第11回

次から次へと伝えたいことが…

●北原みのりさんが逮捕されたと知った時、足が震えました

　朗読劇『The Vagina Monologues / ヴァギナ・モノローグ』の共演者として、北原みのりさんと知り合いました。知り合ってからまだ1年程度ですが、リハーサルの前後にみのりさんの著書『アンアンのセックスできれいになれた？』(朝日新聞出版)を読んで、「性」についてきちんと向き合ったことのない古い自分を自覚しましたし、人生や世界を「みのりさん的視点」で視ることを覚えましたから、ある意味、みのりさんはわたしにとって大切な水先案内人です。

　共通の友だち辛淑玉さんと美味しいご飯をご一緒して、「これから続けていこうね」と友達時間が始まった矢先の出来事でした。

　逮捕…。
　なぜ？
　どうして？
　今、どこで、どんな人とどうしてるの…。
　寒くないの？
　着替えは？
　化粧品ゼロ――。

　着替え、下着、温かいソックスなど揃えて届けたいと淑玉ちゃんに言うと「差し入れ禁止」とのこと。「みのりさん、今、どうしてるかしら」と、何度も何度も何度も思いました。読んでくれるはずがないとわかってても、書かずにいられないメールを送信したりもしました。淑玉ちゃんが丸ごと自分のことのように心痛めていることは、わたしにだって痛いほどわかっているのに、「みどちゃん、キタハラは大丈夫、大丈夫っ」と労ってくれました。

　「もう、こうなったら、怖がらずみんなでいこう。いい弁護士だけ味方につけて」と淑玉ちゃんは素敵な声で言いました。「釈放」されたと連絡をもらった時も、足が震えました。
　「釈放」されて、どこへ行くの？　誰と？　誰が一緒なの？　何を食べるの？　どこで？
　気にしてもどうにもならないのに、気になって仕方がありませんでした。「心配してくれてありがとう」というメールをもらった時も痛々しくて痛々しくて。
　そっとしておくこと、遠くからそっと見守ること、みのりさんの自発的な動きを待つこととして、1週間、１０日間、半月、ひと月、ふた月。
　ついに、みのりさんが動き始めました。

　中断されていた週刊朝日の連載ページに、担当弁護士さんとの対談が載りました。Facebookへも書きこみ始めました。

　以前にも増して簡潔なみのりさんの文章を読んで、涙がこぼれました。逮捕、拘留、保釈、釈放、国家権力、個人の尊厳…。軟弱でいい加減なわたしでは壊れるだろう恐ろしい経験を、ほんの数分の一かもしれないけれど、仮体験させてくれたこの出来事。あまりに大きなテーマだし、複雑だし、知識がなさすぎるから未整理のままだけれど、ま、急がなくていい。自然と馴染むまで、自分なりの「糸」が見つかるまで仮置きしておこう。

　それにしても、素晴らしい弁護士・村木一郎さんが担当してくださって、よかった。ありがとうございます。
　もし、わたしが、逮捕…され…たら…考えたくもないけれど、もし、もし、そうなったら、村木一郎さん、よろしくおねがいいたします。

●久しぶりに、バラエティー番組に出演しました

「爆報！　THE フライデー」

　心細い私を察して、優しいテリー伊藤さんは手を繋いでくれましたし、爆笑問題の太田光さんは３０年も前に初めてご一緒した時と変わらず清潔な青年でしたし、ま、充実した楽しい時間でした。

　収録が終わってお手洗いに行った時、たくさんの見学者が遠くから手を振ってくれたので、わたしも手を振りお辞儀しました。
　７年前に「芸能人」を「やめて」以来、ベースはただのフツーの人で、たまに「女優」の仕事をする暮らしを気に入っていますし馴染んでいますので、手を振ってくれた女の子たちについお辞儀してしまったのでした。w

　出来る限りの抵抗として、紺のジャケットの下に「WORLDWIDE NUCLEAR BAN NOW」と書かれた、Katharine Hamnett が作ってくれたSサイズのTシャツを着ました。この写真じゃ分かりませんがon airを見ていただけたら、きっとTシャツがわかっていただけると思います。

　放送は、３月２０日（金）１９：００から、TBS「爆報！　THE フライデー」です。わたしの愛車のISETTAもRILEY９も登場しますので、わたしとしては「録画して永久保存」です。

●小出裕章さんと対談させていただいた本が出ます

　事実・真実を伝えることが困難になってきている今、情報の送り手の問題、受け取り手の問題をゆっくり考えるきっかけになると思います。今は、非常時。一人ひとりができることは何で、できないことは何なのか。それはなぜ、できないのか。
　７人の清潔なジャーナリストと、そして、小出裕章さんが文を書かれています。わたしは「ちょっと休憩」といった感じの気楽な対談、でした。

　「ラジオフォーラム」、この健気なメディアを存続させてください。ぜひ、本も読んでみてください。Amazonで買えます。

●「DON’T FORGET FUKUSHIMA」設置してきました。

　本年初めの脱原発アクションは、経産省前テントひろばでの「新春記者会見」でした。この時の経過はこのコラムでも書きました。

　この英語バナーを製作してくださった真島辰也さんと経産省前で待ち合わせて、設置してきました。準備のいい、腕のいい、人柄のいい、ハンサムさんの真島辰也さん。これはお世話になったからのお世辞なんかでなく、ほんとのことなんです。って、これを読んだら、きっと、マジさんは恥ずかしがって読まなかったことにすると思うけれど。

　で、なんと、マジさんは98%仕上げて持って来てくれました。きちんとフレームに収まっていて「ハト目打ち」してあるので、ただ、それを決まった位置に取り付けるだけ。

　脚立に乗ってスイスイスイスイ、進行させていきます。

　長いことここのテントの「看板類」係を担ってきた玉中恭子さんは、「さすが、プロよねぇ〜〜」とそのスピードとカッコいい出来栄えをよろこんでくださいました。設置完了までにかかった時間、１２分！　補修用に各色テープなどの素材をプレゼント。
　
　腕に抱えて、玉中さん、ホロホロ笑っています。うれしそうでかわいいです。

　わたし思うんですけれど、こういうだれが誉めなくてもコツコツコツコツ動いている方は、みなさん、共通してかわいいのです。

　時間があるので、お隣りのバナーのほつれも修繕。すると、通りかかった外国人男女お２人が足を止め、バナーの写真を撮っていきました。

　ホラっ、もう、英語バナーの効果ありっ！

われら英語バナー設置隊。

　材料が余るとわかり急遽、同じバナーを2枚作ったので、それをベルリンの脱原発グループ「Sayonara-Nukes-Berlin」の３月７日のデモに間に合うよう、さきほど送りました。お揃いのバナー「DON’T FORGET FUKUSHIMA」が、ベルリンのブランデンブルク門に登場します。

　ここのところ連日起きている辺野古での現実を知れば知るほど、この国のやり方に怒りがわきますが、それをエネルギーにして、できることをジリジリジリジリ続けていきましょう。

　Let’s march !