マガ9学校やりました。

2015年3月14日(土)14:30〜17:30 @東京YWCA

共催:日本YWCA
後援:グリーン・ウィメンズ・ネットワーク(グリーンピース・ジャパン)、WAN(ウィメンズ アクション ネットワーク)

国会と同様に地方議会も「オッサン政治」だらけです。しかし私たちの日々の生活に直結している地方自治に、女性の視点が入っていないというのは、おかしなことではないでしょうか。ジェンダーバランスが悪いと、政策にも偏りがおきます。「オッサン政治」の問題点に気がつき、怒り始めた女性たちがつながって、足元の「政治と経済」から変えていく…。春の統一地方選挙をその第一歩にしたい、と考えて企画された今回の「怒れる大女子会」。女子高生や男性の姿もちらほら見られ、世代も性別も超えてつながった「マガ9学校」となりました。

浜矩子●はま・のりこ1952年東京生まれ。同志社大学大学院ビジネス研究科教授。一橋大学経済学部卒業。75年、三菱総合研究所入社。ロンドン駐在員事務所所長、同研究所主席を経て現職。著書に『超入門・グローバル経済―「地球経済」解体新書』(NHK出版新書)、『新・国富論 グローバル経済の教科書』(文春新書)など多数。
雨宮処凛●あまみや・かりん1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。現在もさまざまな不安定さを強いられる人々の問題に広く取り組み、取材、執筆、運動中。
太田啓子●おおた・けいこ2002年に弁護士登録(横浜弁護士会)。解釈改憲による集団的自衛権行使容認に強い危機感を持ち、カジュアルな雰囲気で憲法を学べる学習会「憲法カフェ」を、地元の仲間とともに企画・開催してきた。「明日の自由を守る若手弁護士の会」のメンバーでもある。二児の母親。

*今回のレポートは、学生ボランティアの木村緑香が担当しました。

•第一部・エコノミストの浜矩子さんと作家の雨宮処凛さんの対談

 「なぜ多くの人々がいまだにアベノミクスを支持しているのか?」「日本の貧困問題は今後どうなるのか?」「独善的で、他人の意見に耳を傾けず、自分がいつも正しいと考える、そんなオッサン的人間が行う政治・経済を変えるためにどうすべきか?」安倍政権の政策文章や総理の演説から読み取れる狙いと問題についてなど、分かりやすく解説していただきました。
 雨宮さんの「オッサン(政治・経済)は、なぜ原発や戦争が好きなのか?」という問いに、浜さんは「彼らは強さと力に固執する。原発と原爆は違っても元は同じ。原子力が持つ爆発的な力に“オッサン”は引き寄せられるのだと思う。」と述べ、安倍政権の目指す「強い経済、強い日本、誇りある日本を取り戻す」ということは、強さや力を誇示する戦争を肯定する姿勢だというお話がありました。

 また、雨宮さんは「貧困の問題など、当事者からの声を聞き救うための努力をするのが政治なのに、今はそれが全くできていない。当事者が声を上げるためには、自己肯定できる環境と社会や他人への最低限の信頼が絶対必要。こういった女子会で人々がつながって、小さな声を拾うきっかけになれば。」と話されました。
 対談の最後に浜さんは女子会にできること、期待することとして「世界中でこれまでずっと女性が差別されてきたのは、強いから、力があるから、美しいから。人間は脅威を感じない相手を押さえつけはしない。これだけ(女性が)差別されるということは、女性たちが物凄く強いということ。そのことを念頭においておけば、色々な知恵が出てくるはず。私たち強き者は、強き者の責任がある。この強さと賢さをもってこの世の中をまともな方向へ導いていかなければならない。」と力強く話されました。
 対談の詳しい内容は、4月上旬にアップ予定の「マガ9対談浜矩子さん×雨宮処凛さん」をご覧ください。

•第二部・弁護士の太田啓子さんの進行によるリレートーク

 第二部では、さまざまな活動を行なっている女性たちが登壇し、それぞれの “怒っているテーマ”と具体的な取り組みを紹介しました。
 まず、太田さんからは「憲法とは何か」、「自民党改正草案に基づいて憲法が変わると何が問題なのか」について解説がありました。また、春の地方統一選挙に向けては、地方議会議員に対して憲法への関心を伝えるなど、「憲法は票につながる」とアピールすることが大切だと呼びかけました。

 まずは、「女性と人権全国ネットワーク」 のスタッフを務める女性から、若年層の女性が抱える貧困や性犯罪の問題についてのお話と、そこから自分が当事者意識をもって問題にしっかり向き合うことの大切さを訴えました。そして「オッサン政治」に対しても、女性だけでなく男性も当事者として向き合うべきだと話されました。

 続いては、昨年秋の第一回「怒れる大女子会」以降、各地で開催されている怒れる女子会の実践事例を紹介。

 ジャーナリストの山秋真さんは、第一回の「怒れる大女子会」で会った方々と意気投合、怒れる女子会を2回開催したと報告。ゆるさを大事にしながらも、今後は定期的にやろうと盛りあがっているとか。人数を限定した参加型の怒れる女子会で、地域の議員を招いてお話を伺ったり、選挙の候補者を想定した模擬記者会見を行なったりしているそうです。

 山秋さんと怒れる女子会で知り合い、自らも呼びかけ人として怒れる女子会を開催された女性も発言されました「“怒れる”というフレーズがつくと人が集まらない場合もある。」と話し、楽しく政治や経済のことを話せる人同士がつながる場を作っていって、とにかく活動を広げることが大切だと話されました。

 さらに、一風変わった怒れる女子会の動画も紹介されました。それは、昨年12月の衆院選で、応援する候補の街頭演説に一緒に立って怒れる気持ちを訴えたというもの。その動画はこちらからご覧いただけます。

 また、「グリーンピース・ジャパン」の金繁典子さんからは、各地で活躍する女性をつなげて政府や企業に女性の声を届ける「グリーン・ウィメンズ・ネットワーク」とマガ9とのコラボ企画で誕生したブックレットの宣伝がありました。統一地方選挙企画として、無料プレゼント中。ぜひこちらから、お申し込みください。

 二部の最後に「コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン」の小田川華子さんによるお話がありました。問題を共有する人々が地域でチームを作り、解決に向けて行動するというコミュニティ・オーガナイジングの手法を紹介。まずはみんなが持つ“つぶやき(のような問題意識)”を、対話を通して表現することが大切だというお話がありました。

 休憩時間には、福島県いわき市から都内に自主避難をされているママシンガー、Yukariさんが故郷への思いを込めたオリジナル曲「今でも」を披露。参加者は福島の街や海のスライドショーを見ながら歌声に聴き入っていました。

•第三部・参加者によるテーブルごとのグループトークと、講師への質疑応答タイム

 グループトークでは、日々の暮らしで溜まった今の政治や経済への怒りを、共感を持って共有し合いました。参加者同士、「今後どう行動すべきか?」ということも盛んに話されているようでした。
 質疑応答では、メディアが政権に追従しているようだとの疑問に、「目に見える政権からの圧力だけでなく、メディアの萎縮が始まっている」と雨宮さんの指摘がありました。浜さんは、私たちにできることは「メディアに対して反応すること。あらゆる場面で、良いものは良い、ナンセンスなものはナンセンスと指摘すること」だと話されました。

 最後に浜さんが「地球の時代は地域の時代」だと、著書『超入門・グローバル経済「地球経済」解体新書』のなかで述べていることについて解説をいただきました。「グローバル時代には地球と地域の間にある国家の存立が脅かされ、国家に隠されていた地域が表舞台に現れる。人々が互いに聞く耳を持ち、涙する目を持ち、差し伸べる手を持って、“地域”という場で経済活動を行っていることが、地球全体の経済活動をまともにまわす。今ほど人々の活動の場である“地域”が重要な位置づけを持った時代はない。グローバル化が進み人は一人では生きていけないなか、その関係を最大限にお互いのために活かせる場が“地域”。したがって地域という単位が地球時代と一番相性がいい」と話され、目前に迫った地方統一選挙を考える上でも、重要な視点となるまとめになりました。

***

 「付き合いの長い友人ほど、政治の話はできない」「政治の話をすると友人に避けられるようになった」という声を複数聞きました。理由は様々なのでしょうが、政治について語る抵抗感がうかがえます。改めて、怒れる女子会という気軽に意見を共有できる場の貴重性と必要性を実感しました。

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●アンケートに書いてくださった感想の一部を掲載いたします。

浜先生が過激なコトバを使いながら、オッサン政治をバッサリ斬っていくのが痛快でした。怒りを持続させるためには自分が当事者という意識を常にもつこと、この点を今回強く実感することができました。(鈴木由衣さん)

なかなか難しい内容でしたが、女子として出来ることを実感することができました。女性は強い存在だからこそ、弱い者にさせられているという言葉に感じるものが多くありました。日本では表面的に女性の権利について危機を感じることは少ないです。けれど、そんな日本に危機を感じました。高校生として出来ることは本当に少ないけれど、女性としては何かできる! と前向きにとらえられました。(遠藤麻乃さん)

第一部のお話で安倍政権の「月次の動きを表にする」というのをぜひウェブでアップしてほしいです。貧困のことやこれからさらに増えるように感じる、自分も含めた貧困世帯のことを考え、何ができるか考えています。職場でも派遣で働いている女性が、生活保護に対してはキビシイ意見だったり、「違う!」と思っていてもなかなかうまく説明できません。なので、勉強に来ました。テーブルでの交流もとてもよかったです。(木内歩さん)

浜さんと雨宮さんの対談が有意義でした。アベ政権に対する「モヤモヤ」をすっきりまとめてくださっていました。2回目の参加ですが、問題意識をもつ女性がたくさんおり、連絡先や意見を交換することができる「場」となっていて、よいシリーズ、ムーブメントだと思います。私もプチ怒れる女子会を板橋区で開催します。(堤真澄さん)

女性と人権全国ネットワークの方の「いちばん課題が見えているのが当事者。自分がつらいと思っていることが正しい」という話が印象に残りました。ポリジェンヌのようなサイトは本当に私も必要だと思っていたので、今回参加して、自分でも何かできるかも…と少しでも思えた。多少明るい気持ちになれた集まりでした。YUKARIさんの歌がすばらしく、ビックリしました!(小林秀美さん)

※編集部注:ポリジェンヌは政治とジェンダーの視点からニュースを読み解く、女性による女性のための女性にまつわるサイト

社会や“オッサン”を鋭くみていくポイントをたくさん伝授していただきました。(シャープ茜さん)

浜さんと雨宮さんの対談は、対話の位相が実にかみ合っており、冷静さの中に怒りを含ませ、ユーモアもあふれたすばらしいものでした。願わくば、制限時間を拡大していただけたらと思いました。(北沢寛さん)

的を射た講座! 資本主義が人間を幸せにしないことは、ピケティを待つまでもなく、マルクスから言われ続けてきた。でもいまや、私たちは自分の生活から、又、自分を取り巻く環境から、私たちが「幸せ」に向かっていないことははっきり分かる。それをヒステリックに叫ぶのではなく、浜さんや雨宮さんのような方々をバックボーンとして知的武装して世に発信することが大事なのだとあらためて感じた。(匿名希望)

どの方のお話もとても興味深く聞かせていただきました。他者への思いやりが欠如した政策・法律になっていないか、常に監視していく必要性を強く感じました。今回得られた気づきや関心を自分だけで終わりにせず、少しずつでも周りの人々に発信し、情報を共有したり、議論していこうと思います。(匿名希望)

大変勉強になりました。特に、最後に「女性差別が激しいのは、女性に対するおそれが強いから」とおっしゃった点、私にとっては新鮮な見方でした。こういう観点からいろいろなことを考え直してみたいと思います。(匿名希望)

「オッサン」な偉い人は、経済・戦争・原発により、強い日本・力の行使を願っているということは「男らしさ」をはき違えているとしか言いようがありません。それをあらためて知ることができてよかったです。(匿名希望)

“怒れる女子党”をつくりませんか?(匿名希望)

人の痛みに共感できないことが、今の政権のいちばんの問題だというところなど、浜さんの「アベノミクスにすがる人」について分析された話が、気づかない点も多くありよかったです。(匿名希望)

分析することがいま必要とされていて、それをどう発信し、集めていき、構築して結果とするのか? そういう疑問というか課題というものが見えてきたかなと思いました。(匿名希望)

 

  

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