お久しぶり! 相変わらず、走り回っているおしどりです!
2月1日は、福島県の須賀川市に行ってきました。
学校給食について考えるママや大人たちの秘密ミーティングがあったのねん。まー、秘密でしないといけないところが、しょんぼりだけれど。
昨年から、福島の学校給食について取材を始めた私たち。食品については、いろいろ考え方があるから、ちょっと難しいわん、と思っていたのだけれど、そんなこと言ってられない状況だからです!
学校給食や、子供の食べ物については、東日本や、いえ、日本全国共通の問題だと思います。
1月31日には参議院会館で、第1回給食委員会大円卓会議なるものがあり、そこにもちょろっと伺ってきました。ま、そちらについてはいろいろ思うとこがあったけど、おいといて。
2011年にね、内部被ばくワーキンググループを当時の原発担当大臣だった細野さんが立ち上げたとき、せっせと取材に行っていたのね。そのとき、細野さんは、「子どもと大人は放射線に対する感受性が違うので、食品の基準値や、外部被曝線量の限度も変えるべき」と提案されました。
で、海外から呼ばれていた研究者も、「それはいい考え方だ」と支持。
でも!
その場に座っていた日本の科学者が反対をしたの! 「子どもと大人でお膳を変えるというのは、食事を作る主婦に大変負担をかける」とか何とかいって。
あんた! 自分で食事作らないだろう!!
それに、離乳食とか、介護食とか、お膳を変える状況って元々あんの! それは確かに負担だけれど、自分の負担より、子供の健康を大切にするママたちは大勢いるの!!
「子どもは大人の近くにいる場合が多く、大人と子どもの外部被曝線量限度を変える、というのは考え方としてどうか」とおっしゃる日本の科学者もいましたね。
あのね! 小さいお子さんをお持ちの大人も、同じように外部被曝線量が下がればいいことずくめじゃない、何言ってんの?
あー、思い出したら腹が立ってきた、あの頃のワーキンググループ、誰が何をおっしゃったか、もう一度検証してやろ。
外国の研究者に支持され、日本の研究者に袋叩きにあっている細野さん。これ聞いて、今どんな顔されてるの? と身を乗り出して、細野さんの顔を見たら。
なぜか細野さんも身を乗り出して、私の顔を見て「今の聞いた?」みたいな表情されてました…(^^)
うん、あの頃、会見でいろいろ質問をする私に細野さんは力を貸してくださっていて、「会見ではまどろっこしいから、直接何を知りたいか連絡してきなさい」と秘書さんの連絡先を教えてくださってましたからね!
まぁ、細野さんが内部被ばくワーキンググループを立ち上げたい、という意志は良かったと思いましたが、そのメンバーの研究者の選定までは、細野さんの意志は及ばなかったからな~☆
あ、話が脱線しました。
はい、というわけで、学校給食について。
2011年以降、あちこちさまざまな問題があります。例えば、2012年に暫定基準値から変えられた食品中の基準値が、放射性セシウムで100Bq/kg以下となりましたね。
はい、この厚労省の資料をご覧ください。
→食品中の放射性物質の新たな基準値について
「この際、流通する食品の50%が汚染されているとする」という考え方で、基準値が決められたのですね。これは日本全国の話なので、他の地域も他人事ではございませんよ! 日本全国の流通する食品の50%が汚染するかもしれない、という考え方ですからね(保守的な数字でしょ、というツッコミもあるでしょうが、チェルノブイリ事故後の日本の基準、370Bq/kgも同じ考え方でできました。でもね、今の問題は、違う考え方が必要と思うのね。チェルノブイリ原発事故後の輸入食品や降下物による汚染は、全国共通の数字で良かったけど、福島原発事故は、国内じゃない! 一律50%の考え方でいいの? と思っちゃう。汚染地域に近いところと、遠いところで、流通している食品の汚染度の割合は異なって当たり前でしょ?)。
おぅ、久々に書くと脱線しまくりでごめんなさい。
もう、本筋だけでいきます! 福島県での学校給食の問題は、そういう測定値や基準値などの数字のこととかと異なる問題だと思うんです!
なぜなら、「風評被害払拭のために、学校給食で子どもたちが福島県産を食べて、安全性をアピール」という策が推進されているから!!
2月1日のミーティングで出た、福島県いわき市、須賀川市、郡山市、福島市の方々の意見を書きます。
「安全性のアピールのために子どもたちを使うのは倫理的におかしくないの?」
「安全といっても、全品を詳細に検査をするのはムリで、サンプリング検査か、全品をザッと粗く検査するかだし、ストロンチウムやα核種は測定していないのに、セシウムの基準値を厳しくするから大丈夫といわれても…」
「検査方法や、基準値の問題ではない、その問題にすりかえられてはいけない。安全性のアピールのために子どもたちに食べさせるのは納得できない。子どもたちは一番あと、守られるべきもののはず」
「東電や政府が『安全』と言うのではなく、地域の大人が、地域の子どもたちに『安全』を押し付けるのは、絶望的に内容が違う。納得がいかない」
「生産者対消費者の問題にすりかえられている、相対するのは原発事故のはず」
「絶対安全などないことを、福島県民は一番知っているはず。絶対安全と言われていた原発が爆発したのだから。なのに、また、絶対安全、と言われて子どもたちに安全性をアピールさせるの? 数年後に、やっぱりあのとき測れなかったけどプルトニウム入ってました、ストロンチウム入ってました、と言われても、誰も責任とってくれないだろう」
「自分たちは爆発後の初期被曝もしている。子どもたちに対して、そのことは償いきれない。あと、できることは、できるだけ追加被曝させないことだけ。安全性アピールのために、学校給食で食べさせるなんて、急がせないで」
「子どもにこれ以上被曝をさせたくない、と言うと、じゃあ食べなければいいじゃないか、強制はしていない、と言われる。みんなと同じことをしないことでどれだけ子どもが傷ついているか」
「ママ一人一人に判断が委ねられるのはおかしい。子どもを育てながら、家庭を維持しながら、必死で声をあげている。将来につながる問題として、日本の大人が責任を持って、一緒に考えてくれないかと思う」
「今、被曝に関することは、福島では、お金持ちの道楽、みたいなイメージにもなりつつある。食べ物に気を付けているという話になると、『うちはそんな余裕ないから…』と返されたり。マクロビオティックやオーガニックなどと同じようなイメージになりつつある。移住・避難ができる人も、ある程度金銭的に余裕があったりコネがあったりする世帯が多い。だからこそ、学校給食は、みんなに平等な学校給食は、汚染のされていないものを提供してほしい。格差無しの安全がほしい」
***
どうでしょう、この切実な言葉の数々。
私も驚きましたもん、風評被害払拭、安全性アピールのために、学校給食って?
いちはやく、朝日新聞の「プロメテウスの罠」がとりあげてらっしゃいましたね。以下抜粋。
とくに、学校給食に福島市産米を使うことだ。子どもたちが福島の米を食べれば、安全性を全国にアピールできる――。
(中略)
13年1月。吾妻は福島市議会に参考人として招かれた。吾妻は「県内でここまでやっている農協はない」と強調し、こう訴えた。
「セールスに行って、『学校で使っていないでしょう』といわれるのがとてもつらい。それを行政としてやって頂ければありがたい」
あのさー、本当に生産者対消費者の問題にすり替えられてると思うんだよね…。一緒に、原発事故の汚染問題を考えないと!
そして、私は、こういう考え方って倫理的にNGじゃないの!? と驚いたのです。
これって例えば、こういうことじゃない?
絶対に安全な最新型の航空機があるんだけど、みんな乗ってくれないの! 本当に安全なのに、風評被害がたっちゃってさ! だから、子供たちを1000人乗せて、安全性をアピールします!!
えええ、そりゃないでしょ! 安全性アピールのために、子どもたちを使っちゃダメでしょ?
じゃ、どうすりゃいいんですか、子どもたちを乗せるために、ボルトの数増やしたらいいんですか、検査の数値を厳しくしたらいいんですか?
そういう問題ではなく、安全性のアピールのために、どなたも、ましてや子どもも使われてはならないと思うんですね。
原発事故後に、当時の石原都知事が金町浄水場を視察してそこから汲んだ水を飲んだり、2011年の統合会見時に、当時の園田政務官が、5/6号機の滞留水を飲んでみせたり。そんなこと、意味ないし別に見たくないの!!!
ましてやそれを子どもたちにやらせるってことでしょ…脱力。
いろいろ調べると、JAや学術会議などで、風評被害の払拭のために、福島の学校給食で安全性をアピール、という資料が出てるんですよね、内部資料でも無いところが、なんか驚き&悲しいんです。
と、こういう考え方をするのは、マイノリティなの!?
***
民間のある研究所(大きいところですよ、でも自治体との契約があるから、あまり詳細な情報は出せない、とのこと)によると、汚染地域の子どもたちの尿検査をした結果、少量だがセシウムが検出された、と伺いました。2012年、2013年でもね。福島県以外の汚染地域ですね。少量なので、健康に影響があるかどうかわからないけれど、ずっと検出され続けるのはどうだろうか? 問題ではないのか? とおっしゃっておられました。
独自でいろいろ調査された結果、汚染地域で家庭菜園を持っているご家庭のお子さんの尿からはセシウムが検出され続ける割合が高い、とのこと。基準値100Bq/kgよりはるかに低い汚染、数Bq/kg程度の汚染でも、毎日3食食べ続けると、やっぱり少量のセシウムが尿に出続けるのです。
流通している食品の汚染度は事故直後よりはるかに下がってきたけれど、汚染地域の家庭菜園はやめたほうがいいのではないか、流通しない家庭菜園の生産物は元々測定はされないし…とのことでした。う~ん、やっぱり、考えちゃうよね。
***
学校給食で、地産地消を避けてほしい、と署名活動をするママたちのところに、どれだけ嫌がらせやバッシングがあるか、なども伺いました。
それも書きたいんだけれど、内容は書かないでほしい、と言われました。どういうバッシングに私たちが参っているのかということを知られたくないから、と。
わーん、泣くよ!!
昨年11月に、いわきのママ&パパたちが、新しく就任したばかりだったいわき市長に「学校給食における地産地消の取り組みをやめることを求める」という署名を渡したときも取材に行ったのです。新しいいわき市長は、「自分も中学生の子どもの父親なので、自分の問題としてうけとめる」という回答で、「一度、測定所を視察に行って、判断する」ということだったのです。
で。
いわき市長への申し入れの場で。
市長は視察に行かれて、なんと「検査体制がしっかりしていることはわかったが、まだ急ぎたくない、自粛したい」ということで、今年の3月までは、いわき市の学校給食は地産地消はしない、北海道産のお米を用いる、と決めたのです!
元々、いわき市は大きいので、学校給食の地産地消の割合はとても低かったのですね。でも、風評被害払拭のために、学校給食での福島県産の割合を上げるように、となっていて。ママたちは、元々地産地消でなかったのに、なぜ原発事故後、福島県産のものを、安全性アピールのために子どもたちに食べさせるの? となっているのです。
まー、この後、いわき市長もバッシングにあっているそうですよ!
だからみなさん、いわき市長に励ましのお手紙を送ってください!
そうね、長野県松本市の菅谷市長も、新潟県の泉田知事も取材したけれど、原発事故に対して批判的な発言をするとバッシングや脅迫があるのよね。でも、お二人とも「福島の方々から励ましの手紙がくる、ありがたい、頑張らなくては」とおっしゃってました。いわき市長もそのリストにぜひくわえてほしい!
そして、泣きながら署名活動を続けるママたちにもぜひ、励ましのお手紙をね!!
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ママたちが言う「食品基準値はセシウムだけでいいの? ストロンチウムやプルトニウムは測らなくていいの?」。
それに関連して、だけど、先週2月7日に驚愕の試料が東京電力から発表されました。こちらにまとめてあります。
→地下水中のストロンチウム90が500万Bq/L,半年後に初めて発表!?(NOBORDERより)
3行まとめはこちら↓。
*昨年7月の地下水観測孔No.1-2からストロンチウム90が500万Bq/L検出されていた。
*このことは昨年7月下旬にはわかっていたが、β線よりはるかに高い値だったため、東京電力は測定に誤りがあるかも、とこれまで公表してこなかった。
*しかしこれは正しい値で、逆に平成23年3月から平成25年10月までの高線量のβ線の測定値に信頼性が無いことがわかった。
あまりにも高い値だったので、誤りかも、と思って公表してこなかったけれど、やっぱり正しかったです、と今頃になって発表っておかしくない?
しかもこれは、この地下水観測孔の1回目の測定のため、いつから、この地下水がこんな高濃度汚染されていたかは今のところ見当がついていません。そんで、過去の全βの測定も、高濃度のものは、ちょっと過小評価していた可能性があるので見直す、とのことで、ストロンチウムの放出量の総量の評価が変わってくる事態なのです!
こんなことは山ほどあるんだよね! 今、安全だと思っていても、後からゴメンて言われることあるでしょ、と2月1日に福島県でママたちに聞いて、2月7日には、東京電力が「申し訳ありませんでした、ストロンチウム90高濃度ありました」とすぐにゴメン言ってたので、おぅ…と思いましたよ!
***
アスベストに関しても取材を重ねているので、またまとめますが、ショックだったことを1つ。
先月、ある神戸市議に気になるお話を伺いました。2012年にアスベスト被害の労災認定された方についてです。
その方は阪神大震災後、瓦礫撤去の作業をアルバイトでされてたんだけど、それがたった2ヶ月間!
お亡くなりになってから労災認定されたのですが、2ヶ月間という期間での認定は異例とのこと。つまり、阪神大震災後のアスベスト濃度はどれだけ高かったか、ということでもあるのです。
震災アスベスト、というのは、神戸っ子のわたくしにとって大きな問題です。うちは父親が「気をつけろ!」と言っていたので何となく知っていたんだけれど、行政や報道によるアスベスト気をつけて、のアナウンスはほとんどありませんでした。
でも小さいNPOとかが、神戸の長田の小学校に防塵マスクを配りにきたり、とかいうことがあったのを後から知りました。でも、国は、アスベストの危険性は、そのころとっくに知っていたんだけれどね。
アスベスト被害が発症するのは20~50年後といわれています。
でも、すでに、阪神大震災後の復旧活動によるアスベスト被害はちらほら出ていて、それが公務員の方だったり、建築会社などで働かれていた方だったら労災がおりるのだけれど、自宅とかボランティアでアスベスト曝露して被害が出ても、もちろん労災はおりません。
神戸市議は、これから出てくる震災アスベスト被害にどう対処するか、大きな課題、とおっしゃっておられました。
原発事故も、汚染に気付いて防御していた方と、知らなかった方に運命が分かれる、ということがありませんように!!!
【今週の針金】
学校給食は安全性をアピールする為のものじゃないですねん!
子どもたちの食べるものですねん!
久しぶりの「脱ってみる?」ですが、おしどりさんが伝えてくれる福島からの声には、いつも愕然とさせられます。もちろん、「福島の」と一括りにできるものではなく、いろんな考え方の人がいるでしょう。ただ、少なくとも「生産者対消費者の構造がつくられている」状況は、やっぱりおかしすぎると思うのです。
おつかれさまです。「その場に座っていた日本の科学者が反対をしたの! 「子どもと大人でお膳を変えるというのは、食事を作る主婦に大変負担をかける」とか何とかいって。」新しい日本の科学分野の科学者?
判断力の無い子どもをだしにつかうのは卑怯な手。安心・安全な暮らしを子ども達に保障するのが大人の役目です。
1人の母親として、怒りがこみ上げてきます。未来を創ってい子どもたちに、なんて仕打ちをするんだろう。これが大人なのか。私は、風評被害という言葉自体間違っていると思う。被害にあっている生産者を救うなら、生産物を買うことは本当の意味での救済になっていない。生産者の方々もどこかで罪悪感があるのではないかと思うから。そうではなくて反対に、全国から、汚染されていない食べ物を届けるべきじゃないだろうか。復興といってお金を使うなら、汚染地域はもう何世代先までも住めない土地だと明らかにして、地域ごとの移住のために力もお金も注ぐべきじゃないだろうか。
おしどりさんの記事をFBで紹介したところ、知り合いから次のようなコメントが投稿されました。
「いえ、福島県産の農産物はかなり精密に検査されていますが、放射性物質はほとんど検出されていません。品種ごとでも、陰膳(含む給食)でも。同じND(不検出)であれば、検出下限値が低くて、サンプル数も多い福島産を選ぶのは、むしろ合理的です。」
実際のところ、どうなのでしょう? 不検出であれば、福島産でも他県産でも同じということなのでしょうか?
このような問題が全く報道されないことに、怒り爆発です。
マコさんの記事を読んで、あんまり難しくて、でもこれではダメだ!と思って放射能の怖さについて猛勉強しました。子供たちに毒を食べさせて平然としていられる人、それは人間でなく鬼だ!
必死に子供たちを守ろうとしているお母さん方の応援がしたいです。でも汚染について発言することが憚られるのも事実。マコさんや、武田邦彦さんの発言をみて判断基準としています。
福島県の大人の方々、どうか安全な給食を子供たちに食べさせてください。お願いします。
いわき市民です。この署名、私も書きました。避難したくても避難できないお母さん達の、それでも子どもを守りたい切実な気持ち。でも、県内ではそんな気持ちがバッシングの対象です。だから、まるで虐待を受けた子どものように、黙って目を閉じて耐えてるお母さんが多いです。
いわき市は2011年4月に、いち早く全国に避難している子ども達を呼び戻し、小学校を再開しました。学校へ戻った子ども達の最初の仕事は、大掃除という名の下の『除染』でした。当時のいわきは、まだ、ヨウ素がいっぱいだったから。。そしてその後、『小学校が再開したおかげで、宅急便が再び来るようになった!』と大人達は喜んだのです。
いつもいつも、子ども達は偽安全PRのために利用されています。そして、一方では被曝と病気の相関データを提供するモルモットとしても利用されている気がします。それを、酷い と言えない空気が悲しいです。まるで戦時下です。