マガ9備忘録

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機動隊がデモ行進しているよう

 今月8日、東京・新大久保界隈で行われたヘイトデモのカウンターに初めて行った。恐ろしく醜悪なデモを目の当たりにして、怒りと悲しみが湧いた。

 友人は何度も行っているのだが、私はまだ行ったことがなかった。カウンターの方法に対する批判もあるようで、その場で何が起こっているのか実際に行ってみたのだ。ヘイトデモは正午からというが、その2時間近く前から周囲は警察が物々しい警戒を布いていた。

 しかしこれでは、ヘイトデモを機動隊が守るような形だ。カウンター側は猛抗議。そうすると機動隊はカウンター側の分断を図ろうとする。警察は「どちらも秩序を乱す者」と考えているのだろうか。

 それにしても、周囲の店は商売上がったりだろう。地元の在日コリアンのおばさんや同じくカウンターに集まった人といろいろ話し、ホットク(韓国風ホットケーキ)を食べて、ヘイトデモを待つ。ホットクは甘くてお茶が必要だった(笑)。

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ホットク、熱々でおいしい

 正午、ヘイトデモが始まる。沸き起こる物凄い抗議の声。デモ隊が何を言っているかは聞こえないが、手に持ったプラカードには書き写すのもおぞましい言葉が連なる。実際に目にして、震えるほどの怒りが湧いた。

 地元に住んでいる人なのか、通りがかった家族連れの子どもが「お父さん、これ何だろう」と尋ねた。「何だろうな」と口が重くなるお父さん。その子の顔を見て、涙がこみ上げた。私は、こんなデモが罷り通る社会を構成している大人として、この子に謝りたかった。

 デモコースの先々でもカウンター側は闘っていた。大久保通りに入るところでは、体を張って座り込む。機動隊にゴボウ抜きされてもまた戻る。「差別は許さない」という一心での、まさに非暴力・不服従での抗議だった。

 対する警察は、デモ隊とカウンター側を直接合わせない作戦なのだろう。抗議するためにヘイトデモを追う人を歩道の一角への閉じ込めが何度も行われていた。しかしこれではヘイトデモを守っているだけだ。公安警察よ、「公」の「安」寧を乱しているのはどちらなのか。

 私は、ヘイトデモ集団の解散後の、警察先導による「集団下校」まで見届けた。先ほどまでの差別剥き出しの表情はどこへ行ったのだろう。もしかしたら、“達成感”でも感じていたのかもしれない。それこそ、愛国をダシに差別を楽しんでいることに他ならない。

 友人によると、ヘイトデモの参加者は少なくなっているという。カウンター側はその数倍はいただろう。静かな怒りとともに睨み付ける人、プラカードを持って大声で怒る人、そして身をなげうち座り込む人…。あの差別の跋扈に、それぞれの形で敢然と立ち向かう人々に、私は満腔の敬意を表する。

 

  

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