年末は例によって、超忙しかった。何かというと商売。何を隠そうウチはリサイクルショップなので、年末は引っ越しやら大掃除やら夜逃げやらで大忙しだ(当店、秘密厳守のためこれ以上は言いません)。
一昨年は原発が大爆発して大わらわになり、その後、日本の利権構造やら悪いところが如実にあらわになって来てデモなども起こりまくり、この日本社会もさすがに我に返るかと思いきや、選挙になってみると、諸悪の根源のはずの自民党が数百議席。なんだこりゃ。・・・ってわけで、そんなアホらしい世の中に惑わされるのも癪なので、ちゃんと自分たちの生活スタイルを作ったり、場所作りを進めるのがここはやっぱり大事。そう、実はこういうことが一番の近道のはずなのだ。
さあ、商売、商売! これがまた楽しい。
ただ、商売に精を出していると、商店街のおばちゃんたちや近所の年寄り衆からは褒められるものの、活動家系の人たちからは「松本さんは働くのが好きだな〜」などと、バカにされることがある。なぜか農業やらものづくり系の仕事なんかは意外と評価されがちなんだけど、リサイクル業は「仕事」とか「金もうけ」とみなされがちだ。それどころか「本当に店に出てるんですね〜」などと驚かれることも多い。ヒドいときは「店なんか若い人に任せて、言論や執筆活動に力を入れてくださいよ」などと言う人までいる。こら〜、店を軽く見るな〜! それにそんな人の言論なんかあやしくて信用できないよ。さらに、生まれも育ちも東京で、しかも工場と商店街と貧民団地しかないような下町で育ったもんだから「山とか海とか土とか見ると不安でしょうがない」などと言ってると、なおさらバカにされる。ずるいずるい! リサイクル屋も農業に入れてくれ!(←よく意味が分からない)
ま、それはさておき、なんだかんだ言ってリサイクルっていうのは普通に大事なこと。それに店をやってるといろんな人がやって来るし、見たこともない変なものも次々舞い込んで来るので、これがまたやり始めると止まらなくなって来る。
お茶事件発生
そんなこともあり、最近は日々楽しく仕事をしている訳だが、最近は寒いので、店番をするときはいつもお茶やコーヒーを入れる。で、いつものようにお茶を入れようとしたら、電気ケトルの電源が入らない。おや? おかしい。
何度スイッチを入れても電源がオンにならない。う〜ん、そういえば最近、なぜか電源が入らず、何度かオン、オフを繰り返したら電源が入ったこともあった。さては、壊れてきたのか? せっかく昼ご飯を食べようと思ったのに、お茶が入らないんじゃ、困るじゃねえか!
しかし、電気ケトルなんていう単純な構造のものがそう簡単に壊れる訳がない。特にうちで使ってるような安物のタイプは、鉄に電流を通して熱を発生させて湯を沸かすだけ。極めて単純。食べ物の恨みは恐ろしいというが、飲み物の恨みも意外と恐ろしい。特に、昼ご飯を食べようとしているときのお茶の重要性は、カレーの福神漬けや、ビールの枝豆などの比ではないぐらい重要なアイテムだ。こりゃいかん! だんだん腹が立って来た。もう、頭に来た! なんでお茶が飲めないんだ! お茶、お茶!
これが問題のポット。
しょうがない。どうせ単純な構造なんだからなんとかしよう。
とりあえず充電器の方から。接点の電圧を測ってみると、102ボルト。ちゃんと電気は通っている。よし、合格だ。オマエは許してやる。ってことは、やはり本体。お茶が飲めなくなった恐るべき理由がついに判明するのかと、ビクビクしながら中を開けてみると、案の定、やたらセコい作り。なんだこりゃ。
こういうときは大抵、力がかかり過ぎたり老朽化してスイッチのレバーが折れてたり、湿気で接点が腐ってたり、ゆるくなって電気が通らなくなってることが多い。でも、スイッチは大丈夫そう(ちなみに、おもちゃ以下の作りで、いつ壊れてもおかしくないようなシロモノではあった)。
充電器は問題なし!!
じゃ、何だというと、線。コンセントから来た電気が機械の内部でスイッチを経由して発熱部まで行くのだが、これがまた見たことないぐらい細い線! しかも、その細い線をグルグル〜っと、よじってある。危ねえな〜。ちなみに、この電気ケトルの消費電力は670W。簡単な電気ストーブぐらい強力な電流が流れてる。あんな細い線で、しかもグルグルねじってたら、そりゃ壊れるよ。よく見てみたら、途中で断線していて、電気が止まってた。まったく! ショートして焦げてもおかしくない。ちきしょー、ずいぶん粗悪なもの作ってるな〜。ピーターラビットの外装で油断しきってたけど、あぶねえじゃねえか!!! お茶飲ませろ!
やっぱり壊れてた! 危ない危ない!
リサイクルショップを使うしかない
しかし、最近は本当にこういうものが多い。そもそも長く使うということを考えてない。もちろん、リサイクルしてまで使うなんて考えてない。せいぜい最低1年ぐらい持ってくれれば文句言われないと思って、そのレベルで作ってる。う〜ん、ここまで来ると、リサイクルするとかしないとか言う問題じゃなくて、こんなものが流通されてる経済の仕組みの問題だね。
さらにいうと、電化製品だけじゃなくて、家具もそう。見栄えだけきれいだけど、修理不能なゴミを固めただけのような材質で作ってる家具なんて、最近ザラにある。こんなの頑張って5年ぐらいしか持たない。本当は家具って100年ぐらいは持つ。家だってそうで、ちゃんとした作りの家は長く持つけど、その辺でよく見る、なけなしの安月給から捻出した30年ローンで無理矢理建てた、積み木みたいな家なんかは、30年後にはみすぼらしいボロ家と化しているに違いない。
これ、よくよく考えて長い目で見たら明らかに損をしている。いいものを長く使う方がいいに決まってる。リサイクル屋が言うんだから間違いない。で、もっと言うと、損してるってことは誰かが得をしてるってことだ。言うまでもないが、売る側がもうかるから。安いものを作って、どんどん壊れて消費して、また買ってもらう方がもうかるから。こんちくしょー。うまく考えやがったな。
とは言っても、都市の生活リズムは早い。学生は入学して4年で卒業して引っ越してしまう。就職しても、結婚やら転職でまた引っ越し、単身赴任のお父さんもいる。「100年も家具使わねえよ」って言う人も多い。あるいは「いくら持つからって全部親が使ってたのをそのまま使うのはイヤだ! 自分の好きな物を揃えたい」って人だっている。そう! そこでリサイクルショップの登場だ。幸いにして、高価な良質なものはお金持ちの人が最初に高値を出して新品で買って入手してくれるので、飽きっぽい金持ちが手放した後は「後は我々に任せとけ!」ってことで、それ以降は我々の貴重な財産として100年間みんなでまわして使って行こう。その途中途中で物を輸送して手入れして仲介するのが、我々リサイクル屋。これは使わない手はない。
よし、どんどんリサイクルショップを利用しまくるしかない。いや、むしろ、リサイクルショップを開業しまくってしまおう。そこら中にあふれてるものをまわしまくってしまうしかないね!
やいやい、安値で粗悪品を大量生産して金もうけをもくろんでる諸君! あまり調子に乗ったらリサイクルするぞ!!!!
お店の宣伝か!? と思いきや、 最後にはなぜか開業の誘いになっちゃってました。 モノを使い捨てにせず、修理しながらながーく使う。 そんな生活をたくさんの人が始めたら、 社会全体の構造もちょっとずつ変わっていきそうです。 そして松本さん、結局お茶は飲めたんでしょうか??
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