未だ続くトランプショック。それにしても、米国大統領選挙と日本における参議院選挙・都知事選挙においては、非常に似た部分があったなと、いろいろ考えが巡ります。今週は、マガジン9のスタッフが「米大統領選挙」について感じたことを紹介します。
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(米大統領選挙の勝者は)トランプでしょ――当該選挙の2週間前にマガジン9編集部の1人が言いました。そのときの私は「僅差でヒラリー・クリントンが勝ち、拮抗したドナルド・トランプは選挙後も自らの発言に影響力を保持するのではないか」と思っていたのですが、はたして上記の編集部員の予測が的中。そのとき私が思い浮かべたのは映画『ミシシッピー・バーニング』でした。
この映画評で書いたように、多くの日本人が接するのは、アメリカの東西沿岸部にある大都市発メディアを通したものであり、「パスポート保有率が10%に満たない」といわれるアメリカの内陸部や南西部にまで目は行き届きません。
選挙後、トランプとクリントンの支持層に関する分析がいろいろとなされましたが、私には、トランプが選挙戦の最中に発した数々の「暴言」と、この映画に描かれる、ミシシッピーの田舎町の人々の中央エリートに対する反発がどこかで通じ合っているように思えたのでした。
TPPからの脱退というトランプの主張は、日本をはじめとする外国からの輸入品に高関税を課すことで国内の雇用を守る、というものであり、アメリカ国内で製造業に携わる多くの労働者の気持ちを掴んだのだと想像します。当のトランプは、グローバル経済の恩恵を受けて、不動産業で大成功を収めた人物でしょうが、大筋がデマゴギーに近くても、そこに人々の心を射る真実をまぶすことで共感の輪を広げる。そんな話法が活かされたのでしょう。
選挙権のない私には、トランプとヒラリーのどちらが大統領にふさわしいかという問いに、あまり関心が起こらなかったというのが正直なところです。少なくとも、上述した私の予想(選挙に僅差で負けたトランプがその後も発言力を有して、クリントン政権をけん制、かく乱する)が外れたのはよかったと思っています。
ベルルスコーニがイタリアの首相でいる限りは好き勝手な言動が許されても、大国アメリカの国家元首になったとしたら、従来のようにはいかなくなる。トランプの大統領就任にそんな印象を抱いています。「それがどうした?」と問われれば、「ただそれだけです」と答えるしかないのですが。
(芳地隆之)
>ベルルスコーニがイタリアの首相でいる限りは好き勝手な言動が許されても、大国アメリカの国家元首になったとしたら、従来のようにはいかなくなる。トランプの大統領就任にそんな印象を抱いています
トランプは100%は好き勝手は出来ないだろうけど、上下両院と最高裁を与党が抑えているので(議院内閣制ではないからトランプは共和党のボスではないし、党議拘束もないけど)、かなりのことができるだろう。
安倍が100%近く好き勝手をやっているようにトランプもやるのではないか?
橋下や安倍と同じで選挙中に主張していたことがトランプにとってのやりたいこととどの程度重なっているかという問題がある。本音は相当共和党のネオコン・ネオリベ・ティーパーティ・シオニスト人士と重なっているように側近人事から伺える。こちらの方をかなり実現するだろう。
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