「闘う」ことで明るくなれる
編集部
『谷根千』は昨年で最終号を迎えましたが、それ以外にもどんどん新しいつながりが生まれて、広がっていっている感じですね。
森
『谷根千』をやめてからのほうが、かえって忙しいですね。「いつまでに出さなきゃ」というプレッシャーはなくなったけど。まあ、健康と相談でボチボチです。生活のためには別のところに原稿を書かなくてはいけませんから。
地域雑誌としての『谷根千』についてはもう十分やったと思ってるし、そこから生まれてきたものもすごく大きい。それに、私たちもまだ50代だから、これからもうひと花ふた花、違うことをやりたいと思ってるんです。
編集部
それも、お話を伺っていると、どんな活動についても、まずとにかく「楽しそう」なのが印象的です。周りにそうしてたくさんの人が集まってくるのは、森さんのキャラクターもあるのでしょうが。
森
うーん。私、基本的に楽天的なんですよね。それに結局、何をするときにも一番大事なのは「暗くならないこと」だと思うんです。まず自分が暗かったら、周りにも誰も来ないし。いわゆる「運動」をやってる人の中にも、「最近の子たちは・・・」なんて悪口を言いながら、「若い子たちはこういう活動に参加しない」とか文句言う人がいるけど、そんなこと言われて来ないの当たり前じゃないですか。やっぱり楽しくて、この人と一緒にいたら未来が見えてくる、というような人としか一緒にやりたくないでしょう。
でも本当は、今のこんなひどい世の中で生きていたら、暗くなっちゃって当たり前だと思います。そこで唯一暗くならない方法は暗い社会と「闘う」こと。闘うことでエネルギーが出てくるし、仲間もできるし、自分を肯定できるんだと思うんですよ。
女三人のシベリア鉄道(森まゆみ/集英社)
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「必要なときには助けてくれる人が現れる」のは、
なんとも明るくて気さくな森さんの人柄ゆえ?
次回は、「ここ数年、畑仕事をしに通っている」という、
宮城県・丸森町でのお話を中心に伺います。