9月3日のETV特集「関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか」は、在日韓国・朝鮮人へのヘイトが横行する昨今において、意欲的な番組だった。加藤直樹『九月、東京の路上で』など、この問題を直視した書物ほどの深みはなくても、1時間という放送時間の中で伝えるべきことを伝えていたと思う。
しかし、ネット上ではこの番組に対して当時の新聞記事などを挙げて「朝鮮人暴動があった、だから彼らは殺されたのだ」などと騒ぐネトウヨが後を絶たない。
これらの記事は震災から1週間ほどの混乱期に掲載されたものだ。この時期の記事は他にも「東京酷熱百五十度」「名古屋も全滅?」「山本(権兵衛)首相暗殺」などデマも多い。ネトウヨの好む記事「不逞鮮人1千名と横浜で戦闘」は、のちに内務省がデマ記事の好例であると評価したほどだ。
誤報・虚報と見抜けない、あるいは見ようとしないのは、どうしても朝鮮人虐殺を否定し、あったとしても正当化したい結論があるからだろうが、これは2009年に出版された工藤美代子『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』(その後これに加筆し、工藤の夫加藤康男名義で2014年に出版された『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった』)で、既に使われている手段なのだ。
工藤夫妻は朝鮮人虐殺を否定するため、震災直後の新聞記事を証拠とするほかにもレトリックを駆使するが、それらはこちらの「工藤美代子/加藤康男「虐殺否定本」を検証する」で完膚なきまでに論破されている。
とはいえ、デマを平然と流し史実を捻じ曲げようとする勢力は、上は日本会議から下はネトウヨまで猖獗を極めている。どう対応したらよいのだろうか。
あんなのは無視していたらいい、関わるだけ無駄だ、同レベルに見られるのが嫌だなどと、無視したり黙っていたりしたがゆえに、いつの間にやらヘイトスピーチが蔓延してしまった。となると、ヘイトへのカウンター(対抗)行動と同じだ。
彼らの嘘に対して「それは嘘だ」ときちんと言い続けなくてはならないということだ。後から後から湧いてくる難儀な相手である上に、迂遠な手段だが、何遍でも対抗していこう。
(中津十三)
※ ETV特集「関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか」は、9月10日午前0時(9日深夜)からNHK Eテレで再放送されます。
関東大震災の際,朝鮮人が一方的に虐殺されたと言われていますが、昨今の所謂ヘイトデモの周りで中指立てて絶叫しているモヒカンや刺青の方々を見る限り彼らがとても「黙って殺される」ような人達には思えないのです。
戦前の日本人はそんなに強かったのでしょうか。それとも朝鮮人が独立後急に逞しくなったのでしょうか。公平に見ればこれは多民族国家内の民族紛争と捉えるべきだと思います。民族構成で言えばかの大日本帝国は旧ソ連や旧ユーゴのような国でしたから。
しかし、在日コリアン戦時強制連行被害者子孫説が破綻した途端に関東大震災ネタが急増しましたね。一体どこまで遡る気なのでしょうか。日清戦争、文禄・慶長の役?その内我が国からも元寇で高麗兵に虐殺された対馬島民の被害を補償しろといわれかねませんよ。リベラルの方もそろそろ朝鮮信仰から脱却して、貧困、格差を是正するためには一体何をなすべきか真剣に考えていただきたいと思います。