マガ9備忘録

年初からうんざりさせられた。東京MXテレビで1月2日に放送された『ニュース女子』の一件だ。

詳しくは書き起こしたまとめサイト検証報道があるのでそちらをご覧いただきたいが、ネット上でネトウヨが流すような沖縄ヘイトデマを地上波で放送するとは、本当に呆れ返った。

沖縄で基地反対運動をする人は過激派であり武闘派集団である、高江からは相当離れた二見トンネルの先が現場でありこの先は危険、反対運動によって暴力が振るわれ救急車が止められている、などデマを連発したが、何よりも許せないのは、沖縄で基地に反対する人はカネで雇われているという、いわゆる日当デマを流し続けたことだ。

このデマについては、共同通信の記事でも取り上げられたが、当然のことながら否定されている。それでも抗議現場に来て「日当をもらえますか」と尋ねる人が時々現れるとの記述もある。

どうやらこの番組は、のりこえねっとによる「高江市民特派員」のことを「日当デマ」に結び付けたいようだが、これは「高江の現状を見たいが、資金がない」という人に対して、のりこえねっとが「ネットで拡散してくれるなら交通費を補助しましょう」というだけのことだ。

のりこえねっとの辛淑玉共同代表への取材もないどころか、「韓国人がなぜ反対運動に参加するのか」など、人種差別にもとづくヘイト発言も行なわれた。

この番組は化粧品・サプリメント会社のDHCの持ち込みだという。制作しているのは関連会社である「DHCシアター」と「ボーイズ」。ボーイズは東京以外で広く放送されている『そこまで言って委員会NP』の制作会社だ。通底する傾向を感じずにはいられない。また「DHCシアター」の社長は濱田麻記子氏で、浜田卓二郎元参議院議員の妻として一時期マスコミに取り上げられた人物だ。

それにしても思うのは、デマを発する側の手軽さに対して、これを否定する大変な労力の、圧倒的な非対称性だ。「事実」を証明し説明を強いられる側と、手軽で容易なヘイトデマを流し拡散する側との隔絶。

ナチスドイツの宣伝相ゲッベルスが言ったとされる「嘘もつき続ければ真実になる」という言葉が重く圧し掛かるが、抗わなくてはさらに重くなるばかりだ。デマ番組を決して許してはならない。

(中津十三)

 

  

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