こんにちは。
9月15日、福井県の大飯原発が停止作業に入り、1年2カ月ぶりに国内の稼働原発がゼロになりました。東京電力福島第一原発事故から2年半、脱原発を求めて多くの市民が声を上げ、行動を起こしつづけてきた成果ですね。
さていきなりですが、「特定秘密保護法案」って聞いたことありますか?
なんだか字面が怖い法案ですが…、内容は私たちの「知る権利」を制限する可能性のある実際に怖いものなのです。そこで、今日のテーマは、ズバリ「情報公開」です。
「特定秘密保護法案」は怖そう?
「原発に関する情報は、テロに使われる危険性があるためすべて非公開とする」と、政府が発表したらどうでしょうか?
そんなことが現実に起こるかもしれないのが「特定秘密保護法案(特定秘密の保護に関する法律案)」です。
この法案は、国の情報の漏えいに厳罰を科すものなのですが、これが法律となってしまうと行政の裁量でどの情報を「秘密」にするか決めることができてしまいます。
さらに、その情報を漏えいした公務員はもちろん、その情報を取得した民間人も処罰の対象になってしまうという厳しいもの。ですから、報道機関やNGOが内部告発者などから情報を得て社会に告発すると、内部告発者も報道機関・NGOも罰せられてしまうのです。
グリーンピースも、17日まで募集されていたこの法案への意見募集に対して、「反対」の意見を送付しました。
さて一方で、国民の「知る権利」の一環としてすでに利用できる「情報公開制度」というものがあります。次は、その情報公開制度についてです。
50年前の古文書から、
原発メーカーの責任逃れの証拠を発見
そもそも、情報公開制度を利用したことがありますか?
ほとんどの人が「いいえ」だと思いますが、実はNGO活動、市民運動や取材活動にはとっても有効なツールです(もちろん、個人でもできます!)。ようするに行政機関などが保管する文書を見せてもらうようにする制度です。
グリーンピースでは、さまざまな分野で情報公開制度を利用してその活動に利用しています。
例えば最近では、東電の福島第一原発事故に関して、原発メーカー(日立、GE、東芝、三菱など)の責任を問うキャンペーンを行っています。その一環でも情報公開制度を利用しました。
情報公開制度を利用して入手した1960年の原子力委員会の議事録に、原発事故において原発メーカーが責任を取らなくても良くなった経緯が残っていたのです。とても興味深い資料が掘り起こされていますので、興味のある方は、以下のバナーをクリックしてぜひ詳しい説明をご覧ください。
もし50年前、原発事故時に原発メーカーにもその責任を問えるようになっていれば、今回の東電福一事故においてGE、日立、東芝などの原発メーカーも賠償責任を負っていたでしょう。このような資料も情報公開制度で入手できるのです。
「情報公開制度」を活用しよう
情報公開制度はもっと市民が活用できるツールです。
もちろん行政機関は膨大な文書やメールなどを保管していますので、どのような文書を閲覧したいのかを指定しなければいけません。効果のある情報公開をするためには何度か実際に情報公開をしてみて、そのコツをつかむ必要があります。入手できた文書によっては、メディアなどが興味をもってくれる可能性もあります。
ちなみに申請料も数百円ですし、実際に行政機関を訪れての申請だけではなく、オンラインでも申請できます。また、各行政機関の情報公開室を訪れると、そのやり方を教えてくれますので、最初は情報公開室を訪れることをお勧めします。
こちらに総務省が発行している情報公開に関するパンフレットがあります。どのような機関に情報公開申請ができるのかのリストもありますので、ぜひ参考にしてください。(PDF:情報公開制度「教えてペンゾー先生!」)
このパンフレットに掲載されているのは国の機関だけですが、都道府県や市町村でも情報公開ができますので、県庁などに問い合わせてみてください。
まずは、物は試しです。学校の授業や、市民の集まりなどで情報公開制度を利用して過去の行政文書を請求してみてはいかがでしょうか? どのような情報が開示されて、また開示されないのかを知ってみると「情報っていろいろな理由をつけて隠されるのだなー」と感じると思います。情報公開制度を通して、政治や行政への市民参加も促すこともできます。
「情報公開制度を利用してみた!」などのご報告、お待ちしています!
物理的に隠蔽されたり、処分されたりしているわけではないけれど、こちらから指摘・要求しなければ出てこない。そんな重要な情報、実はもっとたくさんあるのかもしれません。みんなが制度をうまーく使いこなせば、いろんなことが大きく動きだす可能性も!?
一方、そんな制度をも骨抜きにしてしまう可能性もある「特定秘密保護法案」については、先週の「法浪記」を、ぜひ。