものには巻かれといたほうがいい」「職場で入れろと言われるから惰性」などなど、積極的な自民党支持は聞きませんでした。
 「やっぱり自民党には入れないと! 原発も憲法改正も必要だ!」という声も本当に聞きたかったんですよね、実際、どういう方々がそういうご意見なのかしら? と知りたくて。

 街を歩いている方々がどういうご意見なのか取材できるチャンスなので、みなさん、ぜひぜひ選挙に関する街頭インタビューを実行してくださいませよ!
 そして、これも、選挙に行こうぜキャンペーンの1つになると思うのでーす☆ うっかり、選挙に関する自分の意見言わなくちゃ、という場面を作っていくのはお互いいいことだと思います。

 インタビュー受けた方は、いろいろ考え始めてくださるし、私はいろんな方の考え方が知れるし。
 私も、ちょっとはまっちゃって、もっともっと実際の声を伺っていきたいものだ! と思ったけれど、もうすぐ投票日、鮫川村や原発事故の取材も平行しつつ、うーん、もっと時間がほしい、地球の自転と、私の時間は合わないわーん! と思いつつ、参院選まで、はりきって全力で動きましょうぜ!
 なぜなら、今回の参院選は大きい意味を持つから。
 衆議院の任期は4年、昨年末に選挙があって、解散が無ければ(自民党が強力な政権を握れば解散はなかなか無いよね)衆議院選は任期満了の4年後。
 すると、参議院の半数改選の3年後が次の国政選挙になります。つまりさ、今回の参院選が終わったら、3年後まで国政選挙は無いの!

 というわけで、自分で今まで思ってもみなかったようなことをして、今回の参院選には各自全力でのぞんでくださいませよ!
 自分で今までやったことないことをするのは、楽しいしね☆ ではまた!

【今週の針金】
猛烈にインタビューするマコちゃんですねん!

 

  

※コメントは承認制です。
第60回 参議院選2013
街頭インタビューで生の声を聞いてみた件。
」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    参院選直前、マコさんケンさんから届いた、
    なんとも興味深いレポート。
    日本の投票率の低さはずーっと指摘されているところですが、
    お話をたくさん聞いていけば、その理由や傾向もなんだか見えてきそうです。
    あと1日ですが、「私もインタビューやってみた!」方は、
    ぜひ結果をお知らせください!
    そして、知らない人に声をかけるのはちょっと…という方、
    せめて周りの人とお話だけでもしてみたらどうでしょう?
    新たな発見もいろいろあるかもしれません。
    おしどりの2人への「ご祝儀口座」はこちらから!

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おしどり

おしどり:マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。ブログ:http://oshidori.laff.jp/ twitter:マコ:@makomelo ケン:@oshidori_ken その他、news logでもコラムを連載中。

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