愛知県の人権週間啓発ポスターが素晴らしい、と評判になっている。今年のポスターには、下の言葉が共通して大書されている。
わたしの「ふつう」と、あなたの「ふつう」はちがう。それを、わたしたちの「ふつう」にしよう。
デザイン制作は、自主制作雑誌「THISIS(NOT)MAGAZINE」/WEBMAGAZINE「LIVERARY」を編集している武部敬俊さんで、マンガは大橋裕之さんの筆によるもの。
障害者、女性、性的少数者、高齢者、インターネット上、外国人の個別のものとメインポスターの計7種類あるが、そのどれもが分かりやすく、訴求力がある。名古屋市の金山総合駅にはたくさん貼ってあるそうだ。
人権週間に合わせて作成されている愛知県のポスターには、毎年感心させられている。人権という難しいテーマを、いかに伝えるかに苦心しているのだろうが、見た人に考えさせるそのセンスは図抜けている。
著者が印象に残っているのは一昨年のポスターだ。瞬間を切り取った写真と短い言葉で、その人権に関わる状況を見る人に訴える。「夫は毎回泣いてあやまる。私を殴ったあとに。」は、DVに苦しむ女性を扱ったものだが、衝撃を受けた。
今年のポスターには、次のような言葉も書かれている。
一人ひとり、「ちがい」があるのは当たり前。
多様な価値観を受け入れて、お互いの個性を認め合いましょう。
世界には憎悪や差別が溢れているが、こうした一枚のポスターから人の心は変わっていくのかもしれない。
(中津十三)