2014年11月22日(土)14:00〜17:00 @東京YWCA
共催:日本YWCA
後援:グリーン・ウィメンズ・ネットワーク(グリーンピース・ジャパン)、WAN(ウィメンズ アクション ネットワーク)など。
世論を押し切る強行採決による特定秘密保護法の制定、立憲主義無視の閣議決定による9条の解釈改憲と集団的自衛権行使容認、上から目線の「女性の活用」、リスク満載の原発推進政策などなど…。極め付きは誰もが理解不能の「自己都合解散」。たがが外れたような安倍政権の暴走ぶりに、どうにも納得がいかない! 理不尽すぎる! この先どうなるの…と感じている女性たちに対して、怒りと不安をこの際「女子会」でぶちまけませんか? と呼びかけたところ大きな反響を呼び、用意した150席は満席に。いつもの「マガ9学校」とは少々趣が異なり、子どもが走り回り、美味しいコーヒーの香りが漂う、まさに「大女子会」。歌ありトークありディスカッションありの、熱気に包まれた3時間となりました。
雨宮処凛●あまみや・かりん 1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。現在もさまざまな不安定さを強いられる人々の問題に広く取り組み、取材、執筆、運動中。
太田啓子●おおた・けいこ 2002年に弁護士登録(横浜弁護士会)。解釈改憲による集団的自衛権行使容認に強い危機感を持ち、カジュアルな雰囲気で憲法を学べる学習会「憲法カフェ」を、地元の仲間とともに企画・開催してきた。「明日の自由を守る若手弁護士の会」のメンバーでもある。二児の母親。
奈須りえ●なす・りえ 市民政策アナリスト。市民シンクタンクまちづくりエンパワメント代表。 2003年より2013年まで、大田区議会議員を務める。行政情報、議会情報を収集、分析して発信中。
三浦まり●みうら・まり 上智大学法学部教授。専門は比較福祉国家論、現代日本政治、ジェンダーと政治。著書に『壁を超える―政治と行政のジェンダー主流化』(共著、岩波書店)、『ジェンダー・クオーター 世界の女性議員はなぜ増えたのか』(編者、明石書店)ほか。
恩田えり●おんだ・えり 寄席囃子奏者。2003年落語協会入会。東京都内の各寄席やホール落語会などで活動中。漫才師おしどりと世の中のタブーに挑戦する勉強会『おしどりとりどりえりすぐり』を続行中。著書に『お囃子えりちゃん寄席ばなし』(新子友子共著、イースト・プレス)。
Yukari●ゆかり 福島県いわき市出身のママシンガー。地元のピアノバーにて専属歌手として活躍。東日本大震災で被災し、子供たちとともに東京に避難。音楽活動の休止を余儀なくされるが、2012年、音楽活動を再開。初めての作詞作曲のオリジナルアルバム『My Life』を発表し、ライブ活動、ソロコンサート、学校での講演など、精力的な活動を行っている。
会のイントロダクションとして、上野千鶴子さん(社会学者、WAN理事長)、谷口真由美さん(大阪国際大学准教授、全日本おばちゃん党代表)、セヴァン・スズキさん(環境活動家)からの、素敵なビデオメッセージを紹介。会のサブタイトルに使わせてもらったキャッチーな言葉「オッサン政治」についても、谷口さん自ら説明してもらいました。
第一部は、〈リレートーク「私たちはこの問題で怒っている!」〉として、様々な現場で活動中の女性たちから、発言がありました。
まずは集団的自衛権や秘密保護法をめぐる大問題については、今回の会の発案者でもある弁護士の太田啓子さんから。
次に今なおまったく解決がされていない福島第一原発の事故による問題についてのお話がありました。福島県いわき市から都内に自主避難をしているママシンガー、Yukariさんからは3・11以降に作ったオリジナル曲を披露。同じくいわき市から避難をしているママからも現状を正しく知って欲しい、そして次の選挙では子どもたちのために1票を投じて欲しいと訴えました。
3番目には、「地域で活動している女性たち」の発言ということで、東京の足立区を拠点に活動をしているママたちが登場。「秘密保護法を考える女子会@足立」のメンバーのお一人から、「ちょっと勉強して普通に考えれば、誰だって自分の子どもが戦場に行くかもしれない、そんな法律はごめんだと考えるはず」と発言。
「保育所つくってネットワーク」の斉藤真理子さんからは、「保育園を作って!」と立ち上がったママたちの活動と待機児童問題について語られました。
4番目には、祝島の現場からとして、長らく祝島に通い地元のおばちゃんたちとの交流も深い、ジャーナリストの山秋真さんから発言。「怒りを前に進む力に変えて!」と静かに語りました。
最後にフロアーから、青森県むつ市出身のTさんからも発言をいただきました。福島のママたちのお話に涙が止まらなくなってしまったTさんですが、下北半島が、核のゴミ捨て場になってしまっていることを訴え、それでもなお、原発を止めようとしない現政権に対して、「怒っていることを通りこして、悲しい」と声をふるわせました。話を聞き入っている会場の女性たちの目にも涙がたまっていました。
〈第二部〉は、「なぜ政治の世界に女性が必要なのか? 地方自治とジェンダーバランス」として、太田啓子さんが聞き手となり、三浦まりさんと奈須りえさんのトークセッションです。突然の解散で廃案となった「女性活躍法案」についてや、国会や地方議会における女性議員が占める割合の低さ、そこから生じる「民意」とのズレ・・・ならば、女性票を意識させるにはどうすればいいのか? いい候補者がいなかったら、自分が出るということまで考えていいのでは、という話になりました。
また、後半に雨宮処凛さんも登場し、女性、若年層の生きづらさや貧困についても実情を紹介。フロワーからはSASPLデモに参加した大学4年生の発言もありました。
ここでちょっと気分をかえて、寄席囃子奏者の恩田えりさんによる「ミニミニショー」です。当日の朝作ったという、痛烈な政権批判の歌がとっても小気味好い…。会場は拍手で包まれました。
第三部は、参加者同士によるグループトークです。同じテーブルを囲んだ人たち同士、初対面の人たちがほとんどでしたが、あっと言う間に「怒り」と「問題点」を共有。会の最後には、連絡先を交換しあう姿があちこちで見られました。
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今回の「怒れる大女子会」は、2015年春に行われる統一地方選挙に向けてのキックオフ大集会として、企画したものでした。これをきっかけに、あちこちで小さな「怒れる女子会」が開かれ、女性たちが学び、つながり、美味しい物や子育ての悩みを話し合うように、政治や社会問題についても、気軽に話すようになって欲しい。そして選挙に行く仲間を増やして欲しい…そんな思いがあります。突如やってきた「総選挙」が12月14日にありますが、そんな機会も「利用」して、ネットワークづくりをして欲しいと思います。
太田啓子さんから、「あなたの地域で怒れる女子会、開きませんか?」と、実際に動き出す時に便利な簡単マニュアルを作成いただきました。こちらも是非、ご利用ください。
●アンケートに書いてくださった感想の一部を掲載いたします。(敬称略)
「地方議会の40%が女性ゼロ議会」であるという話が印象的でした。もはや、誰かが変えてくれるのを待っているだけではいけない、自分が政治や社会を変えていかなければならないとあらためて感じた。(板津由華)
同じ思いをもった皆さんと交流できたことで、この怒りを、この場だけでなくどんどん日本中に広げていき、オッサン社会を変えるためのパワーにしていけたらと思いました。当事者の方々からさまざまな話を聞き、政府は一体どれだけ私たちをだましてくれるのかとますます腹が立ちました。今回の「怒れる大女子会!」を機に、女性のパワーをもっともっと大きく広げていき、日本を必ず変えましょう!(梅田知奈)
グループシェアの時間がとてもおもしろかったです。ふだん話すチャンスのない若いお母さんたちの考えや活動をいろいろ聞くことができました。(昼間範子)
怒りを紛らわせるのではなく、怒りを活かして、国を変える力に、という祝島での活動をされている方の言葉には心動かされるものがありました。(匿名希望)
今の日本にNOと言いたいのに、どこに着地すればいいか分からないまま、浮いてる人たちは多いと思います。「女子会」がそのひとつの着地点にこれからもっとなっていくことを願っています!(匿名希望)
憲法についてや、政治へのかかわり方など、たくさん勉強になりました。議会の傍聴や議員に電話することなど、じかに関わっていくことが一歩になるということを心にとめて、ますます勉強したいと思います。参加しなければお近づきになれない人ともつながりができた。(匿名希望)
多くの人がさまざまな場所で、今の政治におかしいという思いを持っていることを知り、ここに集っている人がそれぞれの場所で、発信していけるとよいと思いました。(匿名希望)
総選挙近くなり安倍政権への女性の怒りを肌で感じた。(山岸裕)
政治についてよくわからない。漠然と不安を抱えている。そのようなレベルでも参加されている方が多く、実際にグループトーキングで分かち合えてよかったです。「怒り」をネガティブな感情ととらえず、新しい行動を起こすパワーとするというお話しは為になりました。(山野由貴)
最高です。企画力はさすが女子会! オッサンには出来ません!(匿名希望)
福島から東京へ自主避難されているママの歌、メッセージ、泣けて泣けて…止まらなかった。このビデオを安倍さんに見せたい。政治家に見せたい。(近藤淑子)
報道されなかったことや、知らないことは「なかったこと」にされてしまうことの恐ろしさを感じました。(匿名希望)
憲法の話、原発の話を聞き、恐ろしくなり、鳥肌が立つくらいでした。もともと政治に興味はあるものの、知識がなく、勉強しなければならないなと思いました。議会の女性の割合については特に気にしていなかったのですが、話を聞き、現状(世界との差)に驚き、その問題性にとても納得しました。参加させていただいてよかったです、(匿名希望)
政治はことばだ。テレビで発信されている貧しい政治言語。自分を偉そうに見せようとしてるだけで、聞いても何もイメージがわかないことばの数々。この「おじさんことば」=「おじさん文化」にとりこまれずに、自分の実感を通じた生きた言葉を発することができれば、女の勝ち目はすごくあると思う。(田中美津)
気になるトピックスを取り上げてくださり、満足したとともに勉強しなければ、と意欲、危機感がわきました。足立の女子会や福島のお母さんの生の声が聞けたのはよかったです。私が尊敬するヴァンダナ・シヴァさんが「女性の優しさが地球を救う」という主旨の発言をされていましたが、今日の女子会で女性の優しさ、子どもの未来を思う母性を感じることができました。(堤 真澄)
いろいろな知識を得ることができてよかったです。福島の方の声を生で聞くことができて、私ももっとがんばらなければと思いました。このような会をまた開いてほしいなと思います。(匿名希望)