辺野古の米軍新基地建設や高江でのヘリパッド建設への抗議行動で微罪逮捕され、約5カ月の勾留が続いていた山城博治さんが保釈されたのは3月18日。しかし、まだ1人勾留が解かれないままの人がいる。「組長」というニックネームの高橋直輝(戸籍名:添田充啓)さんだ。
高橋さんは昨年10月4日に逮捕されて以来、保釈されないまま半年を超えた。独り拘置所に残された彼の心中はいかばかりだろう。
沖縄での抗議には昨年7月22日に初めて加わった高橋さんだが、それ以前は本土でのヘイトスピーチに対して非暴力で圧力をかける「男組」の一員としてカウンターの前線で活動していたことのほうが有名だ。「男組」とは確かに厳つい名前だが、実はSNSを介した緩いつながりのグループ。高橋さんはその「組長」だった。
筆者は高橋さんと一献酌み交わしたことがある。2年以上前、西荻窪で行なわれた神原元弁護士と野間易通さんのトークショーでの打ち上げだった。斗酒なお辞せずの酒豪だったが、心根の優しい印象を受けた。
高橋さんは琉球新報2月25日付のインタビューで、一昨年3月に同紙記者であることを理由に東京で入居を断られたという一件を聞き、許せなかったことが沖縄に関わるきっかけだったと語っている。
そう、彼は自分のことではなく、酷い目にあっている他人のために怒り行動することを辞さない人なのだ。
山城さんや既に保釈されている稲葉博さんに比べれば若いかもしれないが、高橋さんの精神的・体力的な限界が心配だ。何よりも、半年という長期勾留はあまりにも異常である。「運動つぶし」としか考えられない。
3人に対しての2回目の公判は27日に行なわれ、検察側の証拠映像の撮影者を特定できず空転、予定していた警察官への尋問が延期となった。初公判でも証拠番号の混乱があったという。お粗末な話だが、検察に裁判引き延ばしの意図があれば大問題だ。
何もかもが異例ずくめのこの裁判だが、まずは、高橋さんの早期保釈を強く求めたい。
(中津十三)
※ 高橋さんについての、香山リカさん、中沢けいさんのルポも、ぜひお読みください。