松本哉ののびのび大作戦

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 高円寺というと何を思い浮かべるだろうか・・・。阿波踊りだったり、商店街やサブカルチャー、古着屋、ライブハウスなどなど、いろいろある。しかし!! 重要なイベントを忘れてはいないだろうか!? 杉並区最弱商店街とも言われる高円寺北中通り商店街主催の「北中夜市」だ。弱小商店街の逆襲とばかりに、昨年から地域活性化の一環として行われ、5月から10月の第3日曜日に、計6回の「北中夜市」は行われた。で、これがなんと今年も行うということになり、いよいよ準備が始まってしまったのだ!!!!
 これ、何かと言うと、海外旅行好きにはおなじみかもしれないけど、台湾をはじめ南国でよくあるナイトマーケットだ。昼間はクソ暑く、あんまりウロチョロしてたら死んじゃうってことで、日没後の涼しくなって来た時間帯に活動が活発になってる。夜市の文化もそこから来てるので、本来は観光目的でも何でもなく、完全に超日常生活として行われる。だから、週3日とか、下手したら毎日とか行われ、その市の内容も、ごく日常。ご飯を食べたり、日用品を買ったり、子どもが遊んだり、お父さんが余計なものを買って、カミサンに怒られたり・・・。う〜ん、この日常ってのがいいね。
 そこで思いついたのが、日本の夕涼み文化。よくよく考えたら、日本だってクソ暑い真夏には日が暮れてから、軒先でくつろいでいた。そこで、近所の人たちとの触れ合いもあり、いろいろと町が作られていたっていう一面もある。ましてや原発事故以降、今後は超危険物体=原発をなるべく使わないでやって行かざるを得ない世の中にはもってこい。家でエアコンをつけて冷蔵庫でギンギンに冷やしたビールを飲むのも快適だけど、外でくつろぐのもまた更に楽しかったりもする。それに、最近はマンションでの一人暮らしの人なんかも増える一方で、自分が家に帰る道に知り合いがいるなんて考えられないような世の中。商店街がそんなんじゃ、活性化する訳がない。住んでる人の生活の場になることが活性化の第一歩だ。おまけに、近所の知り合いが増えたら街の治安もよくなるし、一石三鳥四鳥で大変なことになってる! こりゃ、すごい!
 高円寺北中通り商店街は、その名の通り、中通商店街の北の方。つまり、奥の方。で、この中通り商店街ってのは、高円寺でも屈指の飲み屋街で、最も夜に賑わう通りだ。なるほど、この立地条件なら、もう夜市に最適! 省エネ&活性化の「北中夜市」。う〜ん、これはいいね〜。

 そんな感じで去年から始まった「北中夜市」。基本的にはフリーマーケットを中心としつつ、手作り品を売る人やら、似顔絵描き、謎の景品が当たるくじ引き(←これ夜市っぽい)などの出店が並び、さらにカレー、チキン、たい焼き、生ビール&カクテル、タイ料理、クレープなどなど、飲食の屋台も出現! そして、重要ポイントが飲食スペースのテーブルがあること。夜市開催中は、商店街の各所にテーブル、椅子を並べて休憩所を設置。これのおかげで、夜市を素通りせずにちょっとくつろいで行ってくれる。人間、いったん腰を落ち着けると意外とくつろいでしまうもんで、普段だったら、一通りのフリマなどをさらっと見終わったら帰ってしまうところが、休憩所があると行ったり来たりして、食べ物を買って食べたりするようになる。人が滞在してくれるので、通りもやたら賑わうし、夜市に出してる店の売上も上がる。おまけに、商店街の飲食店でテイクアウトで買う人もいたりするので、店によっては商売も繁盛。そしてとどめに、近所の人たち同士がその休憩所で知り合ったりもする。それに、一概に近所の人と言っても、高円寺っていう土地柄がまた特殊で、いろんな人がいるので、おじいちゃんおばあちゃんから、ヒマそうな若者、国籍不明の外人、商店街を激走するチビッコなどなど、例によって意味の分からない交流が生まれたりもする。謎の外人が「俺はうまい肉を焼ける」と肉を焼き始めたり、アホそうな兄ちゃんがノンキに食べてるお菓子を近所のクソガキが後ろから奪って走って逃げたりと、いい光景が連発! う〜ん、いいね、こういう感じ!

 ただ、去年はちょっと問題点もあった。全6回のうちの前半はみんな初イベントってことで、やたら盛り上がってたんだけど、中盤以降、悪天候で中止になったり、他の商店街イベントとかぶって力が分散してしまったこともあった。う〜ん、惜しい。
 ということで! なんと、今年からは商店会傘下で独自に夜市の開催について動く、夜市チームを設置することになった。これまでは、月一回の夜市を商店街の店主達で運営していたので、忙しくてテンヤワンヤだったけど、今年からは商店会以外のボランティアスタッフも交えて企画段階から夜市をやってしまうという!
 そんなわけで、随時スタッフも募集しているので、フリマや商店街に興味があったり、イベントが好きな人は、手伝うしかない!!!!!!!

 新しい店も出来て来たり、ゲストハウスも出現したりして、ここへ来てまた妙な盛り上がりを見せつつある北中通り商店街を見逃せない!!!! 徐々に温暖化で南国化しつつある日本の全国の商店街のみなさん、夜市やりましょうよ、夜市! やいやい、こうなったら日本も夏季限定で南国の仲間入りだ!!!!!!!

【北中夜市スケジュール】

5/18、6/22、7/20、8/17、9/21、10/19
毎回、夕方4時から8時まで開催!

 

  

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第83回商店街活性化大作戦
「北中夜市」が今年もやってくる!
」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    今年も「北中夜市」の季節がスタート! 毎月第3日曜日、ってことで今年第一弾は5月18日(日)の模様です。お祭りの屋台って、どこも同じよう なものが並んでいたり、やたら高くてまずかったりするけれど、ここのはどこも手作り感満載でおいしい(昨年の経験より)! 何より、全体に流れる ゆるーい空気が、なんとも心地よかったりするのです。こういう場所があっちこちにあったら、もうちょっと風通しのいい社会になりそう、なんて思ったり。ってことで近所の人もそうじゃない人も、一度は覗きに行ってみよう!

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まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

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