丸森でも広がる、新たなネットワーク
編集部
ちなみに、畑ではどんなものを作ってらっしゃるんですか?
森
ゴーヤー、なす、ねぎ、キャベツ、ブロッコリー…全部で40種類くらいですね。ハーブもいろいろ。でも、私の場合は、売るために収穫しなきゃいけないわけじゃなくて、向こうに行ったときに食べて、帰りに少し持って帰ってくるくらいでいいので、1種類につき4〜5本苗を植える程度の、多品種小生産です。それは農家の邪魔をするわけでもないし、いろんな人がいろんな形で農業にかかわった方がいい。私は東京の家のベランダでもネギやハーブくらいは育ててますよ。やらないよりはいい。
放っておくと、きゅうりとかすごく大きくなって、初めて見たから感動しました。大豆と枝豆がもとは同じものだなんてことも知らなかったし、まだまだ知らないこと多いなあ、と思って。だからおもしろいの。
編集部
畑仕事は、どなたかに教わったりしたんですか?
森
基本は見よう見まね。あとすぐ近くに、農業大学校を出てヨーロッパで実習した若い女性が住んでいて、仲よしなのでいろいろ教えてくれるんです。「マリーゴールドを一緒に植えると害虫除けになるよ」とか、「トマトは脇芽をかかなきゃ駄目」とか。
それと、最近は近くの畑を借りてる人が、定年後で時間があるので、私の畑でも作物を作りはじめ、いないときは私の畑の世話もしてくれるんですよ。自称小作人、私はたまにお料理を作って持って行ったりするくらい(笑)。
編集部
谷根千ではもちろんでしょうけれど、丸森でもすでに充実したご近所関係ができてるんですね。
森
そうなんです。私、東京を捨てられない唯一の理由が「友達をまた作るのが面倒くさい」だったんですけど、瞬く間に丸森でも友達がいっぱいできて。山登り、山菜採り、釣り、たけのこ掘り、みんな教わっています。東京にいても「今度いつ来るの」とか「次来たときはあの温泉に行こう」とか電話がかかってきたり、わりと人気あるんですよ(笑)。何でも教えてもらおう、知らないことを知ろうっていう気持ちがあれば、いいんじゃないですか。
そうやってできた向こうの友人たちとも、図書館を作ろうとか、ドキュメンタリー映画の上映会をやろうとか、いろいろ計画しているところなんです。
「自分に身近な問題」に、粘り強く、
丁寧に取り組んできた森さんならではの視点。
直接にはつながらないように思えても、
まずは身近なところを変えていこうとする力が、
結果的には「大きな問題」をも動かしていくのでしょう。
森さん、ありがとうございました!