(世界に400頭しかいないと言われるスマトラトラ © WWF)
こんにちは。
今日は、昨日、インドネシアから飛び込んできた大きなニュースをご紹介します!
インドネシアの熱帯雨林がルーズリーフに?
インドネシアに広がる熱帯雨林は、貴重な動植物の宝庫です。
しかし、この森林は破壊的なスピードで伐採がすすんでいます。
熱帯雨林が、コピー用紙やノートとなってあなたの町のコンビニで売られているなんて思ってもいない方もいるかもしれませんが、それは事実です。
2012年に、グリーンピースが国内のコピー用紙やノートなどを調査した結果、植林材100%使用と明記されていたインドネシア産のルーズリーフには、25%もの熱帯雨林の繊維が含まれていました。
このルーズリーフは、世界最大規模の製紙会社で、熱帯雨林破壊の代名詞とされているAPP(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)社から原料を調達して生産されていたのです。
1時間に東京ドーム約1.8個分のスピードで30年間伐採し続けたAPP社
APP社は、1984年にスマトラ島で操業を開始してから過去30年近くにわたって1時間あたり、東京ドーム約1.8個分を伐採するという恐ろしいスピードで熱帯雨林を含む自然林を破壊し続けてきました。(注1)
この自然林伐採によって、世界で400頭しか残っていないと言われるスマトラトラをはじめ、さまざまな動植物が絶滅にさらされています。
ところが、昨日、この悪名高いAPP社が熱帯雨林の伐採をやめると宣言したのです。
APP社はこれまでも「森林保護を行う」と発表しては、ことごとくその約束を裏切ってきました。それゆえに、今回の発表を本当に喜べるのは、熱帯雨林の伐採が現地で本当に止まったことを確認してからですが、この約束を守るのであれば、インドネシアの森林保護における大きな一歩ということになります。
(参考: グリーンピースビデオ ”The Ramin Paper Trail” )
APP社を変えたグリーンピース・消費者・企業のコラボキャンペーン
(米国KFCのパッケージにも熱帯雨林が含まれていることを証明し、KFCにAPPとの取引をやめるように迫る)
今回、APP社がこのような発表に至るきっかけとして、グリーンピースが国際的に行ったキャンペーンがあります。
グリーンピースは、インドネシアの熱帯雨林 → 製紙工場 → 商社 → 購入企業とAPP社が伐採した木材が、どの国でどの企業によって消費されるのかという「サプライチェーン」を徹底的に調べ上げた上で、消費者と一緒にAPP社の商品を購入していた企業に、その購入をやめるように働きかけてきたのです。
(参考)グリーンピースのキャンペーンサイト 「Asia Pulp & Paper Under Investigation」
このキャンペーンがきっかけで、ネスレ、ユニリーバ、ダノン、レゴ、マテル、ナショナルジオグラフィックなど100社以上の企業がAPP社との取引をやめました。
(バービー人形の梱包に熱帯雨林が使用されていたとして、バービーを展開するマテル社に働きかけた。後に、APP社との取引をやめる)
このようにして、グリーンピース、消費者、そして熱帯雨林をパッケージなどとして販売したくない企業、そしてインドネシア国内外のNGOが協働して、APP社に熱帯雨林の伐採をやめるように迫ってきたというわけです。
ここでもNGOと消費者が協力して行動したことが、成果につながっています。
これからの監視がもっとも重要
APP社の製品は、日本で多く販売されています。だからこそ、インドネシアの伐採現場だけではなく、国内でもAPP社が約束をしっかり守っているかを監視するのがNGOと、消費者である私たちの役割です。
インドネシアの熱帯雨林、そしてスマトラトラなどの希少動物をまもるために、この調査を、グリーンピースのサポーターとして支えてくださる方は、ぜひこちらからご支援ください。
(注1)1984年にスマトラ島での製紙工場をはじめて、2010年までにおよそ200万ヘクタールもの熱帯雨林を伐採したとされる(2011年12月14日 Eyes On The Forest レポート)。また、2009年から2012年中旬の3年半でもそのスピードは衰えず、約25万ヘクタールの熱帯雨林が破壊されたとみられる(グリーンピースの衛星写真による調査による)。それぞれの伐採スピードを年間に平均し、東京ドームを4.7ヘクタールとして計算。
NGOと消費者の協力体制が、またも企業を動かした?
もちろん、本当に「大きな一歩」になるかどうかは、今後もしっかりと見ていく必要がありますが、
消費者の動向が企業に大きな影響をもたらし得ることを、教えてくれる好例ともいえそうです。