問題だらけの「秘密保護法案」ですが、自民党・政府はこの法案をできる限り早く国会で成立させてしまおうと必死になっています。
90480件ものパブリックコメント(意見)が寄せられ、そのうち69579件が反対の立場だったにもかかわらず、その意見も無視するようです。この姿勢がこの法案の「都合の悪いことを隠そう」という本質を如実に表していますよね。
今回のカエルの公式では、この法案への反対方法を例に「パワーアナリシス(勢力分析)」というNGOや市民グループの活動に役立つツールをご紹介します。
「パワーアナリシス」とは何?
「秘密保護法案を廃案にするための活動をしたい」と考える人たちが集まったとします。
そのグループは、限られた活動時間や資金を効率的に使って、どのような活動をすれば変化を起こす一端を担うことができるでしょうか?
そういうときに使えるツールが「パワーアナリシス(勢力分析)」です。
「秘密保護法案」を例にパワーアナリシス
まずは、「秘密保護法案」を例として、単純化した図で説明します。
(1) 白い大きめの紙に縦軸と横軸を引きます。縦軸は上に行けばいくほど、影響力が大きいことを意味します。横軸は右に行けばいくほど、自分たちと意見が同じであることを意味します。
(2) このグラフ上に、自分たちのグループを描きます。自分たちのグループの影響力が高ければ右上の方に、影響力がなければ右下の方に描きます。
(3) 次に、「変えたい対象」を描きます。「変えたい対象」とは、変えたいことを変える決定権を持っている人やグループです。普通は、意見が異なる場合が多いので、左上の方に描きます。
そこで、左上にある「変えたい対象」に自分たちのグループがどのように働きかけるのが効果的かということを探ります。
①の矢印のように直接働きかけることもできます。しかし、「政府や自民党」に直接怒りをぶつければ何かが変わるとは限りません。特に、今回の場合は、パブリックコメントで9万件以上の意見が募集されているにもかかわらず政府が無視しようとしているという事実もあります。
そこで次のステップです。
(4) 「『変えたい対象』に影響力を持つ人やグループ」を思いつくままに、それぞれの影響力や意見の度合を考慮してグラフ上にポストイットで並べていきます(ポストイットで並べると、場所を変更することができるのでおすすめです)。
今回の秘密保護法案の例では、わかりやすい例として、「公明党」と「マスコミ」を入れてみました。実際のパワーアナリシスでは、もっとたくさんのプレイヤーを並べますし、「マスコミ」というカテゴリーも「朝日新聞」「読売新聞」などできるだけ細分化します。
秘密保護法案では、「報道の自由」が制限される可能性があるので、報道機関のいくつかは法案に積極的に疑問を投げかけています。また公明党は、国民の「知る権利」や「報道の自由」を自民党よりは考慮している(もしくは、していた)ため当初この法案にあまり乗り気ではなかったと報道されています(のちの法案賛成へのアリバイ作りのようですが…)。
「マスコミ」も「公明党」も「政府や自民党」よりは、自分たちのグループに意見が近く、自分たちよりも「政府や自民党」に対して影響力があると考えれば、このような対象に働きかけて間接的に「政府や自民党」に影響を与えることもできるでしょう。
そこで最後のステップです。
(5) 自分たちのグループが、働きかけることのできる対象を矢印(①②③)でグラフに描きます。「変えたい対象」に与える間接的な影響も矢印(今回は点線)で描きます。その上で、自分たちのグループがどの矢印の活動に時間を費やすのが一番効果的かを検討するというわけです。
例えば、自分たちのグループに公明党の支持者が多ければ、公明党に働きかけるのが有効でしょうし、また意見を新聞に投書した経験がある人がいれば、新聞社に投書という形で働きかけることを選んでも良いでしょう。
このようにして、自分たちが誰に働きかけるのが有効なのかを視覚的に検討できるのが「パワーアナリシス」です。
社会変化のためには、さまざまなプレイヤーが効果的な役割を担うべき
「変えたい対象」に怒りをぶつけるのも重要です。ただ、社会的な変化は、さまざまなプレイヤーがさまざまなタイミングで動くことで実現します。ですから、自分たちのグループの特徴に合わせて、誰に働きかけるのが一番有効なのかなども考えて行動してみると良いと思います。ちなみにグリーンピースでは、このパワーアナリシスを行って、活動に役立てています。
今回の「秘密保護法案」の例では、極端に単純化したパワーアナリシスをお見せしましたが、実際のパワーアナリシスでは最低数十枚というポストイットとさまざまな方向に向かう矢印がグラフ上にあふれます。
「秘密保護法案」を廃案にするために報道機関に電話を
いずれにしても問題だらけの秘密保護法案。すぐに反対の声を広げなければいけません。この件で、みんなができて即効性があるのは、報道機関に電話して「秘密保護法案」の問題点をもっと広く報道させることでしょう。
- 「秘密保護法案のニュースが少ない」
- 「もっとしっかりと法案の問題点を報道してほしい」
- 「この法案が通ったら、あなた方はどうやって取材するのですか?」
- 「この法案の問題点を指摘しないのであれば、もうあなたの新聞は買いません」
などなどの意見を、今すぐに報道機関に届けてみませんか? 以下に電話番号を用意しましたので、ぜひご活用ください。
グリーンピース・ジャパンで発表した「秘密保護法案」に対する声明はこちら。
グリーンピース声明 — 市民の権利を奪う「特定秘密保護法案」の廃案を (2013年10月21日)
先日、なんと当のメディアが(「報道の自由踏まえ」という前提つきとはいえ)秘密保護法案の成立を求めるという記事を見てびっくりしたのですが(10月22日付産経新聞)、どう考えてもメディアにとって命取りとなる法律であるのは明白。成立間近、とも伝えられる今ですが、だからこそなんとか歯止めをかけるために、ちゃんと反対するメディアを支持するよ、という声を、もっと伝えていく必要がありそうです。秘密保護法案の問題点については、こちらのコラムなども、ぜひ。
公明党は機密保護法に対して、いまや積極派になってますよ。24/10/2013
特定秘密保護法案の請願書を河野太郎衆議院議員に渡しました。議員は「みんな勘違いしているんだ。」と言われました。どんな勘違いかは時間なく聞くことできませんでした。あらためてお聞きしたいと思っています。原発事故さえまともに取り組んでいてくれれば、これ程国に対して不信感を持たなかったと思います。しかし、権力の暴走は恐ろしい。電話などできることをがんばります。楽しい情報をありがとうございます。
てんさいさせていただきたいのですが。
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