沖縄に移住したのは「好きやったから」
2010年正月に、ピース・ミュージック・フェスタ!実行委員のメンバーと辺野古で (写真提供:「ピース・ミュージック・フェスタ!実行委員会」)
編集部
さて、伊丹さんは関西出身ですけど、そもそも沖縄に住もうと思われたのはどうしてなんですか?
伊丹
その前に住んでたアイルランドの寒さに耐え切れなかったから(笑)。あとは、いろいろ理由はあるけど今思えばやっぱり「好きやったから」。そういうタイミングやったんやな、って今は思う。
編集部
その前から、“ソウル・フラワー・モノノケ・サミット”などで沖縄民謡を演奏されたりしてましたよね?
伊丹
神戸の震災の後、ボランティアで私らがよく行ってた地域が、奄美や沖縄から来た人が多い地域で。そのときは民謡なんかまったく知らんパンクロッカーやったから、「汗水節やれ」とか言われて、「何それ?」っていう感じやったけど(笑)。
そのときに、寝たきりやったはずのおばあちゃんが、私たちが演奏する沖縄民謡で、いきなりカチャーシーを踊りだした、っていうことがあってね。音楽の力ってすごい、沖縄の人たちのルーツってすごいな、と思った。ずっと「音楽のないところには住みたくない」と思ってたし、そういうこともあって、日本で住むべきところは沖縄しかないって思ったのかもしれない。
編集部
ずっと宜野湾に?
伊丹
そう。首里とかはきれいすぎてなんかピンと来ないし、住むんやったら宜野湾かコザ、って初めから思ってた。やっぱり、大阪人ってああいうごちゃごちゃっとしたとこが好きなんとちゃうかな(笑)。
編集部
基地問題について、とかは…。
伊丹
全然。最初、普天間基地のすぐ横のアパートを借りてたから、周りのみんなに「さすがヒデ坊やな、戦う気満々やなー」とか言われたんやけど、そんなわけないやん! たまたま、そこのアパートがすごい安かっただけ(笑)。
「思いやり予算」とかも私、沖縄に引っ越してから知ったもん。沖縄の人、外人はみんなアメリカー(アメリカ人)と思いがちだから(笑)、電気屋さんとかガス屋さんとかがドーナル(夫でアイルランド人ミュージシャンのドーナル・ラニーさん)を見て勝手に「お父さん、アメリカーやから電気代もガス代もいらないはずよー」とかって言う。まさか私たちの税金がそんなとこに使われてるとは思わないからビックリしたよ。ドーナルはアメリカ嫌いやから、かんかんに怒ってたけどね。しょうがないやん、アメリカ人に見えるんやから(笑)。
2007年の辺野古のフェスタでのソウル・フラワーの演奏は、
DVD「ライヴ辺野古」に収録されています。
次回、その後のピース・ミュージック・フェスタ!、
そして沖縄から見た基地問題の今後について、さらにお話をお聞きします。