映画、テレビ、舞台と幅広く活躍してきた女優の木内みどりさん。
3・11以降は、脱原発についても積極的に活動しています。
脱原発への思いや憲法のこと、政治や社会参加についてなど、
日々の暮らしや活動のなかで感じていること、気になっていることを
「本音」で綴っていただきます。不定期連載でお届けします。
第22回
「発熱中!」が200名弱、増殖しました
さる7月8日のことです。慶應大学・日吉キャンパスの階段教室で、わたしとっては3回目の経験、大学の講師として約200名の学生さんに90分の講義をさせていただきました。
そもそも、中卒ですから大学の授業に出た経験がありません。だから、大学というものを知りませんし、昔と今とどう違うのかもわかりません。階段教室というものも、映画やテレビの映像でしか見たことがないのでした。
「場」に馴染みたいので、早めに到着してしばし廊下や通路を歩きました。
18、19、20、21歳 という、自分の子どもより年若い人たちが、たくさんたくさん歩いています。今のわたしの目には「子ども」に見えます。世代の違う「正式な講師でない」「彼らが選択したのではない講師」のわたしの言葉が通じるのか、想いを共有できるのか…不安がいっぱいでしたが、最低限「本気で生きる」熱だけは伝えたいと教室に入りました。
大きな教室ですが、みなさんの許可をもらってマイクなしの直接の声で聴いてもらいました。これだけは伝えたいとメモしていったことを次々と展開。学生さんの反応に沿って脱線しながら、全員で雑談しながら散歩したような気分でした。
90分が、すぐ、でした。
以下、学生さんのアンケートです。
- 今までの中でいちばんビビッときた講義でした。木内さんみたいに熱をぶつけてくれる授業があまりないから、なんかどよーんとしてしまう気がしました。
- 熱がすごく伝わってきて、久しぶりに90分間全く眠くない授業でした。
- いつもの授業と違ってすごく新鮮だった。いい意味で普段の常識を壊してくれてよかった。
- 「わたしたちは人生の華の時代を生きているのだから、もっと、パワフルに生きないともったいない」という言葉が胸に痛く刺さりました。
- 正直、大学に入学した当初の熱を失っている自分がいて、今日の木内さんの話はものすごく自分に響きました。
- みどりさんのすごい熱で目が覚めました!!
- 木内さんのパワフルさに、思わず身を乗り出してお話をきいてしまいました。
- とってもパワフルな方で、40代かと思いました。
- 原発には賛成だったのですが、今日の話を聞いて反対派になりました。
- 力強いスピーチだった。起きなければいけないらしい。気付かされた講義だった。
- すごく印象に残る90分でした。
- もっと自分の内側から変わろうと思いました。
- 非常に感情に訴えてきて、多少、過激だったが、普段こういう人に教えられることはなかったので新鮮だった。
- 今まで大学で受けてきた授業でいちばん面白いものだと思いました。
- 目を覚まされた感がありました。
- 今日、木内さんの講義をきいて、うちに眠っていたわたしの生きる原動力、果たしたい思いを再確認することができたような気がします。
- 「自分の中にどういう熱があるのかを知る」という言葉がいちばん印象的だった。
- 熱のある講演をありがとうございました。人生に本気になってくれという意見には賛成です。
- 木内みどりさんは今まで会った人の中でいちばん力強い人でした。
- I got inspired from her so much, and on top of that I feel want to be like her in the future.
- なんでそんなにパワフルなのか。知りたい。教えてください!! おねがいします!!
- 生き方を見直そうと思った。感心と圧倒の連続だった。
- 少し目覚めました。
- わたしも原発止めたい。なんとかしたい。
- みどりさんの力強い講演に目がさめるようでした。
- 久しぶりに熱のこもった話を聞けて良かったです。ただ、権力と正攻法対峙するのは不可能だと思います。我々はもっとずる賢くこの敵と闘わなければならないと感じました。
- わたしの人生の主役はわたし、と主張することの大切さを感じました。
- わたしたちとは初対面にもかかわらず、全てを見透かされている気がしました。木内さんの言葉で目が覚めました。自分を見つめ直します。
- とてもパワフルな方だなぁと思いました。言っていることが熱血で心動かされました。発熱したいです。
- わたしは福島県出身なのですが、ここまで授業で原発批判とか政府の対応批判した人は見たことがなかったので圧倒されました。
- 脱原発の方の意見というより、木内みどりさんからしか聞くことができないお話が聞けてとても有意義でした。
- 僕が人生で会ったことのないタイプの人だった。話を聞いていたら、外国に旅に出ていろんな人に会って、いろんな考えに触れたいという欲がかきたてられました。
- 自分がやる気がない人間だということを実感させられた。
- 当事者意識が持てません。私自身が様々な行動に対して責任を持っていないからでしょうか。
- 目をさまさまければ!! 何かいろいろもう遅いやと思っていたけれど、全然だ。これからだ。
- 人生のエネルギーをもらいました。
- もっと自分で自分のことをしっかり考えて生活していこうと思った。
- みどりさんの講義は演劇みたいで直接、心にひびいた。
- 世の中が複雑すぎて一歩を踏み出せません。
- 木内さんはとっても情熱的な方で、とってもおもしろい講義でした。選挙権を獲得したら必ず選挙に行こうと思います。自分の中で何か萌えるものを見つけたいです。
アンケートはもっともっと、たくさん、ありました。
中に、「幸せな人生を過ごした人なんだなぁと感じた」というものがあり、「安倍政権を原発の観点から一概に甚だしく批判するのは、これから選挙権を握る学生に訴えるのは、どうかと思います。アベノミクスは成功し、日本経済は間違いなく良い方向に向かっています。空気を読むことも生きていく上で非常に重要なことです。木内さんにも今一度ご自身のお考えを再考されてみていただきたいです。失礼いたしました」というのがあり、「わたしの母校に講演に来てください」という出身高校での「講演依頼」が3通ありました。
この90分で聴いてくれた学生さんが、この日のわたしを体験し、わたしがこの教室の200名近い大学生さんたちを体験した。教えたり教わったりってほんとうはここから始まるのにな…というのが終えてからのいちばんの実感でした。
だから、ふと、わたしの中で予想外の欲が芽生えました。もう少しもう少し小さい部屋で、せいぜい30人位の若い人と一緒に、散歩でもするかのような講義の時間を持ちたいなと思ってしまいました。
「目が覚めた」「本気になってきた」「発熱したいです」「自分を見つめ直します」という幾人もの人の中で、90分の効果が熱として届いたことがうれしかった。
発熱仲間が約200名弱、増殖しました。
*
そして、「7月18日午後1時きっかりに」と、澤地久枝さんが提案して始まった「アベ政治を許さない」サインを掲げるアクション。わたしもTwitter、 Facebookに 「7月18日午後1時きっかりに代々木上原駅に立ちます」と書き、実行しました。
読んだ方々が来てくださって50から60名の方々と「スタンディング」となりました。
この日はなかよしの子どもと1日遊ぶ約束の日でした。
みんなもノッて、こんな写真をキメました。
木内さんの発熱が大学生に広がっていく様子が伝わってきます。アンケートの「大学に入学した当初の熱を失っている自分がいて…」という言葉、そういえばわたしも学生時代にそう感じたことを思い出しました。日々の生活のなかで、ひとりで発熱し続けていくのは大変です。いろいろな人の言葉や生き方に触れることで、何度でも「ああ、そうだった」と発熱を繰り返していけるのではないでしょうか。外へ出て、自分の意見を伝えて、人とちゃんと対話すること――大学生だけじゃなくて大人にも大事なことだと思いました。
木内さん素晴らしいですね。若者を目覚めさせて下さったのですね。経産省前テントひろばに作って下さった「DON’T FORGET FUKUSHIMA」の看板、よく通るはとバスの外国の方達が見て頑張ってのサインを送ってくれますよ!脱原発・安倍にNO!頑張りましょう!
乾 喜美子さま
コメント、ありがとうございます。
読んで反応してくださるのが何よりうれしいです。
そうですって、経産省前のあの「DON’T FORGET FUKUSHIMA ! 」外国人の方は写真に撮り、そこにいる方に向かってピースサインをしたり、拍手をしたりするそうです。
きっと、旅から家に帰って、TOKYOでこんなところへ行ったよって他の人に見せてくれるのではないかと思います。
何かが伝わっていく・・・。
誰も作ってくれないなら、自分が作ればいい。
人に期待しないで自分に期待することが大切と思います。
できることを少しづつ、自分なりに、ね。
ありがとうございます。